|
洪水調節に役立つのか 利賀ダム3つの疑問
12月市議会
民主党政権のもとで全国のダム建設の見直しが始まり、利賀ダムもその対象になりました。砂田市議は12月県議会での火爪県議(日本共産党)の質疑を踏まえ、「この機会に利賀ダムの必要性と効果を市独自でも検証すべきではないか。小矢部市は、効果をよく調べもしないで、重点要望に利賀ダムの建設促進を繰り返しているが、これは見直す必要がある。」と質しました。
@ 洪水対策に有効なのか
利賀ダムができれば、雄神地点(砺波市庄川)で河川水位を31センチ下げる(150年に1度の洪水毎秒6500トンを想定した場合。図で示した水位低下効果は、戦後最大の洪水毎秒3396トンの場合)ときくが、被害を受ける高岡や射水など下流に行けば行くほどその効果は低くなるのではないか。
A 堤防の補強こそ有効ではないか
利賀ダム工事事務所が作成した庄川水系庄川浸水想定区域図では、庄川の合口堰堤付近で堤防が決壊した場合に、正得地区の七社付近や、水島地区、松沢地区、荒川地区が水深0・5m未満の浸水が想定される。
これを防ぐには、堤防の補強、仮に洪水が堤防を乗りこえても崩れないような対策をとるとか、霞堤などの伝統的な対策を強化した方が費用の面でも効率的ではないか。
B 地滑り地帯にダムをつくって、大丈夫か
1963年、イタリアのバイオントダムでは、地滑り地帯につくったダムが地震で崩壊し、土石流で2千人もの被害を出した。これ以後世界では地滑り地帯にダムをつくるべきでないとされた。
奈良県大滝ダムの白屋地区は、2002年にダムが完成したあと、地滑りで地区全戸(37戸)が移転せざるを得なかった。このダムの総事業費が、本体着工時の1540億円から、3640億円にふくれあがった(新たな地滑り対策430億円も含む)。同じ地滑り地帯である利賀にダムをつくって大丈夫か。
疑問点に 答えられず
当局は「呉西各関係市とダム事業の継続を求めている。ダム事業の見直しについては、国土交通省が有識者会議で検討を始めたところであり、今後の推移を見極める必要がある。」としか、答えられませんでした。
火爪県議が指摘
治水効果はごくわずか
12月県議会
国土交通省がひた隠しにしていた利賀ダムの治水効果について、日本共産党の火爪弘子県議が12月11日、県議会一般質問で初めて指摘し、関係方面に衝撃をひろげています。質問の概要を紹介します。
いつまでたってもできない長期計画
庄川河川の治水計画は、2本だて。1つは、「150年に一度の洪水に耐えられる」と言われる、砺波市雄神地点での基本高水流量を毎秒6500トンと設定した計画。
この基本高水の設定が高すぎるために、膨大な予算と年数がかかって「いつまでたってもできない計画」との批判が専門家からあがっている計画です。
当面30年で整備する二つ目の計画
そこで、もう1つ別に、当面30年間で行うより小規模な「庄川河川整備計画」(毎秒4200トンの洪水想定)が作られました。
納得できないのは、なぜその30年間の計画に利賀ダムが必要なのかということ。
私は先の経済建設委員会で「毎秒6500トンの洪水の時に利賀ダムは毎秒500トンの水をカットできるが、当面の整備計画である毎秒4200トンの洪水の時に利賀ダムは何トンの水をカットできるのか」と質問。後になって「それは毎秒180トンである」との答えでした。
庄川下流で8センチの水位低下効果しかない
これによれば、庄川下流の万葉線橋梁付近では「8センチしか水位を下げられない」。国土交通省はこの数字を、庄川流域懇談会にも示さず、経済建設委員会での私の質問に答えるために県が問い合わせても答えず、ホームページの河川整備計画の説明でも伏せています。「ダムの効果が小さいのを隠すためではないか」との指摘があがるのは当然です。
これだけの水位を他の方法でカバーするのに、いくらの事業費がかかるのですか。堤防のかさあげや川底の掘削、既存ダムの活用などで行うとしても、利賀ダムの事業費1150億円よりかかるとはとても思われません。
|
|
|