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    砂田喜昭 2011年5月22日更新  
    志賀原発 事故続き

     福島原発事故から2ヵ月が経過しましたが、原子炉の炉心熔融が明らかになるなど深刻な状態が続いており、解決の見通しが立っていません。原子力発電はいまだ未完成の技術です。
     日本共産党富山県委員会は5月9日、原発問題住民運動石川県連絡センターの児玉一八(こだまかずや)氏を講師に、志賀原発問題の学習会を開きました。志賀原発でも事故が続発していることが紹介され、参加者に衝撃を与えました。


    臨界事故隠し

     志賀原発1号機の点検中に臨界事故が発生(1999年6月18日)しましたが、北陸電力はその記録も残さず、国や自治体にも報告していなかったことが2007年3月15日に発覚しました。
     この事故は、志賀原発2号機の着工を2ヵ月後に控えたときに起きており、臨界事故が公表されれば着工が延期となることが予想されたため、事故隠しにつながったものと思われます。
     点検中で原子炉は運転していませんでした。原子炉の炉心に制御棒を挿入して核燃料の燃焼を止めており、原子炉の圧力容器と格納容器の上蓋は外されていました。ところが、炉心に挿入されていた制御棒が重力によってひとりでに落下し、原子炉が臨界(核分裂が始まり核燃料が燃えること)となりました。このとき原子炉の自動停止も失敗し、手動操作で制御棒を挿入し収束させるまで、臨界状態は15分も続きました。

    制御棒
      誤動作事故


     原子炉でブレーキの役割を果たしているのが制御棒です。核燃料の間に制御棒を差し込むことによって核分裂を抑え、核燃料から出る莫大な熱量を止めることができます。核燃料の燃焼を止める重要な役割を果たしているのが制御棒です。自動車のブレーキの役割を果たしています。
    志賀原発では臨界事故隠しの1件の他にも、たくさんの制御棒誤動作事故が発生しています。
     
    2010年には3件です。
     @6月24日、制御棒が誤って挿入されました。定期検査の際の弁の閉め忘れという作業ミスが原因です。
     A8月21日、制御棒を誤って30センチほど引き抜く事故が発生しました。これも弁の操作ミスです。
     B12月13日、制御棒が予定した以上に引き抜かれた事故が起きました。弁に微細な異物が引っかかり、弁が一時的に閉じた状態にならなかったことで起きた事故です。
     このような事故が頻発することは、原子炉のブレーキに構造的な欠陥があることを示しており、自動車の場合にはリコールの対象となる重大問題です。
     現在、志賀原発1号機、2号機とも運転を止めていますが、再開は認めるべきではありません。運転していなくても、使用済み核燃料をプールで冷やしながら保管しなければなりません。使用済み核燃料には莫大な「死の灰(放射性物質)」が含まれており、その安全対策もきわめて重要になります。
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