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砂田喜昭 2008年12月28日更新  
雇用を守れ
砂田市議の12月議会報告(2)

砂田市議 小矢部での雇用状況は?
産業建設部長
 雇用情勢の指数である有効求人倍率は、昨年に比べても著しく低下している。富山県では9月時点で0.91(昨年同期1.25)、砺波公共職業安定所管内でも0.61(昨年同期1.61)。市としても、関係機関、経済団体等と相互連携を強化し、雇用失業情勢の迅速な把握と対応を行っていきたい。

砂田市議 政治災害としての雇用危機への認識はあるか。派遣労働を原則自由化した労働者派遣法を元に戻せと、国へ働きかけること
産業建設部長
 厚生労働省としても2009年問題として対応が検討され、全国の労働局長宛てに通知するとともに、経営者団体・事業主団体への適切な対応と、企業への周知について要請したところである。市としても国の実施状況を勘案しながら対応したい。

福祉分野で雇用拡大を

砂田市議 福祉施設の賃上げ、労働条件の改善で雇用の場の創出を

民生部長
 福祉施設の職員の給与水準は決して十分ではなく、国においては障害者福祉施設の職員の報酬単価の引き上げ、介護報酬の改善に向けた作業を進めており、このことにより雇用の創出などが図られるものと考えている。いずれにしても、市としても適切な改訂となるよう注視していきたい。
 臨時保育士については、各種保険に加入しており、さらに新たに一定の有給休暇制度を設けるなど雇用環境の充実に努めている。一方、児童総数の減少傾向に伴い保育士の配置基準人数も減りつつあること、また近年は需要が高まっている延長保育や早朝保育、一時保育など臨時的な特別保育については臨時保育士で対応することが効率的であることなどから、保育所運営にあたっては、総合的な観点からの人事管理が必要であると考えている。

質問を終えた
  砂田市議に聞く



編集部
 こんどの議会で雇用問題を取り上げたのはなぜですか。
砂田市議 市内でも派遣切りが行われています。しかし、下請け工場では受注が大幅減少で困っていましたが、首切りをせずにがんばっているところがいくつもあります。
 ところが、連日、ニュースで世界的な大企業では大量の派遣労働者の首切りを強行しています。「しんぶん赤旗」でも連日、毎週報道しているように、キャノンなどは株主に1株55円の配当(総額715億円)をしながら、1700人の非正規社員をクビにするというのです。株の配当を3円減らすだけで雇用を守れるのに・・・。実際にものを作っている労働者にしわ寄せするのは許せないと思ったからです。

編集部 3万人の市で、何を言っても通用しないのでは、と言う声もありますが。
砂田市議 そうは思いません。22日朝、NHKニュースで派遣切りをした大企業が、社会的批判を受けて寮からの追い出しを延期したと報道していました。また同じ朝、NHKの「おはようコラム」で影山解説委員が雇用問題に関して、「1999年に労働者派遣法を原則自由化した『政治の責任』を問う必要がある」、オランダの例を示して「雇用を守る社会的合意が必要。経営者にも労働者にも譲歩を求めるには政府の介入が重要で『政治の責任』だ」と述べていました。共産党の言っていたとおりの解説で驚きました。
 これは、5人で労働組合を作って派遣切りを撤回させたマツダでのたたかいや、共産党の志位委員長が経団連やいすゞ、キャノンへ直接乗り込んで談判したことなど国会内外のたたかいの反映です。一人ひとりの声は小さくても、みんなが声を上げれば社会を動かすことができるのです。

砂田市議の一般質問原稿の雇用問題部分

1. 雇用情勢と市の対応について

 小矢部管内の雇用情勢の現状はどうか


 アメリカ発の金融危機を引き金に、雇用危機が深まっていると報道されています。アメリカを中心とする巨大金融機関が、サブプライムローンなどでバクチのような投機、マネーゲームをやって損をしたからと、そのツケを庶民に押しつけることは許されません。
 ところで、ハローワークおやべ管内の雇用状況はどうなっているのか、まずおたずねします。

