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砂田喜昭 2011年5月29日更新  
日本共産党 富山県と交渉
来年度予算に住民要望を

並行在来線問題
志賀原発の防災対策
道路消雪


 2012年度予算に住民要望を反映させたいと、日本共産党富山県地方議員団は5月17,18日、富山県の各部課の担当者と交渉をしました。砂田市議は18日の交渉で、並行在来線問題や 並行在来線問題で発言する砂田市議=5月18日、県議会第四委員会室志賀原発の防災対策などについて取り上げました。

特急電車の県内乗り入れ
県「JRと話し合い、調整をすすめたい」


 新幹線に伴う並行在来線について、砂田市議らは「@県境分離せず単一の会社で経営すること、A関西中京方面の特急電車の県内乗り入れをさせること」を求めたのに対し、県の担当者らは「それはJRの判断で、並行在来線に特急電車を走らせた先行事例はあまりない」と答えました。砂田市議はさらに、「富山県の態度・立場を明確にして交渉すべきだ。小矢部市長も県知事にこの事を強く要請し、知事も検討を約束したと聞いている」と迫りました。県の担当者は「JRと話し合い調整をすすめたい。早朝(富山発4時53分)のサンダーバードは新幹線では代替がきかない現実もある。JRにはいろいろと要望することがあるが、この件についてどういう言い方がよいか、検討させていただきたい」と答えました。



志賀原発の防災対策

 富山県は志賀原発事故を想定した防災計画の見直しに6月初めに着手することを明らかにしました。しかし、国の対策を見た上で検討するという態度に終始しました。
 県が紹介した北陸電力の地震、津波対策について、砂田市議は、志賀原発1号機、2号機の非常用電源車計5台で合わせても1500KVAしかなく、不十分だと批判しました。県は今後2年程度かけて大容量の非常用電源車4000KVAを2台程度配備すると聞いていると答えました。
 県は放射線センサーの設置について、新たに県内に2基増設する計画であると答えました。
 志賀原発の重点防災対策範囲(EPZ)の見直しを求めた要望に、県は国の対応を見きわめたいと答えるにとどまりました。砂田市議らは「北陸電力の本社がある富山県としてもっと自主的な対応が必要だ」と強調し、志賀原発からの風向、風速のデータを元に放射能の拡散シミュレーションをすることを重ねて要望しました。県は「SPEEDI(解説参照)の端末がないからわからない」と述べただけでした。
 しかし、市民がつくる原子力資料情報室(注)ではすでに2005年に志賀原発2号機の過酷事故を想定した被害範囲の地図を公表しています(資料)。ここでは、原発の燃料に、現在使っているウランの場合と、今後計画しているプルトニウムとウランを混ぜた燃料を使う(プルサーマル)場合の二つを想定し、比較しています。プルサーマル計画の危険性が一目でわかります。
 日本共産党はプルサーマル計画の断念を強く求めています。

