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市民の目線で財政分析をしたい
第53回自治体学校に参加して
7月23,24日に奈良で開かれた第53回自治体学校に参加しました。市民の目線で行う自治体の財政分析について学びたいと思ったからです。
全体会 記念講演
「学ぶ力で社会の改革を」
初日の全体集会での記念講演は、「マルクスのかじり方」というおもしろい本を書いた石川康宏さんでした。れっきとした大学教授ですが、話しがおもしろく、わかりやすい。「憲法通りの日本をつくる」が演題で、スライド(パワーポイント)を使って、財界・経団連が敷いたレールをひた走る管民主党内閣を、小気味よくスパッと切る語り口は、人を引きつけました。特に印象に残ったのは最後のところ、「学ぶ力で社会の改革を」、「『私も若い頃は勉強した』、そんな過去の遺産では21世紀の現実ではたたかえません」。そして本の読み方まで教授。テーマを決めたらまず本を5冊買い、机に積み上げる。すらすら読める本ばかりでは、頭の「訓練」にならない、本の難しさに幅を持たせること。ページを開いたら左右のページを2分間で読む、読むスピードを上げることで集中力を高める。そしてその内容、感想を簡単にメモすること、これは私も時々ブログに載せているので、合格かなと思って話を聞きました。富山自治研の山崎さんから求められたこの参加者レポートもそのひとつでしょう。
全体会 リレートーク
「声なき声を聞く」
市民の実態をつかんでこそ
リレートークでは大阪社会保障推進協議会の寺内さんが、「相手を説得するためにはインパクトのあるデータが必要」と話し、2日間で国保料を払えない人の実態の聞き取り調査をしたことを紹介されました。2日間で延べ504人の調査員が訪問して775通の調査票を回収したという、規模の大きさにも驚きましたが、滞納者はなかなかその内実を人に話さないものですが、「調査は声なき声を聞くこと」という指摘は、ほんとうに大事だと思います。マスコミを味方にすることの大切さも説かれましたが、そのためにもこうした実態をつかんでいるからこそできると強調されたことには、頷けました。
京都市職員労働組合の小林さんは、世間に派遣切りが横行しているときの労働組合運動として、「地域住民の繁栄なくして、公務労働者のしあわせはない」を合い言葉に、「カウンターを挟んで市民と向き合うのではなく、カウンターを超えて市民の中に」と話し合い、市民の実態をつかみ、それぞれの専門を活かして生活相談活動をしながら、公務員の労働条件改善のたたかいもすすめたというのです。来年の市長選挙での勝利をめざしたいと決意を語っていました。
分科会「財政分析実践編」
なんのための財政分析か
翌日参加した分科会は「経験者集まれ、財政分析実践編」で、講師は大阪自治体問題研究所の初村先生でした。初村先生の問題提起は、決算データを駆使して財政分析をしたが、さてそれからどうするか、でした。なんのために財政分析をするのか、はっきりさせることも強調された。そして参考にして欲しいと紹介された本が「財政分析に強くなる」(遠藤晃著)でした。今では絶版だとおっしゃったが、わが家の本棚になく、アマゾンで中古本を探し注文しました。安い、送料込みで270円でした。
みんなで現状を知る財政分析
改善提案もみんなで考える
各地からの実践レポートは参考になりました。
津南地域自治研の高橋さんは「自治体の財政運営は格差拡大時代にどんな役割を果たしたか」を報告。その中で印象深かったのは、住民とともに財政分析をすすめたことです。学習会を開いて、最初は月に2回、そのうちにこれでは足りないと毎週班に分かれて学習会を開いた。参加者は最初20数名だったが、男性の落伍者が多く、最後に残った8割は女性だったそうです。大事だと思ったのは、この分析を通じて、住民のみなさんに現状を知ってもらうことが大切、それをどのように改善するか、提案はみんなで考えることが大事だということです。自分らなりの処方箋はもっているが、その結論を「財政分析白書」に書いて押しつけるのではなく、あくまでもみんなで学習し、考えることだ、地域づくり学校だというのです。これを貫こうとの姿勢に感心しました。
具体的な課題の解決を目指した財政分析の経験も、保育問題で河内長野の子どものすこやかな成長を願う会、国保事業の財政分析をした守口市職員労働組合など、たいへん勉強になりました。
私も発言
水道料金値下げ運動に活かした財政分析
私も、最後に水道料金値下げ運動で活用した財政分析の経験を報告しました。終了時間が押し詰まって報告時間がわずか8分しかありませんでしたが、時間内にまとめることができました。私は、議員に選ばれてちょうど25年になりますが、常に解決すべき課題をはっきりさせて、そのために財政分析を行うという姿勢で取り組んできました。これを全国に紹介したいと思ったのも、今回自治体学校に参加した動機でした。
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子撫川ダムの借金返済の見通しをシミュレーション
小矢部市の水道料金は県下2番目に高い、その原因が子撫川ダムの水を県企業局から購入していること、県は2年交替で上水道用水の単価を上げるか、責任受水量を引き上げてきていた。住民運動の側は、子撫川ダムの建設時の借金はもうすぐ返済し終えるはずだから値下げは可能だと、県と繰り返し交渉してきました。借金返済の見通しを示せと要求しても、県は出そうとしなかったので、県の決算データをエクセルに取り込んで、素人ながら元金・利息の今後の見通しを計算し、「これで間違いがあったら指摘して欲しい」と県に迫りました。県はこれには直接答えませんでしたが、とうとう累積債務残高の見通しを示すようになり、2004年度からこれまで4回にわたって、県水の単価、責任受水量を引き下げるようになりました。
値下げへ予算修正案提出
小矢部市は県が最初に引き下げたときに、それを水道料値下げに回しませんでした。そこで私は予算修正案をつくり、財政課の職員にも点検してもらい、手直しをして予算特別委員会に提出しました。一般財源ベースで辻褄が合うようにしなければならず苦労しましたが、市長・議長交際費の半減や無駄な公共事業として批判してきた綾子河川公園の事業費削減で、その手当てをしました。削減によって一般財源が余ったので、大規模修繕を予算化していた松沢保育所に太陽光発電の設置も追加しました。このときは自民党議員の反対で否決されましたが、その後3回の引き下げでは、すべて水道料金の値下げに回すことができました。
ダムの固定資産税課税漏れも発覚
この運動の過程で、子撫川ダムの固定資産等所在市町村交付金が20数年間にわたって小矢部市に支払われていなかったことが発覚し、5年分6900万円を取り戻しましたが、2億円は時効で取り戻せませんでした。
これらの資料は、今日は準備しませんでしたが、私のホームページにすべて掲載していますので、興味のある方はご覧ください。
以上
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分科会のまとめ
財政分析 変革のためにこそ
最後に初村先生が分科会のまとめをされましたが、その冒頭に、いろんな形の財政分析があることがわかったとして、「富山県小矢部市の方から、水道料金を値下げする上で、財政分析が市に大きなインパクトを与えたこと」を紹介されたことは、うれしかったです。さらに、初村先生は、財政分析を通じてどういう改善提案を出すか、もどかしさもあったが、資料を提供するのが財政分析で、それから先は住民、議員が考えていく、財政分析も使う人がいないとむなしいので、「住民と共に」が大事だと協調されましたが、まったく納得です。分析は単なる解釈のためではなく、変革のためにこそ必要なのです。
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