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下水道計画
市の見直し「素案」は不十分
依然 散居村で公共下水道方式
小矢部市は下水道基本計画の見直しを進めています。1982年度に基本計画を策定し、市街地及び周辺地域から順次下水道整備を進めてきました。しかし、2009年3月末現在の整備率は62%で、市内全域完了の見通しは立っていません。また、下水道会計の借金残高は146億円にもなり、より効率的な整備手法を取り入れる必要に迫られています。
3月議会で見直しのための「素案」が示されましたが、内容はきわめて不十分なものでした。砂田市議は予算特別委員会でその問題点を指摘し、改善を求めました。
問題点@
浄化槽の耐用年数
実態に合わない試算
「素案」では宮島地区、南谷地区を浄化槽による個別処理で整備することに見直しましたが、散居村の正得、若林、水島地区などでは、後々の維持管理費用を考慮するとひきつづき公共下水道方式で整備するほうが効率的だとしています。
浄化槽の耐用年数
実態より短く計算
散居村で、どうしてこのようなことになるのか。それは下水管路の耐用年数が72年で、浄化槽の耐用年数を26年としているからです。これは県が試算の前提として示した数字です。
しかし、これは実態に合いません。市内で浄化槽を入れた一番早い時期は1958年で、50年以上たっています。環境省の1998年時点の調査でも30年以上経過しても十分使用に耐えていました(5550基中、構造劣化による廃止数ゼロ)。それからもう12年が経っていますが、現在もその大半が使われいてるものと思われます。
一方、70年以上前に敷設した下水管で管路719キロメートルのうち437キロメートル、61%の下水管を更新しています。もちろんこの要因は道路工事などによるものも多いと思われ、119年前から使われている下水管が健在なところもあります。
実態に合う試算に
砂田議員はこれらの実態を明らかにしたうえで、耐用年数を実態に近いものに合わせて試算し直すことを求めました。
上下水道課長は「数値的な扱い、これが正しいと、こだわっているわけでない。実際、もっともつのではないかということもありますから、そういうことも考慮した上で、結果がどうなるか、どういう動きになるかを考えているところです。」と述べ、試算の見直しも検討すると答えました。
問題点A
市内全域水洗化
素案では50年先に
素案にもとづくと、これから建設する管路の建設費は170億円あまり必要です。(1メートルあたり工事費実績84、500円×管路敷設延長201、625m=約170億円)
砂田市議 これを今の事業費規模で工事を進めると、下水道の市内全域完成には何年かかるか。
上下水道課長 事業認可区域の中は今後25、6年、認可区域外は30年と見込まれ、おおむね55、6年かかる。
問題点B
将来 使用料値上げが懸念される
浄化槽方式で効率的な整備を
砂田市議 近隣市では下水道使用料の値上げが相次いでいる。下水道会計は独立採算が原則ということが口実になっている。
小矢部市はどうか。2010年度予算で見ると、下水道使用料収入が2億3400万円なのに対して、支出は維持管理経費と借金返済の利息だけでも4億円前後だ。下水道会計を独立採算にすると、これに減価償却費を上積みしなければならない。現在月平均5千円前後の使用料負担が、将来2倍前後に値上げされることが心配される。使用料の値上げを抑えるためにも、効率的な浄化槽方式を取り入れるように下水道基本計画の抜本的な見直しが必要だ。
産業建設部長 素案については、これから市民の意見を聞きながら参考にしていきたい。工事についても事前に、つないでいただけることを確認してすすめていきたい。現在のところ、単価の値上げの気持ちはないし、公企業会計への移行もいまその段階ではない。
参考 下水道整備の方法
@ 公共下水道による集合処理 家屋がまとまっている場合に効果的。各家庭からの排水を管路で結び高岡市二上にある処理場できれいな水にして小矢部川に流す。石動、松沢、埴生、津沢などで使われている。1戸あたりの建設費が500万円前後。
A 農業集落排水による集合処理 対象となる家屋がまとまっていて、集落単位で処理した方が経済的な場合に使われている。各家庭からの排水を管路で結び、その集落の分をまとめてひとつの処理場をつくり、処理した水を近くの河川に流す。田川、北蟹谷、薮波北部などで使われている。1戸あたりの建設費が500万円から900万円。
B 合併浄化槽による個別処理 散居村のように家屋が散在している場合に効果的。各家庭に浄化槽を設置し、トイレ、台所、風呂、洗濯などの生活雑排水をきれいにして河川へ流す。1戸あたりの建設費が140万円前後。個人設置型と市設置型があり、小矢部市では現在個人設置型のみ。
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