バナー2006年12月10日号
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人口が世界で2%の日本 食糧貿易量の10%買い占め
地球上で飢餓 8・5億人!


日本の国際貢献 作物をつくろう…農業考えるシンポで 農民連訴える

 「富山県食健連」(国民の食糧と健康を守る運動富山県連絡会)と「農民連」(農民運動富山県連合会)主催のシンポジウム「自給率と地域農業、食の安全を考える」が11月25日、砺波市内で開かれ、小矢部からも「コープとやま」など消費者団体や農業関係者が参加しました。
 富山大学教授酒井富夫,JAとなみ野営農部長土田英雄、新日本婦人の会富山県本部副会長渡辺キミ代、農民連事務局長笹渡義夫の各氏がパネリストとして問題を提起しました。

食と農のシンポジウム、農民連多田氏撮影=11月25日
自民党農政で
「田舎が崩れてゆく」


 渡辺さんは、産直活動16年を振り返り、食の安全を求める中で、「やっぱり食べたい日本のお米」に到達し、最近は消費者に農業を体験するさまざまな機会を提供している、と述べました。
 土田さんは、コメ政策大綱により補助を受ける範囲が制限されていくと述べ、転作でやせる農地の地力を維持させる必要を指摘しました。
 酒井教授は、「田舎が崩れてゆく」現状を憂え、「担い手」の位置づけが農業基本法時代から新農業基本法の最近までどのように変わってくるかを、日本経済の動きの中で解き明かしました。

自民党農政の前提=WTO体制
機能不全に


 笹渡さんは、まず、農業構造改革では、「改革」という言葉でごまかしながら、長い歴史をもつ家族経営農業をなくしようとしている、と告発し、中心施策の「品目横断的経営安定対策」が生産を刺激するものでないため、生産の縮小、農山村の破壊、自給率の低下となり、ますます世界の食糧を買いあさることにならざるを得ない、と指摘しました。  
 そして、この政策の前提となっているWTO体制が、食糧主権を求める世界世論に包囲されて、機能不全に陥ってきていることに、政府は目をふさいでいる、と批判しました。
 食糧主権とは、すべての国と民衆が自分たちの食糧・農業政策を決定する権利です。それは、すべての人が安全で栄養豊かで、民族固有の食習慣と食文化にふさわしい食糧を得る権利であり、こういう食糧を家族経営・小農が持続可能なやり方で生産する権利です。
 FAO(国連食糧農業機関)の今年の食糧安全保障委員会での出来事を笹渡さんが紹介しました。スペインの農民NGO代表が、「世界の人口2%の日本が、世界の食糧貿易量の10%を独占している。このため8億人といわれていた飢餓人口が、減るどころか、8億5千万人にも増えている」と告発し、日本政府代表が必死にメモを取っていた、とのことです。

日本の農地=世界一の生産力
作物をつくらせないなんて!


 人口扶養力が世界1,2の日本の農地を休ませて、世界の食糧を買いあさり、貧困な国々の飢餓を助長するのは犯罪的であり、長続きするものではありません。
 したがって、今日本の生産者に求められていることは、無理して、品目横断的経営対策に乗ることではなく、適地適作で生産を守り、産直や学校給食の自給体制を強めて、生産者と消費者の連帯感を高めることです。高齢者の知恵と技術を生かし、究極の複合経営である「兼業」の息子が定年退職して後を継ぐまで、元気で経営を守ることです、と笹渡さんは締めくくりました。

農業への補助金
高齢者、元気のもと


 フロアーからの質問に答える中で、笹渡さんは全国のさまざまな自治体農政での工夫を紹介しました。
 今治市での1haあたり2万円の耕作補助金(合計480万円)について、当初「バラまき」との批判がありましたが、高齢者が働けることで、健康になり、国保の負担が減り、住民税が入ってくるから、「安いものだ」に変わりました。
 長野県栄村では、集落助け合いを奨励し、農機の共同購入には補助金を出しています。
 また、全国で高齢者が知恵と力を出して、生産だけでなく、加工・販売にも元気で活動している多くの例を紹介し、地域農業を育てる展望を示しました。



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