 政治災害としての雇用危機についての市長の認識を問う

 このような情勢のもとで、日本の巨大企業が次々と非正規労働者の首切りをすすめています。雇用を守るという社会的責任を果たすことができないほど、大企業の体力が弱っているのでしょうか。
 日本経団連会長のキャノンでは約1700人の非正規社員の解雇が計画されています。しんぶん赤旗が7日の日曜日、一昨日ですね、1面トップでこれを報じました。するとNHKは8日の月曜日、昨日の夜7時のニュースで、御手洗会長の釈明の会見を報道しました。御手洗会長は「景気が急激に悪化したから、苦渋の選択で雇用調整をした」と述べました。しかし、果たして本当でしょうか。キャノンは景気悪化で利益が減ったと言って、危機を煽っていますが、年間5800億円も利益を見込んでいます。1700人の非正規社員を雇用するにはわずか34億円、利益の0.6%もあればできるのです。また、キャノンは株主へ一株あたり55円、約715億円の中間配当を配るそうです。株主への配当をわずか5%、一株2円75銭削るだけで1700人の雇用を守れるのです。キャノンで、デジカメを実際に作っている労働者をくびきって、何も作っておらずマネーゲームによる利潤しか目にない株主への配当金はそのままというのは、あまりにもひどすぎませんか。御手洗会長は、これで景気回復が雇用確保につながると言いますが、職を失って、誰がデジカメを買うのですか。
 トヨタ、いすゞなどでも同じです。これら大企業には雇用を守る社会的責任があり、その体力も充分あります。売り上げが減少し、利益が減ったからと、労働者に、犠牲を転嫁するのはおかしいと思わないのか、まず市長の見解を伺います。

 派遣労働を原則自由化した労働者派遣法を1999年以前に戻すよう、国に働きかけを

 日本ではこんなひどいことがまかり通っていますが、外国ではどうでしょうか。スペインでは政府が仲裁に入って、ニッサンの解雇計画を撤回させたそうです。そのかわり労働者側は、75日間の一時帰休を受け入れ、ニッサンはその間は賃金の9割を支給するなどの条件をのんだとのことです。日本でも以前なら一時帰休とかで対応し、すぐに首切りをすることはできなかったが、それをやれるようにしたのは1999年に労働者派遣法を原則自由化したからです。これに反対したのは共産党だけでした。自民党、民主党から社民党までこれに賛成してしまいました。その結果がこの有様です。しかし、これを変えようとの動きが強まっています。
 雇用を守り、景気を回復させるためにも、小矢部市として、労働者派遣法をせめて元に戻せと、国にものを申すべきではありませんか。

 福祉施設の賃上げ、労働条件の改善で市民の雇用の場の創出を

 先日私は、市内の下請け中小企業の工場長にお会いし、景気や雇用問題でお話を伺いしました。受注が激減して、たいへんだと言っておられましたが、一つ印象に残ったのは、これから長い目で見た場合に、自動車業界は洗濯機に車を付けるような電気自動車の時代になるのではないか、そうなればもっと人手がいらなくなる、クリーンエネルギーなど新しい分野で雇用を作ることを考えていく必要があるのではないかという指摘でした。政治家にそれを期待するというのです。

 そこで小矢部市として新たな雇用確保につなげることは何か、まず福祉の分野ではないかと思います。これから高齢化社会に向かうわけですから、高齢者福祉施設の必要性がますます強まると思います。ところが介護職員は時給750円、800円で、人手が足りないし、若い人はなかなか長続きしない。職員が忙しいと利用者も不安になり、「家へ帰りたい」と言ったり、ただボーッとして時間をつぶすだけになったりで、本来の家庭的な雰囲気で老後を過ごすことができません。このような介護職員の待遇改善と労働条件の向上で、新たに雇用の場を作ることが必要ではありませんか。障害者福祉施設についても、同じことがいえると思います。また、以前から問題にしていましたが、保育所の保育士の正職員化も若者の雇用を拡大する上で重要です。小矢部市としては福祉分野で雇用の場を確保し、日本の景気回復へ貢献する決意を伺いたいと思います。

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