資料
「志賀原発2号炉」過酷事故時の被害予測
被曝線量と被害を受ける範囲


プルサーマル事故による被害範囲の拡大
半数致死量(全身3シーベルト)範囲の広がり 


原子力資料情報室作成
資料の前提は次の通りで、原子力資料情報室の資料より

 事故の仮定は、基本的にWASH-1400(ラスムッセン)報告の手法に従いました。原子
炉として130万キロワット級の沸騰水型炉を考え、プルサーマルについては3分の1炉心に
MOX燃料を装荷した場合を想定しました。
 米国原子力委員会(米国原子力規制委員会の前身)が1975年に公表したWASH-1400 (原
子炉安全性研究、いわゆるラスムッセン報告)の事故分類におけるBWR2型の事故が起きた
場合を想定し、放出放射能による被害を計算しました。
 BWR2型の代表的な事故シナリオは、つぎのようなものです。
 「緊急炉心冷却システムなど、原子炉冷却系の故障により炉心が溶融する。溶融した燃料の
塊が原子炉格納容器の床にたまっていた水に落下し、蒸気爆発を起こす。この蒸気爆発に
よって、格納容器が破損する。格納容器が破損し、原子炉内の放射能のかなりの量が環境
中に3時間にわたり放出される。」
 放出されるおもな放射能とその放出割合(炉内存在量に対する割合)はつぎの通りです。
希ガス(クリプトン、キセノンなど):100% 有機ヨウ素:7%
無機ヨウ素:60% セシウム:30%
テルル:10% バリウム:4%
ストロンチウム:4% ルテニウム:7%
ジルコニウム-ニオブ:0.2% セリウム:0.2%
プルトニウム:0.2%
 計算の条件として、風速毎秒2メートル、天候は降雨なし、大気安定度D(放射能の広が
り角度15度)、放出高度100メートルをそれぞれ仮定しました。放出放射能の拡散計算には、
国の安全審査のための気象に関する指針で採用されているのとほぼ同様のパスキルの式を
使いました。ただし、風向きに垂直な方向への放射能濃度は(ガウス分布でなく)一様な
分布として計算を行なっています。
 プルトニウムなどランタノイドについてはチェルノブイリでのプルトニウムの放出量
(例えばIAEAの評価では3.5%)をもとに4%とし、キュリウムによる被害も評価に加えま
した。これは、プルトニウムの放出の見積もりとしては、かなり控えめなものです(国の
仮想事故の評価では「格納容器内に1%」としていて、これでは現実の事故をはるかに下
回る過小評価になってしまっています)。
 アメリシウム、キュリウムの内蔵量は、プルサーマルではウラン燃料だけの場合の5〜10
倍以上にもなり、被曝線量にかなり大きく寄与することになります。また、アメリシウム
は従来より揮発性が高いことがわかっていますから、より大きく放出量を見込む必要があ
ります。原子力安全委員会の安全指針などでは、アメリシウムやキュリウムによる被曝線
量の増加を十分考慮に入れていません。したがって、これまで行なわれたプルサーマルに
関する安全審査でも非常に不十分な扱いですまされています。
 計算結果は、添付の表およびグラフに示したように、プルサーマルの場合の方が被害が
格段に大きくなることがわかります。ある被害程度(被曝線量)をうける範囲を原子炉か
らの距離でくらべてみると、感覚的にもよくわかります。
 たとえば、表の6000ミリシーベルト(6シーベルト)の欄で比べると、ウラン燃料のみの
場合では26キロメートルとなっていて、これはこれで非常に広い範囲の人々が、全員亡く
なってしまう程の線量を被曝することになるので非常に深刻ですが、プルサーマルの事故
の場合にはその距離が52キロメートルと、2倍にのびることになり、それだけより被害が拡
大する、ということです。
 距離が2倍にのびれば、その面積は4倍になり、被曝範囲もそれだけ増えるのです。この
ことは、実際の社会的影響、人的被害、経済的な被害、ということを考えれば(人口密集
地が範囲に含まれるようになったりすることで)、被害規模は4倍ではきかないだろうとい
うことが想像できます。
 これらのことを、3000ミリシーベルト(3シーベルト、健康被害でみれば、それ線量をう
けた人々のうち半分の数の人が亡くなってしまうというレベル)のところでみて、地図上
に表したのが添付した被害予測図です。

(注) 特定非営利活動法人 原子力資料情報室(CNIC) Citizens' Nuclear Information Center
     住所  〒162-0065   東京都新宿区住吉町8−5曙橋コーポ2階B
     TEL   03-3357-3800 FAX:03 -3357-3801

解説 SPEEDIとは

 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI:スピーディ※)は、原子力発電所などから大量の放射性物質が放出されたり、そのおそれがあるという緊急事態に、周辺環境における放射性物質の大気中濃度および被ばく線量など環境への影響を、放出源情報、気象条件および地形データを基に迅速に予測するシステムです。
 ※SPEEDI:System for Prediction of Environmental Emergency Dose Informationの頭文字です。

 
道路消雪、今冬までに
   県道富山戸出小矢部線

   
 かねてから要望していた県道富山戸出小矢部線の道路消雪(正得地区、石名田地内)について、県は今冬に間に合うように配管工事を終えると答えました。

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