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砂田喜昭 2007年8月23日更新  
国が主導する総合交通体系の確立で、
エネルギー・環境問題からの打開を急ごう!

  
こんな時代だから、「鉄道」を見直そう
       
辻  慶 輝 (元JR社員)

長距離貨物輸送 は
     鉄道へ転換を

 どの高速道路も幹線道路も長距離大型トラックで埋まっているかのようで、排出されるCO2(二酸化炭素)等による環境破壊は今や一国一地域を通り越えて地球規模の問題となっています。
 一方、県内外では北陸新幹線開通に関して並行在来線の活用対策が検討されており、その一つとして鉄道による長距離貨物輸送への見直しが注目されています。鉄道の特性である「大量に・正確に・安く」をもう一度評価見直してみる時期にきたように思います。
 鉄道を活用した長距離貨物輸送とは、具体的には荷物を積載したトラックを丸ごとコンテナ車で鉄道輸送するもので、目的駅から届け先までをそのままトラックで路上輸送することを含める場合もあります。
 長距離貨物の鉄道輸送は旅客会社の昼間のダイヤへの割り込みが難しく、深夜のダイヤとならざるを得ない現状だそうですが、一度に1200tを引っ張る電気機関車もあり、トラックとは比較にもなりません。しかも定められた停車駅まではどの駅もほとんど通過扱いとなり、自動車のように信号待ちの度に多くのエネルギーを消費することはありません。列車ダイヤも秒単位で運行され到着時間がはっきりしており、大量に運べるため単価は安くなります。
 このような利点があるにもかかわらずかつて撤退した背景には、国鉄の分割・民営化時に財界を中心とした自動車産業の育成、道路建設・広大な貨物跡地の取得(都市の中心地)があったようです。


国は、生鮮食料品等 を除き一般トラックの 輸送距離に制限を

 JR貨物会社は全国一社制であり、貨物輸送の国による交通体系の位置付けが決まれば容易に実施できると思います。規制緩和のもとで儲けと効率さえあれば何でもできる、運転士の苛酷な労働条件を前提に会社さえ儲かればよいという発想は転換すべき時代に入ったように思います。
 ここで誤解をしてほしくないのは、けっしてトラック会社を敵に回すという考えではないということです。トラックはトラックの長所を生かしてほしいのです。その指導を国や行政が果たしていくことが大切なのです。


旅客輸送 も
 例外ではない……

公共交通として
   利用者の利便を

 ご存知のように、旧富山港線をJRから譲渡された富山市は、ライトレールを発足させ乗客を大幅に増やして交通弱者の救済や中心市街地の活性化に取り組み、全国的に注目されています。ライトレールを推進した森市長は、この面ではすばらしい人だと思っています。高齢化社会、過疎化問題も見通していらっしゃると思います。すでに多くの都市で路面電車の復活や新設を検討されているところがあると聞いています。
私も労働組合のメンバーとして、国鉄・JRを通して団体交渉の中で「あるべき交通体系とは」の議論をしてきましたが、当局側との一致点も多くありました。
 北陸本線の旅客ダイヤ(石動駅)を見てみましょう。特急の通過ばかりで普通列車は、日中は1時間に1本です。せめて終日30分に1本は運行してほしいものです。金沢〜高岡間が特に少ない現状です。マイカー客を呼び戻すために、大型立体駐車場(冬は除雪の必要がない)を設け定期券とセットにして割り引きするなど、JRの努力が求められます。
 JR西日本が儲けだけを優先させ安全を軽く見ていると、取り返しがつかない損失と信用を失うことを肝に銘ずべきです。

減り続ける
並行在来線の将来需要予測
(県調査)

 北陸新幹線が開通したら在来線(北陸本線)をJRから経営分離しようとしています。
 富山県は2014年の新幹線開業予定時、その10年後、30年後の乗客の利用状況を予測する調査を行いました。その概要が市議会に報告されましたので、お知らせします。

 それによると2005年時点で一日の輸送密度は8700人ですが、新駅をつくらず運賃も改定しない場合、新幹線開業時には6964人(2005年比80%)となり、10年後(2025年)には5513人(63%)、30年後には3473人(40%)となると予測しています。
 新駅1駅(富山・東富山間に)を設置し、運賃を改定(値上げ)した場合には、30年後には3384人(39%)に減少すると見込んでいます。
 このため今後の検討課題として、経営が大変厳しいことを認め、並行在来線の運営方法の検討や利用促進策、貨物輸送を支えるための国の支援などを挙げています。




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