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砂田喜昭 2009年2月1日更新  
雇用促進住宅 国の責任で存続を!
共産党 政府交渉へ

 日本共産党は2月4日、厚生労働省で雇用促進住宅の存続を求めて交渉します。この交渉に砂田喜昭市議も参加します。これに先立って1月19日、雇用促進住宅を管理している雇用・能力開発機構富山センターに要請しました。そこで明らかになった点を紹介します。
雇用・能力開発機構富山センターに要請する共産党地方議員、住民のみなさん=1月19日
厚生労働省  閣議決定の見直しを検討

 厚生労働省は昨年(2008年)12月26日に「廃止決定した雇用促進住宅の活用について」と題する報道発表をしました。
 派遣切りで寮から追い出された労働者を廃止決定していない雇用促進住宅で受け入れることにしていましたが、今後は既に廃止決定を行った雇用促進住宅も活用することとしました。
 今後、雇用促進住宅全体を活用することに伴い、次の2点について、これまでの考え方の見直しを含め、検討・調整するというのです。

 @ 2011年度末までに1/3の住宅を譲渡・廃止するという独立行政法人雇用・能力開発機構の中期目標や、これをふまえて 閣議決定された整理合理化計画のあり方。
 A 廃止決定を行った住宅に現に入居している方々への退去の促進のあり方。

 富山センターでは、この発表について機構本部から文書で連絡を受けていると確認しましたが、これにもとづく対応についてはまだ指示がないとのことでした。
 1月24日に行われた埴生地区の小矢部宿舎住民を対象にした説明会でも、退去期限が2010年11月いっぱいまで延びることや退去手続きについての説明に終始しました。
 厚生労働省の発表文を事前に手に入れて読んでいた住民は、「閣議決定が見直されるのかと希望を持って来たが、今日の説明を聞いて『やっぱり廃止か』」と、ぽつりと感想を語りました。


世論と運動こそ
閣議決定を変える力


 厚生労働省が昨年9月に退去期限の約2年間の延長に応じざるを得なくなった上に、12月末に閣議決定の見直しに言及せざるを得なくなったのは、世論と住民運動の盛り上がり、共産党の粘り強い交渉によるものです。
 ひきつづき運動を強めましょう。

雇用促進住宅 経営は黒字

 家賃収入だけで雇用促進住宅の維持管理ができていることを、富山センターも確認しました。黒字なのに行政改革を口実に廃止することは筋が通りません。

住宅の耐用年数 60年
耐震補強したのでもっと伸びる


 富山センターは「雇用促進住宅の耐用年数が60年で、耐震補強工事をしたので、もっと耐用年数は伸びるはずだ」と答えました。小矢部宿舎は築40年あまりですが、まだまだ使えるし、現に多くの住民が住んでいる住宅を、一方的に廃止するのは道理がありません。

解説

借地借家法改悪 (1999年)


◆ 普通借家契約

「正当事由」がないと立ち退かせることはできない


 2003年(平成15年)10月以前から雇用促進住宅に入っている人は、普通借家契約であり、借地借家法では「正当な事由」がなければ退去させられません。
 「正当な事由」とは、@賃貸人、賃借人がそれぞれ建物の使用を必要とする事情、A賃貸借に関する経過、B建物の利用状況や現況、C明け渡しに関する補償条件を考慮し、合理的な根拠がある場合に限られます。
 「閣議決定」は、土地、建物の使い道も、売却先も未定のまま、更地にして民間に売るというのですから、現に住んでいる30数万人を住宅から追い出す正当な事由にあたりません。

◆ 定期借家契約

濫用は許されない


 契約期限が満了すれば借家人が立退きをさせられるのが「定期借家制度」です。
 これは、1999年7月に、自民党・自由党・公明党の議員が共同提案で国会に提出し、それに民主党の修正案を取り入れ、同年12月に成立、翌2000年3月より施行されたものです。そして雇用促進住宅には、2003年11月以降に入居した人から定期借家契約が適用されることとなりました。
 しかし、この濫用は許されません。
 この制度がつくられたのは「住宅が過剰だから、これまでのように借家人を保護する必要はない」ということを根拠にしていました。しかし、今でも公営住宅はなかなか空きがなく、入居倍率は全国平均で10倍です。派遣切りでホームレスが大量につくられています。その根拠はあまりにも現実からかけ離れています。

参院付帯決議 に明記

「居住の安定を阻害するな」


 この制度を導入した参院の付帯決議で、「本法は……これによって賃借人の居住の安定が阻害されるようなことは意図したものではない」と明記しています。
 しかも定期借家制度導入と同時に、「公共賃貸住宅の整備及び改良」(良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法第3条)を国と自治体に求めています。
 このような経過からも、定期借家契約を濫用して住宅に困窮する人を追い出してはなりません。


こんなひどい制度を
   つくったのはだれか

業界の献金攻勢 
      2億3千万円


 この法律はもともと1998年に自民、社民、さきがけが議員提案し、法務委員会にかけられたが、一度も審議されることなく廃案になったものでした。
 ところが翌年、全国宅地建物取引業協会連合会とその傘下の東京都宅建協会の政治団体が2億3千万円もの献金攻勢で、99年7月、「自民党三役・国対委員長」と会談し、「一部改正案」を取り下げ、新法案を業界とかかわりの深い建設委員会に付託し直す「奇策」(東京不動産政治連盟第27回年次報告)を確認。自自公政権が発足したもとで公明党が自民党と協議、三党の議員提案で新法案を提出、成立させたものです。
 《献金を受けた面々とその額は、新法案を作成し国会提案の出し直しを図ることにかかわった当時の森喜朗自民党幹事長(前首相)が794万円、古賀誠国対委員長(前幹事長)が1250万円。公明党太田昭宏幹事長代行(当時。現委員長)は40万円、衆院建設委員会公明党理事・井上義久幹事長代理(当時)は60万円。綿貫民輔衆院議長(当時)も420万円、他多数。》


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