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砂田喜昭 2008年9月15日更新  
イラク派兵違憲判決報告集会 in 高岡
参加者の声

 イラクでの航空自衛隊の活動は憲法違反だとの判決が名古屋高等裁判所で下されてから5ヵ月近くたちました(2008年4月17日判決言い渡し)。その時の裁判長が高岡市出身であることから、その報告集会が原告弁護団の魚住昭三弁護士を講師に9月7日、高岡・本丸会館ホールで開かれました。
会場いっぱいの参加者が講師の話を熱心に聞く=9月7日、高岡市本丸会館別館5階ホール 「憲法をまもる小矢部の会」は例会と位置づけて参加しました。参加者の感想を寄せてもらいましたので、紹介します。

画期的判決のポイント
政府と同じ憲法解釈でもバグダッド空輸は 違法、違憲
平和的生存権は裁判で争える権利
 この訴訟は、イラク特措法に基づき、イラクに自衛隊を派遣したことは違憲であり、平和的生存権が侵されたとして、@国家賠償法にもとづき1万円の賠償と、Aこの派遣を差し止めること、および、Bこの派遣が憲法9条に反し違憲であることの確認を求めて、控訴したものでした。
 結論は、本件控訴をいずれも棄却する、とされました。しかし、その結論をみちびく事実認定や論理には 控訴人の主張が大きく取り入れられています。しかも国の勝訴であるため、国が上告することができず判決が確定しました。
 したがって、「(空自のバグダッドへの武装兵員空輸活動は) 政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」「平和的生存権に具体的権利性がある(したがって裁判所に差止め請求や損害賠償請求などにより救済を求めることができる)」などの項目は、同類訴訟で最高裁が違った判断を示すまでは、「錦の御旗」として掲げることのできるものとなっています。

「イラク特措法」は やっぱり無理な法律

講師のお話を聞きながら、「イラク特措法」が、平和憲法の体系の中では、いかに無理な法律であったかと、改めて思い知らされました。裁判所が、もっと違憲立法審査権を行使して、このような憲法違反の法律を排除してくれていたらなあと思います。
とりあえず今度の判決を頼りに、大いに政治の風を吹かせて、政府を追いつめてゆくことができます。総選挙では大いにこの判決の支持者を広げて、平和憲法擁護のためにがんばりたいと思います。

判決の意味を
  ひろく知らせたい


報告集会に会場いっぱいのたくさんの方が来ておいでた。この判決の持つ意味を多くの人に知らせたいと取り組まれた主催者の意欲が伝わってきた。
講師のすすめ方も、判決要旨を一人ひとりに少しずつ読んでもらって解説を加えたり、質問に答えたりしていて、ユニークで、理解をしやすい方法だった。
私もこの判決の意味をひろく知らせるようにしたいと思った。

判決で初めて知った
    米軍輸送の実態


この判決では航空自衛隊が何をどれだけ運んでいたか、初めて裁判所が事実認定をした。
それによると、陸上自衛隊がサマワから撤退した2006年7月以後2007年3月までの輸送回数は150回、46.5トンの物資を運んだが、その大半が武装した多国籍軍(主にアメリカ軍)の兵員である。国連関連の輸送回数はわずか25回、706人、2.3トンに過ぎない。
判決が、バグダッドを戦闘地域であると認め、航空自衛隊の輸送活動は「イラク特措法」でも禁止されている「武力行使」と一体であるとして、違法・違憲としたことは、たいへん説得力がある。

判決をどう活かすか
 
 事前に目を通したパンフなどから「判決は画期的なもので、これは武器として使える」など期待したものがあったが、講師の話から、「そう簡単ではないぞ」といういかにも法律家らしい冷ややかなメッセージを感じた。裁判官が退官を決意しないとこのような判決を書けないのだろうから、「判決」を当てにするとか裁判に頼るだけではいけない、と考えさせられた。
この判決を政府に受け入れさせ、イラク派兵をやめさせるには、今度は私たちがひろく国民に訴え、選挙で政治を変えるしかないのだろう。

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