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砂田喜昭 2009年5月24日更新  
冤罪を知って、裁判員制度の改善に
国民救援会
「自白・名張ぶどう酒事件の闇」を観る会 開く
         東海テレビ、昨年2月放映番組

 年配の方は記憶しておられると思いますが、48年前の1961年(昭和36年)3月、三重県と奈良県の県境にまたがる山奥(現在名張市葛尾)の公民館で、生活改善グループの総会の懇親会に出されたぶどう酒に毒が入れられており、5人の女性が死亡する「名張毒ぶどう酒事件」が起こりました。
 犯人とされた奥西勝さんは、1審では無罪、2審で逆転死刑となり、最高裁で死刑が確定。奥西さんはその直後から再審を請求、ついに02年の第7次請求がいったんは認められました。しかし、検察側の特別抗告で再審開始決定が取り消され、現在最高裁の判断を待っているところです。
 国民救援会は当初からこの事件を冤罪(えんざい)と考え、支援を続けてきました。5月11日、砺波支部では、東海テレビが昨年2月に放映したこの事件のポイントを紹介する番組「自白・名張毒ぶどう酒事件の闇」を「観る会」を津沢コミュニティプラザで催しました。


「脅迫による自白、不当に長く拘禁された後の自白は、証拠とせず」
 (憲法第38条)

 DVDで上映された番組は、はじめと終わりに憲法第38条を映し出します。「強制、拷問もしくは脅迫による自白、または不当に長く抑留もしくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。」

名張ぶどう酒事件

裁判の経緯


 奥西勝さんが、強制により「自白」した直後に奇妙なことが起こります。当初ぶどう酒は2時過ぎに会長宅へ届けられていたという地区住民(複数)の供述が5時過ぎに届けられたと変更されます。これでは、ぶどう酒に毒を入れることができるのは、懇親会場へそれを運んだ奥西勝さんだけということになります。関係者すべての供述にこの線で変更が加えられたのは警察の強力な教唆があったためではなかったでしょうか。
 第1審は、供述が信用できないとし、奥西勝さんは無罪となります。ところが第2審と最高裁は、死刑になる供述を無辜(むこ)の人がするはずが無いから、奥西さんの供述は信用できるとし、逆転「死刑」判決。
 母親や妹夫婦の苦労が映し出されます。弁護団は、毒物がニッカリンでなかった可能性や、歯形の立体的再鑑定によって奥西さんの歯形ではない可能性など、新たな証拠を探し出し、ついに第7次再審請求が名古屋高裁で認められ、再審が決定されます。直後に検察側が特別抗告。同じ名古屋高裁の別の裁判官が再審を取り消します。・・・

参加者の感想

 見終わった後、「裁判所はどうして科学的事実を見てくれないのだろう」「どうしてあのように『自供』にしがみつくのだろう」と裁判官に対する強い不満の声が上がりました。
 「もし裁判員制度だったら、裁判員たちはどのような判断を下すだろうか。『疑わしきは罰せず』の原則を貫けるだろうか」との意見もありました。

裁判員制度

冤罪に加担
   しないために


取り調べ全過程の
可視化は最小限の条件


 冤罪(えんざい)は警察の取調べの中で大部分生み出されます。救援会が提起している裁判員制度の緊急改善要求の第1に「取調べの全過程の可視化」が掲げられているのは、裁判員を引き受けさせられた国民が冤罪(えんざい)に加担しないための最小限の条件整備です。
 裁判員制度を改善するためにも、もっと多くの人に冤罪(えんざい)のことを知ってもらいたいね、といいながら散会しました。

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