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砂田喜昭 2009年12月24日更新  
「政治的表現の自由は、
民主社会では、特に尊重すべし」

 葛飾ビラ配布事件の最高裁判決を批判 坂本弁護士
    国民救援会砺波支部大会

最高裁判決を批判する坂本弁護士=12月8日津沢コミュニティプラザ 国民救援会砺波支部の第7回大会が12月8日津沢コミュニティプラザで行なわれました。富山中央法律事務所の坂本義夫弁護士が招かれ、「ビラ配布弾圧事件と表現の自由」と題して講演しました。

  ビラ配布への政治弾圧  
  イラク派兵強行の時期に


 坂本弁護士は、葛飾ビラ配布事件など04年から05年にかけて起こった4件の弾圧事件が自衛隊のイラク派兵や有事法制の強行、各種改憲案の発表など、タカ派的な風潮が高まった時期の政治弾圧であった、と事件を性格づけました。



憲法が保障する
「表現の自由」


 坂本さんは、これらの事件に対する一連の判決に憲法違反のおそれがあることを憲法21条(表現の自由)の考え方にさかのぼって詳しく説明しました。
 @基本的人権として保障される表現の自由のうちでも、政治的な表現の自由は、経済的あるいは芸術的表現の自由よりも尊重されねばならないこと。Aその理由は、政治的主張の自由な表明によって「主権者個人が政治的意思決定に関与できる」からであり、この仕組みが民主制社会の基礎となるからです、B従って、制限を加えるとしても『できるだけ抑制的』に制限することが求められています。
 この法理に立てば、ビラ配布者がポストまで立ち入ることで、住民の私生活の平穏が侵されたり、不動産の所有権や管理権が侵されたりするようなことがあっても、その法益侵害が軽度であった場合は、犯罪とするには当たらない、とされねばなりません。現に商業的チラシなどがポストに投函されていても犯罪に問われたことがないのは、経済的表現の自由がこのような程度にまで尊重されているからです。

萎縮せずに
ビラ配り、大いにやるべし


 結論として、坂本さんは、「11月30日の葛飾ビラ配布弾圧事件に対する最高裁の判決は、憲法の保障する表現の自由に対する無理解から、プライバシーや所有権などの対立利益との比較考量を欠く、不当なものといわねばならない。ですから、これに萎縮することなく、『相手の人権や所有権を尊重しつつ、ビラ配りなどの政治宣伝、大いにやるべし』、が私の結論です。」と締めくくりました。
 参加者から活発な質疑、意見表明がありました。
 大会議事では、前年度の経過と「まとめ」および決算を原案通り承認しました。また、名張毒ぶどう酒殺人事件や布川事件など冤罪の再審請求を支持し、裁判傍聴や署名活動を強化する、裁判員制度を研究し、冤罪を生まない司法制度をつくる運動を続けるなどの活動方針が決められました。

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