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砂田喜昭 2010年3月21日更新  
日本軍「慰安婦」問題と教科書を考えるつどい
事実と真実にもとづく教科書を子どもたちに

 日本軍「慰安婦」問題と教科書を考えるつどいが3月14日、富山市で開かれました。二つの講演から平和的民主的人格の育成のためには、教師、父母、市民との共同を広げ、行政に対して、真実にもとづく教育を求めていくことの必要を考えさせられました。

講演1

「従軍慰安婦」が
教科書から消されていく

「VAWWーNETジャパン」
 西野瑠璃子さん


 「VAWWーNETジャパン」(従軍慰安婦問題を追及している市民団体)の西野瑠璃子さんは、3年前、安倍晋三官房副長官(当時)などの介入によって、日本軍「慰安婦」を裁いた国際法廷を報道するNHK番組がねじ曲げられてしまったことを告発。 
 西野さんは海外に展開していた日本軍の現地参謀本部と本庁との間に取り交わされた、慰安婦の募集や増員に関するもの、慰安所規定に関するものなど軍の秘密電報を示して、慰安婦が軍の指示監督のもとで仕事をさせられていたことを明らかにしました。
 しかし、97年には7社全社の社会科教科書に「慰安婦」が書かれていたのに、02年には3社に減り、現在使われている06年度版では、すべての教科書が「慰安婦」を本文で扱わなくなり、取り上げた2社でも、関連記述や注で残されただけとなりました。
 このような侵略戦争の真実を隠した歴史教育では、日本国民の中に真の国際的な友好協力の精神は育ちません。西野さんは「慰安婦」記述復活の取り組みを紹介し、世論をいっそう盛り上げてゆく運動を呼びかけました。

講演2
現場を無視した教科書採択制度、
  政治介入を招く 

「子どもと教科書全国ネット21」
   俵義文さん


 「子どもと教科書全国ネット21」事務局長の俵義文さんは横浜市の教科書採択の変化をたどりました。05年に「採択候補対象教科書」をあらかじめ決める制度に変わると、それまで一番多く採用されていたN社と、S社のものを対象教科書リストからはずしてしまい、N社とS社のものはゼロに。昨年は、市長が教育委員を一人を除き、教育長も含めすべて入れ替えるという強烈な政治介入をして、8地区で「新しい歴史教科書を作る会」の教科書を採用させたのです。
 これは01年に、「新しい歴史教科書をつくる会」や「教科書議連」の要求によって、「学校希望票」による現場の意見を反映した採択制度が廃止され、教育委員の投票などによる採択制度に変えられたことが原因です。
 横浜市のようなことは、歴史歪曲教科書を支持する首長が、同じ考えを持つ教育委員を過半数以上任命すれば、どこの地区でも起こりえます。
 また、新しい学習指導要領と検定制度の下で、「道徳心」「愛国心」「公共の精神」などの「教育目標」が教科書のどこに載っているかを示す一覧表を検定申請時に添付することをすべての教科の教科書に義務付けました。すべての教科書が「つくる会」の教科書のような内容になることが心配されます。
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