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えっ?食べ物みんな輸入頼みに!
自由貿易協定の影響は?
小矢部農業青年協議会の学習会に参加して 砂田 喜昭
小矢部農業青年協議会が1月19日、「自由貿易協定の影響と展望―FTA、TPP―」と題して学習会を開きました。農業青年や、市議会議員、市職員、山田俊男参院議員(自民)が参加、私も出席しましたので、その感想を紹介します。
講師は富山大学経済学部教授の金奉吉(キム・ボンギル)氏でした。金教授は韓国生まれで、日本で国際経済学、東アジア経済協力、自動車産業などを専門に研究されている方で、どちらかというとTPP(環太平洋経済連携協定)推進の立場から話をされました。
自民党参院議員もTPP反対
「アメリカ流に合わせるものだ」
会場から最初に山田参院議員が発言。「例外なしで関税をゼロにするTPPは農業ばかりでなく砂糖産業など地域経済にも壊滅的な打撃となる。」「TPPはアメリカ、オーストラリアの利益が狙いだ」「この正月にヨーロッパへ視察に行ってきたが、EU事務局でも日本のTPP参加にたいへん危惧していた。農業生産の多様性を尊重すべきとのこれまでの立場を投げ捨てるのか、どんな顔をして日本は今後国際交渉に顔を出すのか」という強い批判があったというのです。「TPPは、アメリカのやり方に日本を合わせようとするもので、医療や金融など国民生活の多くの分野でアメリカ流に変えさせられる」と警告されました。
食料主権をまもる
ルールが大切
私も最初に「山田さんの発言について、私は共産党だが、賛同する」と述べ、「日本はすでに農産物の関税はほとんどを撤廃しており、平均の関税率では韓国よりもはるかに低く、十分すぎるほど開国している」「食料主権の擁護が世界の流れになっており、アメリカ大陸では南米の諸国がアメリカ中心の自由貿易協定に参加しないこととなった」「世界人口が増え続け食糧不足が深刻になってきている。オーストラリアの水害、干ばつ、虫害で小麦価格が上昇している。自分の国の食料は自分の国で、というルールが今ほど大切なことはない」と発言しました。
韓国
FTAからコメを除外
国民の反対が力に
また、金教授が「韓国はアメリカ、EUと自由貿易協定(FTA)を結んだが、コメは例外として関税ゼロの対象品目から外した」と紹介されたので、そのいきさつを教えて欲しいと尋ねました。韓国がTPPに消極的なのは、すでにアメリカとFTAを結んでいるからで、その協定でコメは除外です。韓国では米作農家が7割を占め、専業農家が中心で、これを自由化すると国民の反発が大きいからだとのことでした。FTA、EPA(経済連携協定)は2国間で協議するので、例外品目を作りやすいが、TPPは多国間協議なので例外をつくりにくいこともわかりました。
「日本のマスコミはTPP賛成一色だが、どう思うか」。こんな質問も出され、金教授も「たしかにおかしい、日本人はおとなしいのですかね」と話されたのが印象に残りました。
農業青年からは、「米を安く輸入できるようになるというが、世界で戦争や重大な事態が起きたら、日本に米を売ってもらえなくなるのではないか」という心配が出されました。これに対して金教授は、「確かにそういう心配がある」と否定しませんでした。
会場では小矢部農業青年協議会の皆さんがTPP反対の署名を集めていました。ぜひ阻止しようと、私も積極的に応じました。私は、自由貿易を否定はしませんが、日本人の食べ物がほとんど輸入頼みになったら、考えただけでもぞっとします。
解説 FTA/EPAと
TPP
世界で地域経済統合の動きの形態の種類で、自由貿易協定(FTA)は特定の国の間で物品の関税を撤廃・削減すること、サービス分野への外資規制の撤廃なども含まれる。
経済連携協定(EPA)は、それにくわえて、人、モノ、カネの移動の自由化を図り幅広い経済関係の強化を図る協定。
TPPは初め太平洋の小国の間で結ばれた例外なしの経済連携協定だったが、アメリカが参加する意向を示して急に注目されるようになった。
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