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前知事退職金裁判 控訴審開く
行政言いなりの地裁判決を批判
原告控訴人が意見陳述
中沖前知事の退職金があまりにも高額で、違法に支払われたと訴えている裁判の控訴審が1月15日、名古屋高裁金沢支部で開かれ、原告控訴人の二人が意見陳述をしました。
控訴人の一人、美谷克己氏は冒頭「富山地裁判決は行政無謬説とでもいうべき先入観に基づいた、結論先にありきの判決である。」「一方、我々の提出した専修大学法科大学院・晴山一穂教授の意見書は、ほとんど読まれた気配がない。いや、読みはしたが、あまりにも富山県行政のあからさまな過失が真向から批判されているので、その一部であろうとも言及することが出来ないかのようである。」と批判し、高裁の裁判官に対して、「当裁判所の裁判官には是非とも虚心に晴山意見書を読んでいただきたい。」と強調しました。
裁判官の資質も問題
裁判官の資質についても次のように厳しく批判しました。
「富山地裁の裁判官には行政に対する知識や判断力について根本的な欠陥がある。」「議会制度や行政の仕組みそのものに対する認識を欠如している裁判官だから、この裁判の根本である給与条例主義について、条例と議決との意味の違いも理解できないのである。」
「議会と対立した長野県知事の退職金が条例で決まっていなかったらどうなっただろうか」、「知事と圧倒的多数与党の議会との「なれあい」が常態化し、癒着した「車の両輪」となっている富山県のことのみを念頭において判断したのであるなら、それもまた裁判官としては視野が狭く、行政と議会の本質を見ないものである。」
「あまりにも高額な退職金支給」に怒り
もう一人の控訴人、石山忠義氏は、一県民の立場から「県民が苦労して納めた血税を、あまりにも高額な退職金として、県民の批判を無視して支給を強行されたことに大きな怒りをもっています。」と述べました。
給与条例主義でこそ
県民が議論できる
「地方自治法を無視して、条例に明記せず議会の議決のみで退職金額を決めるという、全国どこの県でもやっていないやり方にはとうてい納得できない」として、これを容認した地裁の判決を批判しました。石山氏は「議会の議決と言うことであれば、県当局が退職金額を議会に提案しない限り、県職員と同じ退職金であり、問題にはならない。条例で決めてあればその金額が妥当かどうか議論でき、改正のための要望行動もできる。」と、県民が主権者として行動する上でも地方自治法が定める給与条例主義の重要性を強調しました。
1兆円近い借金をつくったものに
退職金は許せない
また県当局が財政難を口実に県民に負担を押しつけてきていることを指摘し、「1兆円近い借金をつくり、税金の7割を借金返済に回さざるを得ない事態をつくりだした前知事に、なぜ、高額な退職金を支払うのか」と厳しく批判しました。
最後に石山氏は「我々だけでなく、多くの県民も納得できない気持ちでいる」として寄せられた署名を裁判所に提出したことを紹介し、「憲法の三権分立の原則に則り、正しい判決を」と結びました。
裁判長は結審を宣言し、3月26日に判決がでることになりました。
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