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砂田喜昭 2011年1月17日更新  
下水道
散居村では「50年待て」って?!

浄化槽方式でもっと早く 砂田市議
12月市議会

 2010年12月議会で砂田市議は下水道計画の見直しについて、「市内全域下水道化に50年以上かかるのは遅すぎる」「散居村では浄化槽(解説参照)にすればもっと早く、経済的にも安くできる」と迫りました。



 産業建設部長は「現在の事業費ベースでは完成までは50年以上かかることになり、今後は下水道事業費のペースを上げて、いま以上に整備・進捗をはかりたい。」と答えました。
 下水道整備の現状は、公共下水道(解説参照)55・1% 農村集落排水事業9% 浄化槽設置事業8・7%、合わせて72・8%で、たいへん遅れています。それでも市は、「公共下水道を中心に整備を進めたい」としています。「一部住宅が散在している地域には浄化槽がコスト面で優位となる」と認めながらも、「その区域だけを公共下水道にしないのは地域の均衡ある発展の面からふさわしくない」といいます。

下水道事業は大赤字!
毎年6・8億円も税金で補う


 公共下水道整備に、今以上ペースを上げることは、市の財政状況で果たしてできるでしょうか。2009年度、下水道事業の赤字は6・8億円で、これを全額税金で補いました。その約半分3・3億円が借金の利払いに消えました。下水道工事費はその大半を借金でまかなっており、ペースを上げると借金が増え、利息の支払いもうんと増えます。下水道事業に年間約20億円前後を使っていますが、抱えている借金はその8倍、160億円近くになります。【小矢部市の一般会計の規模は126億円で、抱えている借金は118億円(2010年予算)。これと比べても下水道事業の借金は大変な状態にあります。】
 借金の利払いに消えた3・3億円といえば、市が老人福祉のために使っている2・7億円より多い。介護保険に使った3・5億円に匹敵し、小学校2・3億円と中学校1・5億円を合わせたものにも匹敵する莫大な税金です。
 これから小矢部市はもっと教育や福祉に力を入れなければならない時代になってきます。砂田市議は「無理な下水道整備を進めれば、どこかにしわ寄せがかかる。早く、安くできるやり方があるのだから、それを選択すべきだ」と重ねて主張しました。

下水道使用料
将来、大幅値上げのおそれ


 現在の下水道使用料金は20立方メートル使用で月額3150円です。一度も値上げをしていませんが、将来、水道事業と同じような公営企業経営として独立採算制が原則となれば、下水道使用料金の大幅値上げのおそれがあります。現に富山市や高岡市では下水道使用料が定期的に値上げされています。
 砂田市議は「無理な下水道整備を続ければ、将来下水道料金の値上げにつながる」とただしました。
 産業建設部長は「6・8億円の一般会計からの繰入を考えると、そういうことが懸念されます」と正直に答えました。その上で「小矢部市の下水道普及の実態からいくと、この段階での使用料の値上げは、今のところ考えていない」と述べました。
 下水道使用料金の値上げを避けるためにも、散居村ではより効率的な整備方法に改めることがどうしても必要です。

トイレだけの浄化槽を
合併浄化槽へ


 砂田市議が「トイレだけしか処理しない単独浄化槽を、合併処理浄化槽に取り替えるための助成制度の創設を求めたい」と質問しました。

取り替えに補助制度
新設を検討 市


 産業建設部長は「生活環境の改善、公共用水域の水質保全などの事業効果を促進することを目的にして、現行の合併処理浄化槽設置補助の他に新たな設置支援策を検討している」と前向きの答弁をしました。

 解説 下水道計画の見直し

 環境省は、人口密度の低い地域では、下水道よりも整備コストが安くてすむなどのメリットがある浄化槽について、効率的な整備手法の検討を始めています。県も市も、これまでの下水道整備計画を見直す作業を進めています。
 公共下水道方式は、各戸からトイレ、生活雑排水を下水管で集めて、高岡市二上の終末処理場で浄化しています。このため集合処理方式ともいわれています。下水管を道路に埋める工事費が整備費全体の8割を占め、散居村では浄化槽方式に比べ整備費用が5倍になると試算されています(2005年6月議会)。
 浄化槽方式は、各戸に設置した合併処理浄化槽でトイレ、洗濯、風呂、台所などの生活雑排水をまとめて浄化し、河川へ流します。個別処理方式ともいわれます。

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