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砂田喜昭 2012年11月24日更新  
TPP参加反対を決議
富山県農業委員研修大会

 富山県農業委員等研修大会が11月15日、富山市で開かれ、「TPP交渉への参加反対を求める要請決議」が参加者全員の拍手で採択されました。
 この決議では「TPP交渉は、米国基準の規制・制度を押しつける交渉であり、農業に限らずわが国の社会システムを崩壊させる危険なルールつくりだ」として、政府・与党に「唐突にTPP交渉に参加しないよう強く要請」しています。

「国民に十分な情報が伝えられていない」
  前農林水産審議官もTPPを批判


 これに先立って、「農業をめぐる国際情勢とこれからの農業委員活動」と題して、前農林水産審議官・山田修路氏の講演がありました。実際にTPP交渉にかかわってきた方だけに、説得力がありました。
 山田氏は「政府がTPP交渉に臨む基本方針は三段階あり、@TPP参加9カ国がわが国に求めるものについての情報収集、A十分な国民的議論、B国益の視点に立って結論を得るというものだった」と紹介し、「国民に正しい情報が伝えられていないので十分な国民的議論ができてはいない」と批判しました。

農林水産物への影響
 TPP参加国に限っても3兆4千億円

政府 影響大に驚き「公表せず」と決定


 農水省が試算した「関税ゼロにした場合の農林水産物生産減少額」は4兆5千億円で、食料自給率が13%に低下するとの根拠は、関税率が10%以上で生産額が10億円以上の33品目だけを対象とした控え目のものでした。これに対してTPP推進派からは「関税ゼロとなるのはTPP参加表明11カ国だけで、世界中の国から輸入する関税がゼロになるわけではないから、試算が過大だとの批判が出されていました。そこで改めて農水省が11カ国に限って試算したところ、それでも3兆4千億円減少となりました。この結果に政府内の推進派も驚き、結局公表しないことにされたとのことでした。

日本の交渉参加に各国の同意必要

 日本がTPP交渉に参加するためには、すでに交渉参加している9カ国の同意が必要です。ベトナムなど6カ国は参加を歓迎していますが、オーストラリア、ニュージーランドはまだ支持表明をしていません。

米国の言い分「アメリカ車が日本で
  売れないのは軽四の税金が安いから」

日本政府、これを国民に隠し、言い換える


 アメリカは日米首脳会談で自動車、保険、牛肉について関心があると表明しました。その席に同席した山田氏は、オバマ大統領が話の大半を自動車についての懸念に費やしたと明かしました。
 この内容について民主党に説明した政府資料には「透明性、流通、技術基準、認証手続き、新/グリーン・テクノロジー、税のようないろいろな考え方」が米国の懸念材料として紹介してあります。日本でアメリカ車が売れないのはこういう非関税障壁のせいだというのが米国の言い分です。しかしこれでは、抽象的で国民には何のことだか、よくわかりません。日本政府が言い換えたのです。
 山田氏は、日本政府が米国の要求内容を「日本の軽四のせいでアメリカ車が売れないから軽四の税金を安くするのは止めろ、環境基準も厳しすぎる」と、具体的に国民にわかりやすく情報を出していないと批判して、これでは十分な国民的議論ができるわけがないと述べました。
 この講演を受けて参加した県下の農業委員は満場の拍手で「TPP参加反対」を決議したのでした。

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