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砂田喜昭 2009年8月23日更新  
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農産物の輸入自由化協定(FTA)
日本農業に壊滅的打撃
 米価・FTA問題で懇談会
          
    農民連小矢部班

 農民連小矢部班は8月14日、「日米FTA=自由貿易協定=の締結」が民主党のマニフェスト(政権公約)にあったことから、にわかに選挙の争点に浮上したこの問題で懇談会を持ちました。

 米価 生産費を償わねば、
     長続きしない


 はじめに、富山県農民連事務局長の境欣吾さんが、「量販店の安売り競争などで米価が昨年秋よりも1俵当たり2千円近く下げられた。
 農民連はセブンイレブン等の量販店に生産原価を割らない適正価格での買い入れを求めたり、政府に備蓄米の買い入れを迫ったりしている。量販店側は、『客がより安いものを求めており、安いコメを求めざるをえない』と言い、政府は市場原理主義で、『みだりに市場価格形成に影響を及ぼすようなことはすべきでない』との立場で、備蓄米の買い入れには消極的だ。しかし、生産原価割れの米作が長続きするはずのないことを、広くわかってもらわなければならない」と強調。

日米FTAで、コメは82%の減産

 また、「日米FTA(自由貿易協定)が締結されると必ず農産物の関税撤廃を迫られ、農水省の試算では、日本のコメは82%の減産を余儀なくされ、壊滅的打撃をこうむる。自民党は民主党の日米FTA締結政策を批判しているが、自らは、日豪EPA(経済連携協定)の交渉中であり、これによって乳製品の関税が下げられると、北海道農業を中心に3兆円の打撃をこうむる。批判する資格がない」、と述べました。

 経済効率主義では食糧生産基盤が崩壊

 懇談の中で、飢えている海外や国内の失業者へコメを現物供与すると日本のコメの消費が広がるのではないかとの意見があり、またコメの支給はその地方の自給体制の成長に悪影響がある、との反論もあり、40歳・50歳になっての失業は自己責任ではないか、そもそも援助の必要があるのか、などの議論になりました。
 問題の根本には、人間の生存やそのためにどうしても必要な食糧の分野にまで、市場原理や経済効率の追求が許されるのかどうか、ということがある、と議論が深まりました。
 南谷地域の方から、「5年一区切り・共同化を条件とする中山間地直接支払い制度の補助金を受けて第2回目が後1年で終わる。しかし、次回に共同化に参加する農家がさらに減ることは確実だ。農機具が壊れるか、父親が農作業をできないくらいまでに衰えると、跡継ぎは兼業していては農作業ができなくなる。そうすると収入の少ない農業のほうを辞めて、勤めの給料一本で暮らさざるをえない。中山間地の農地は、草刈などの手間がものすごく、耕作を引き受ける人がなかなかいない。こんな中で耕作放棄地が出てくる」と実情が話されました。
 境さんは「『安ければよい』、と市場原理に任せてきた結果、自給率が下がり耕作放棄地が富山県の耕地面積の6倍、36万ヘクタールにも上っている。平地の区画整理をした田んぼでも放棄地が出始めている。あぜや用排水路の保全ができなくなってくる」とコメントしました。

農政の転換で、農業に希望をとりもどそう

 小矢部班の代表辻さんは「今農業をやっている世代は、次の世代が田んぼをやってくれるはずがない、と思っている。しかし、食糧主権の立場に立ち、FTAに反対し、生産費を償う価格保障政策と、条件の悪いところの農業を支える所得保障政策を掲げ、共同化促進の条件整備を掲げている政党がある。これを伸ばすことで農政を変え、兼業でも農業を続けられる道を開きましょう。」と締めくくりました。

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