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砂田喜昭 2012年2月20日更新  
美術館建設を検討
市議会民生文教常任委員会
議会の注文、意見

 小矢部市は美術館を建てるかどうかを検討していますが、市議会民生文教常任委員会は2月6日、議員からの注文、意見を議論しました。市教育委員会は美術館等施設建設調査検討委員会の事務局として、議会からの意見をきちんと伝えることを約束しました。

 議員の側からは「建設場所をクロスランドに限る必要はない」「石動駅周辺のJR用地の払い下げを受け、そこに美術館だけでなく、まちかどサロン、図書館など複合施設を検討し、町の賑わいづくりに活かしてはどうか」などの意見が出されました。

砂田市議、4つの問題提起

 砂田市議は次の4点を問題提起しました。

問題1
 使い道を指定した寄付は妥当か


 砂田市議 使い道を指定した寄付はいかがなものか。「美術館は新築で、既存施設の改造ではダメ。建物を建設することが条件でソフトに使うことはダメ」。寄付申し出者からここまで条件を付けられた寄付を小矢部市が受け取ることが妥当かどうか、検討する必要がある。

財政的にも無理で
これまでは計画なし


 これまでは、市の財政状況からしても美術館を建設することも維持管理することも無理だとして、教育委員会には元々美術館を建設する計画はなく、市の総合計画にもありませんでした。
 市が美術館の検討を始めたのは、元美術教師でその後世界で活躍された方が「美術館を建てて、美術鑑賞の機会を持って欲しい」と寄付を申し出られたことがきっかけです。しかし、申し出られた寄付金額では市としても多額の費用を追加しなければなりません。その後の維持管理費も市で負担しなければなりません。


問題2
 寄付申し出者の志しを活かすには、
 ソフト事業こそふさわしくないか


 砂田市議 寄付申し出者のかつての教え子の一人は、「先生は学校の空き教室に生徒の絵を展示し、めいめいに『この絵で感心したことは何か』を発表させる授業をしていたのがよい思い出だ」と語っていた。欠点を指摘させるのではなく、よいところ、学んだところを指摘する指導に感心した。
 この精神を活かすには、別に美術館を新築しなくても、寄付金を基金に積み、近隣の美術館、例えば金沢21世紀美術館や富山の近代美術館、福光美術館などでの企画をみんなで見に行くことに使う方が、市民の美術レベルアップに役立つのではないか。たまには東京・上野の国立西洋美術館へのツアーも組めるのではないか。

問題3
 市芸術文化連盟に
 美術館の運営、企画に
 深く関わろうという決意は?


 砂田市議 井波美術館では、井波在住の作家たちが自分たちの作品を見てもらいたいと、美術館の企画・運営を自らの手でおこなっている。美術館建設を陳情した市芸術文化連盟にはそのような決意があるのか。

問題4
 学芸員のいない美術館で
 企画力はあるのか


 砂田市議 学芸員を置かないユニークなアートハウス的な美術館という触れ込みだが、「御坊さんのいない寺」を造るようなことにならないか。読売新聞に県内の博物館の企画展の一覧が出ていたが、小矢部市のものは掲載されていなかった。市の企画力は大丈夫か。博物館の企画に専念できる職員が足りないことはないのか。美術館に学芸員がいないと同じ問題が生じないか。

 この点について市教育委員会は、「初めから学芸員としての雇用はできないが、企画できる職員が一人は必要と考えている」とこたえました。

小矢部市中学生ミュージアム


クロスランドセンター
道の駅で開催中


 小矢部市中学生ミュージアムが2月10日から開かれています(写真)。21日まではクロスランドセンターのギャラリー、エントランスホールで、2月22日から3月2日まで道の駅メルヘンおやべで開かれます。
クロスランド・ギャラリーで開かれている中学生ミュージアム。照明も十分に機能している。=2月14日、クロスランドセンター
 市内4中学校から平面作品26点、立体作品22点、計48点の作品が展示されています。なかなかの力作揃いで、「安全だなんて誰が言ったんだ」「厄難によって絆つながる」など社会にきちんと目を向けた作品も見る人に考えさせます。

クロスランドの
ギャラリーに立派な照明


 クロスランドのギャラリー、エントランスホールには作品を浮かび上がらせる照明もついており、アートハウス的な役割は十分果たせると思われます。この照明については、美術評論家が「クロスランドに美術の展示できる場所が必要」とアドバイスされ、当初予定になかったものを変更して設置したそうです。ただオープンな施設で防犯上の問題や、高齢者にとって階段を上らなければならない問題があるそうですが、美術館を新築しなくても改造で改善の可能性はありそうです。

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