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砂田喜昭 2008年1月25日更新  
水道料金 県が下げる分 家庭用料金値下げに
市の対応に期待

小矢部市は24日の産業建設常任委員会で値下げを検討していると述べました。
 この記事はその直前に発表したものです。


「家庭用料金引き下げできるように 供給料金下げ幅を調整」

県企業局  県議会委員会で表明

 富山新聞の報道によると、富山県は西部4市に供給している水道用水の単価を10円値下げし、割当水量も約3%削減することを検討しているようです。県企業局は22日の県議会経済建設委員会で、4市が家庭用料金の「引き下げに踏み切れる供給料金の下げ幅で調整している」(北陸中日新聞23日付)と答えたようです。


料金下げても、配水管工事費は確保できる
 これが実施されますと、小矢部市には10円の値下げで約2200万円、割当水量の3%削減で約500万円、合わせて2700〜2800万円程度の経費削減になると予想されます。
 これを受けて小矢部市などの対応が注目されます。
 12月議会で小矢部市は、「水圧不足・鉛給水管対策に多大な費用が見込まれ、散居村での拡張も検討すれば、単年度で収益が見込まれても値下げは困難である。」などと答えました。
 しかし、小矢部市はこれまでも毎年2億円前後の資金を使って、老朽管の取り替えや漏水対策、水圧不足対策を行ってきています。県企業局が供給料金を下げた分を家庭用水道料金にまわしたところで、配水管工事用としてこれまでと全く変わらない2億円前後の資金は確保できます。改良工事に計画性を持たせればもっと効率的にできると思われます。

無理な水道区域拡張計画は中止を
 将来をみこしての水道供給区域の拡張は、本来、租税で負担するのが筋で、現在水道を利用している地域の住民に水道料金で負担させるのは筋違いです。
 地下水が豊富な散居村に、水道供給区域を拡張する必要はありません。10年以上前にせっかく拡張した津沢地区でも、上水道の普及率は2006年度末現在26%しかありません。


県が下げた分を市の財政にまわすな
 小矢部市は水道料金が県東部に比べ3,4倍と、あまりにも高すぎるため、高料金対策として一定のルールに基づいて一般会計から水道事業会計へ毎年1億円近い補助をしてきました。 
 県が削減する供給料金2700万円で、一般会計からの補助金を減らすことは、県が家庭用料金値下げにつなげたいとしていることに真っ向から反し、許されません。

格差是正に政治が役割を
住み続けたいまちづくりのためにも
 自民党・公明党政治のもとで格差と貧困が深刻です。税金の使い方をあらため、大企業応援の政治から家計を応援する政治に切り替えなければなりません。せっかく県が下げてくれる水道供給料金は、家庭用料金引き下げにまわすべきです。市の財政負担を増やさずにできるのです。
 「住んでみたい小矢部市」「住んで良かった」「住み続けたい」まちにするためにも、市民負担を少しでも軽くする努力が今こそ求められています。


解説 
自治体から水道事業への公費導入は正当

 水道事業は住民の命と健康を保障する公共性を持っていることに加え、その設備費が莫大なことから、公営企業として運営されています。営利を目的とする民間企業では採算がとれず、経営できないからです。
 そこで地方公営企業法では経費負担の原則を定め(1966年法改正)、一般会計からの負担、補助の道を開いています。その条文を紹介します。


(経費の負担の原則)
第十七条の二  次に掲げる地方公営企業の経費で政令で定めるものは、地方公共団体の一般会計又は他の特別会計において、出資、長期の貸付け、負担金の支出その他の方法により負担するものとする。
一  その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつ
て充てることが適当でない経費
(政令では、「公共の消防のための消火栓に要する経費その他水道を公共の消防の用に供するために要する経費及び公園その他の公共施設において水道を無償で公共の用に供するために要する経費」に限定)
二  当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行なつてもなおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費
(政令では水道事業についての規定なし)
2  地方公営企業の特別会計においては、その経費は、前項の規定により地方公共団体の一般会計又は他の特別会計において負担するものを除き、当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てなければならない。


 地方公営企業法では「能率的な経営を行なつてもなおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費」を一般会計で負担するとしていながら、政府がさぼって、政令を定めていません。
 1967年に政令改正が論議されたとき、「水道事業については、先行投資的性格の強いダム建設費、また、道路改良に伴う給配水管の敷設替えに要する経費」などが検討されたそうです。当時の自治省担当官は「負担区分経費のすべてが定められているものではない。企業活動の変遷に応じ弾力的な法制が採られるものと考えることが妥当。」と述べていました。(「日本の水道事業」第9章公費導入 148,149ページ。寺尾晃洋著、東洋経済新報社)


(補助)
第十七条の三  地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。


 これは経費負担の原則の例外として、関係各省の強い要望もあって存置することになったといわれているそうです。(同右150ページ)


高料金対策補助金制度

 法定された負担区分経費でないが「地方公営企業の経営基盤強化と健全化」のために地方財政計画にもとづく繰出金として、高料金対策に要する経費があります。
 国が1995年にこの基準を一気に引き上げたため、小矢部市が国の補助対象から外されたとき、市独自の高料金対策を作り、ほぼ毎年、国の基準があったときと同様に一般会計から水道事業会計に繰り出しをしてきています。小矢部市のこのやり方は、法律の趣旨に則った正当なものです。

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