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指定管理制度 効果に疑問
砂田市議に聞く
選定をめぐっても厳しい批判
小矢部市議会
公共施設の管理運営を指定管理者にまかせるようになって3年が経過し、契約更新の時期を迎えています。9月議会では来年秋にオープンする道の駅の指定管理者も決定されました。
ここに来て、サイクリングターミナルと市民プールの指定管理者に応募者がなくて市外法人も含めて再募集する事態となったり、議会のなかから「選定が不透明だ」とのきびしい批判が出されたりしています。砂田喜昭市議に聞きました。
編集部 何が問題になっているのですか。
砂田市議 指定管理になって市民からの苦情が議員にも届いているからだと思います。私も利用者から「草刈りがされていない」などいくつも苦情を受けました。そのため議会は12月4日に各施設の視察をしました。
12月議会で問題になったのは、武道館・屋内スポーツセンターと運動公園(陸上競技場・野球場・庭球場)の指定管理候補者(議会が議決するまでは当局が選んだ候補者)が変わったことです。現在の指定管理者は武道館・屋内スポーツセンターが北陸興産株式会社、運動公園が株式会社野手組でした。今回、いずれも(財)小矢部市体育協会が選定されました。体協は、運動公園に応募した3者のうち、最も高い管理料(指定管理者が市から受け取るお金)を提案していました。
編集部 どのように選定したのですか。
砂田市議 副市長はじめ部課長9名の選定委員が、14項目の選定基準に基づいて総合的に評価し、それぞれ100点の持ち点で点数を付け、点数の高い法人を選定したそうです。提案した管理料の評価点は、100点のうち35点分を占めます。市当局は3年前の選定時も同じ方法だったといいますが、ここに疑問が集まっています。一般質問で外部の選定委員を入れることやプレゼンテーションの公開を求めているのもそのためです。
編集部 選定の公平性についての議論は、どう考えていますか。
砂田市議 透明性、公平さはもちろん大切です。選定から外れた市内法人にとっても、何が足りなかったのか、次の教訓にできるような選定方法が必要と思います。その要因がわかれば、再挑戦への道も開かれ、より高い段階での行政との協働に進む可能性もあります。
しかし、それにとどまらず、ここに来て指定管理制度そのものの効果に疑問符が付いたように思います。
編集部 指定管理制度の問題とは何ですか。
砂田市議 もともとこれは2003年の地方自治法改正で、「官から民へ」まかせれば、コストも下がるし、サービスも良くなると小泉「構造改革」で自治体に強制された制度です。これまで市直営か、公共的団体に管理を委託していましたが、公募を原則に民間企業の参入へ道を開きました。そこで選定の公平性という問題が発生しました。
編集部 それではコストは下がったのですか。
砂田市議 指定管理制度の前後で比較すると4109万円のコスト削減です。でも、その内3590万円がクロスランドおやべでの節約で、ここは非公募で民間との競争をしなかったところです。今後5年間でも1576万円の節約を見込んでいますが、その内1397万円がクロスランドおやべです。これは岩堀館長を再任しなかったからです。
一方運動公園では、指定管理で民間企業に変えてから200万円、その後も毎年100万円ずつ削減しましたが、人件費や除草などかなり無理をかけたのではないかと思われます。市内法人に限った一次募集で、今回応募ゼロという施設も出ました。
編集部 「官から民へ」は幻想と言うことですね。
砂田市議 市民に利用されてこそ公共施設は生きます。市民や議会によるチェックこそ無駄をなくすカナメで、競争によるコスト削減は邪道です。9月議会、12月議会と指定管理制度の問題で議論が沸騰しましたが、これこそ議会の役割が発揮されているといえるのではないでしょうか。
私は、何でも「官から民へ」という「構造改革」の動きに警鐘を鳴らし、今後とも市民の声を受け止め、施設がもっと市民に利用されるように取り組んでいきたいと思います。
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