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米国 医療保険問題を告発する
マイケル・ムーア監督 新作映画「シッコ」を観よう
独自のユーモアで米国の政治や社会をしんらつ辛辣に批判するマイケル・ムーア監督による米国の医療保険の問題点を告発した新作ドキュメンタリー映画「シッコ」が、県内でも上映されています。 【富山市婦中町のファボーレ東宝で、11月2日(金)まで】
この映画を、2007年6月26日(火)「しんぶん赤旗」の記事により紹介します。
この映画をめぐっては公開前から話題に事欠きません。撮影でキューバへ無許可で渡航したとして、米財務省が調査に着手したため、没収を避けてマスターフィルムをカナダで保管。二十日には医療保険関係のロビイストを招待して連邦議会でも上映されました。
題名の「シッコ」(Sicko)とは俗語で「倒錯した人」の意味。ムーア監督自身が、国民皆保険制度のあるカナダ、英国、フランス、キューバを訪ね、その実態と対比させながら、世界一の富を抱えているのに、大多数の国民には貧困な医療しか施せない「倒錯した」米国の現状を告発しています。
米国では約四千七百万人が無保険状態にありますが、監督が取り上げるのはむしろ、保険に加入していても保険会社から医療費の支払いを拒否され、莫大(ばくだい)な負担を強いられた人たち、支払いができずに医療機関から追い出される人たちです。
前作「華氏911」(二〇〇四年)でムーア監督が「対テロ戦争」にまい進するブッシュ政権に向けた批判の矢は、人命よりも会社の利益を優先する医療保険会社と製薬会社、そしてその献金にまみれた議員に向けられています。
アメリカ言いなり続くと
日本もあんなひどいことになる!
映画を観た市内の方々から感想を寄せてもらいました。
◆ 明日からあんなことになるとは思わないが、日本の政府がアメリカの言うことばかり聞いていると、今にあんなひどいことになるぞ。
みんなで見に行かんなん映画だ。私も、もう一回見たい。 (kさん)
◆ 私も、ぜひみたいと思っている。日本も2,30年前は保険で医療費が無料だったのにね。だんだんアメリカみたいにされている。 (Uさん)
◆ 民間医療保険では診療代を支払えないといわれた女性が、カナダへ行って偽装結婚をして無料で治療を受けていた。イギリス、フランスでも医療費が無料。税金でまかなっているのに、それらの国では財政破綻をきたしていない。
イギリスで医療費が無料になったのは、第2次世界大戦後のこと。戦争で失業者を無くせたことから、「人殺しで雇用を増やせるのなら、医療や福祉の充実という人助けでも雇用を増やせるはずだ」と始めたそうです。
軍事費を削って、社会保障に財源をまわせという日本共産党綱領、日本改革の提案と共通すると思った。 (Yさん)
◆ フランスで医療費も無料、大学生も授業料が無料。どうしてできたかとの問いに、フランスでは政府が国民を恐れているが、アメリカでは国民が政府を恐れて声を上げないと言っていた。
日本でも、国民が声を上げていくことが大事だ。
(Hさん)
だま騙されるものか!
◆ 「もしもし、Iさんですか。私、アリコジャパンからお話ししているんですが、あのう」
小生はここまで聞いたら、続きをしゃべらせず、「保険ですね。2,3日前の新聞に不払いの件で記事になっていたでしょう。でも、貴女は職業として話されているから肯定できないかも知れないね。でも職業柄、今、話題の映画シッコを観られましたか」「いえ、観ていませんが」
小生曰く「あの映画を観てからまた電話して下さい」と、ソフトにお断りした。
このこともあって、小生はあの強烈なシーンの数々を思い出した。一番印象に残っているのは、あの9.11で救出活動に参加した人の後遺症のケアの置き去りである。最後の手段として本人も含め、悪魔の国へ行き、一般人と同じ待遇で手厚い治療を受け、帰国する場面を観て、私たちを苦しめるゆがんだ医療行政とこれに追従するマスコミに怒りを感じた。
(Iさん)
「悪魔」のように言われているキューバ、
実は…… (映画より)
「9.11同時テロ」で救援にあたった消防士らが、それが原因で気管支の病気になったのに、政府が面倒見てくれなかった。そこで、映画監督のマイケル・ムーアが、彼らをキューバにある米グァンタナモ基地へ連れて行った。そこはアメリカの領土。そこでは、9.11テロの犯人が収容され、無料で最高水準の医療を受けていると知ったからだ。テロ犯人でさえ無料で治療を受けられるのなら、救出活動をした人たちも、当然無料で受けられるはずではないか。
ところが、そこでは見向きもされなかった。結局、キューバに密入国し、彼の国で全員が無料で、適切な治療を受けられた。アメリカでは「悪魔」のように言われているキューバでこれを体験した人は、アメリカで言われていたごまかしに気がついた。
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