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砂田喜昭 2012年3月18日更新  
震災復興・なくそう原発3.11富山県民集会
3つの報告

 震災復興・なくそう原発3・11富山県民集会が3月11日、富山国際会議場で開かれ、440人を超える参加者で会場が埋まりました。原発をなくす富山県連絡会(仮称)準備会が呼びかけたもので、集会の後、参加者は「原発NO」を訴えて、富山市内をパレードしました。
会場いっぱいの参加者で開かれた「なくそう原発富山県民集会」=3月11日、富山国際会議場 小矢部市から参加した人は、「福島の現状を聞けてよかった」、「震災復興でも不用な物にお金を使っていて、なかなか復興にまわされていない」、「国や東電が被災者の声を無視していることに腹が立った」、「放射能拡散予測を政府が隠していたことが問題だ」、「東電が自分は被害者と思っている(内部告発で判明)とはあきれはてる」など、口々に感想を語っていました。


福島の今、復興への課題


 小川英雄さん(ふくしま復興共同センター事務局員)は、原発事故でいまも16万人が県内外に避難している現状を報告しました。
 子どもたちが1年近く、外で思いっきり遊ぶことや運動することも制限されていて、体力や免疫力も低下しており、怪我をしやすくなったり、風邪をひきやすくなったりしています。国は「風邪や怪我は原発事故と関係ない」と18歳までの医療費無料化を願う県民の声を拒否しましたが、現実を直視していません。
 最大の問題は、政府も東京電力も加害者意識が全くないことです。原発建設にあたって、海面から35mあった台地をわざわざ削って建設したことや放出した放射性物質を「無主物」と主張(裁判で)しているなど失笑せざるをえないような実態があります。
 小川さんは、非科学的な「収束宣言」をする一方賠償も除染方針もあいまいなままで県民の声に寄り添おうとしない国の姿勢をきびしく批判しました。いま「オール福島」で、県も地方自治体もいっしょに国・東京電力に迫る運動が発展していることを報告し、「福島県民を孤立させず、オール日本で、国と電力会社に原発依存政策の大転換を求めるたたかいを大きく広げていきましょう」と呼びかけました。

石川から 再稼働めざす志賀原発の危険

 尾西洋子さん(原発問題住民運動石川県連絡センター事務局次長)は北陸電力が志賀原発の再稼働に向けて核燃料の搬入をしていると告発しました。
 志賀原発は1号機、2号機とも運転開始以来事故続き(臨界事故など)で欠陥原発です。ストレステストはコンピューターで仮想試験をするだけ、「はじめに再稼働ありき」で実効性がありません。
 福島原発は津波の前に地震で壊れた可能性も指摘されています。このストレステストは160秒の揺れに耐えられるとしていますが、東日本大震災では3分間揺れていました。これで原発にある多数の配管がひび割れ、破断しないと言い切れるのかと、疑問を投げかけました。
 志賀原発の周辺の活断層も過小評価しています。中越沖地震では、1699ガルの強さの揺れで柏崎刈羽原発が大きな被害を受けましたが、志賀原発のストレステストは1158ガルの揺れでOKとしています。
 尾西さんは、「志賀原発からの被害は金沢市より風下にあたる富山県の方が多い。ともに原発ノーの運動を強めましょう」と呼びかけました。

富山の自然エネルギーの展望

 瀧本裕士さん(石川県立大学准教授・農学博士)は、富山の自然エネルギーの展望について報告しました。
 農業用水を利用した小水力発電は、全国的に680万キロワットも開発可能エネルギーがあり、原発6基分に相当するそうです。瀧本さんは、小水力発電の研究を進めており、幅1メートル、水深20センチで落差1メートルあれば1キロワットの発電ができると紹介しました。1日24時間発電すれば24キロワット時の電力量となり、1ヵ月で720キロワット時の発電量になります。一般家庭の電力使用量が300〜500キロワット時ですので、このような小水力発電で1軒の家の電力をまかなえます。これをマイクロ発電とも呼んでいます。
 瀧本さんは「かつて富山県にはラセン型水車があった。小水力発電には県内で23000世帯分の電力をまかなえる可能性がある。電気がないと生活できない時代になったが、電力会社から購入するだけでは自然災害の際には電気が止まる。小水力発電で分散型のシステムをつくるべきだ」と強調しました。

原発ゼロへ オール富山で

 3・11集会を呼びかけたのは弁護士や科学者、宗教者、労働団体や女性団体の代表の他、安念鉄夫前砺波市長、土井由三元小杉町長ら16名の方々です。
 閉会の挨拶に立った土井さんは「原発ゼロをめざし、党派の垣根をこえてオール富山の運動へ発展させましょう」と呼びかけました。集会後、参加者はそれぞれ仮装や風船、プラカードなどを掲げて市内をパレードしました。
富山市の中心街をパレードし「原発ノー」をアピールする集会参加者たち
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