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砂田喜昭 2012年2月11日更新  
保育園児の発達障害について
専門家から意見を聞く

  市議会民生文教常任委員会

 市議会民生文教常任委員会は2月6日、「子どもの発達障害、ちょっと気になる子」の問題について、専門家を招いて意見を聞きました。
 これは、12月議会で小矢部市の保育所では「発達障害を抱える子が保育園児全体の1割にもなること」「保護者や子どもへの対応に正規職員の保育士が不足し、臨時職員で対応せざるを得ないこと」「福祉、医療、教育などの関係機関の連携が重要であること」などが議論となり、民生文教常任委員会でさらに調査・研究をしようとなったからです。

意見を聞く委員会開催は初めて
議会基本条例を適用

 市議会は議会基本条例を制定しており、その第四条第3項で、「議会は、常任委員会、特別委員会の運営にあたり、参考人制度及び公聴会制度を十分活用して市民の専門的または政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努める」と定めています。
 これにもとづいて専門家を招いて意見を聞く機会をつくったのは小矢部市議会では初めてのことです。
 この委員会を南砺市議会議員の方が5名も傍聴され、関心の高さがうかがわれました。

発見・告知のシステムを

 社会福祉法人小さな花の福祉会・石動西部保育園理事長の中西千賀子氏は、「子どもたちの実態を聞いてもらえることは大変有意義だ」と述べられ、自閉症の子、自閉症的傾向をもつ子、行動面でちょっと気になる子へどのように対処したかの具体例を紹介されました。
 南砺市主任児童委員の高橋佳寿江氏は、発達障害は親のしつけや愛情不足、家庭環境のせいではなく、生まれつきの脳機能障害であり、早く手立てをとることによって軽くすることはできるが、完治はしないこと、はやく対応する必要があるのは大人になってからの社会的な適応障害を防ぐためだと述べられました。
 二人の専門家の話から見えてきたことは次のことです。

保育所だけでなく社会全体での対応が求められる

保育士と保護者の
信頼関係が大事


 子どもの発達障害を早期に発見し、保護者に納得してもらって必要な相談を受け、専門の療育機関へつなぐことは重要です。そのためには、保護者との信頼関係が大事だということです。
 親とは「お宅のお子さんに困って相談しているのではない。周りから育て方が悪いと白い目で見られているのではないですか。しかし、発達障害は、人にでこぼこがあるように先天的なもので、はやく対応すれば社会に適応できるようになる」などと話し合っているそうです。

担任任せにせず
専門家を招いて研修


 自閉症と診断されたり、その傾向があると認められたりすれば保育士の加配を受けられるが、発達障害担当の保育士やクラス担任の保育士任せではダメで、保育所全体で発達障害について共有することが大切です。
 そのために富山大学の先生に来てもらって研修会を開いたり、職員全体で話し合いをもったりしているそうです。

子どもの健診に
「発達診断メニュー」を


 早期発見のためには、1・5歳児健診、3歳児健診などのメニューに「発達について」を加えること、小学校入学前に5歳児健診を実施することの重要性が強調されました。

学校との連携も重要

 療育によって、社会性や生活に必要な技術を身につけることは可能です。発達障害のある方の中には、ノーベル賞受賞者など芸術や産業などさまざまな分野で優れた能力を発揮される方もいます。これらの方がもつ物事への独特な感じ方やとらえ方は、その方独特の個性として大切にする必要があります。
 発達障害についての認識を社会全体で共有し、保育現場での育ちの情報を学校現場へ引きついで、切れ目なく支援を続ける体制が大変重要になっています。また、学習発表会などで保護者向けに発達障害についての講義をすることも有効です。

 
砺波圏にも
療育機関を


 小矢部市には「こあら相談会」があり、大変役立っているが、その相談をふまえて次の療育・訓練機関へ進もうとすると、富山県自閉症・発達障害支援センターあおぞら、高岡市きずな学園など遠くへ行かねばならず、共働きの親にとって負担です。せめて小矢部市、南砺市、砺波市あたりにそのような機関が必要だと訴えられました。

専門医の不足解消を

 発達障害を診察できる児童精神科医の医師は県内に2名しかいなく、予約に2,3ヵ月も待たなければならないとのことでした。
 市議会ではこれらの意見をもとに、行政にどのような対応を求めるのか、検討を深めていくことが重要になっています。

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