バナー2006年10月29日号
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区画整理問題のキーワードは 「住民の幸せ」

  〜第39回区画整理・都市再開発対策全国研究集会に参加して
           
      
市議会議員 砂田喜昭

 私は10月21,22日に茨城県つくば市で開かれた第39回区画整理・都市再開発対策全国研究集会に参加しました。
 小矢部市で石動駅南土地区画整理事業が計画されており、住民が「区画整理事業とは何か」を十分理解しないまますすめられていくことを懸念したためです。これに要した経費は56790円(参加分担金、交通費)で、議会の政務調査費を充てる予定です。



憲法とそれに基づく法体系を、私たちの日常生活に生かしているか

 記念講演は池上洋通氏(NPO法人日野・市民自治研究所副理事長)。池上氏は数年前に市町村合併問題が議論されていた頃、小杉町で「合併しないと地方交付税が削減される」との勘違いを正してくれた講師でした。
 今回は「心のクレヨンを取り出して――みんなで描こう 共生のまちの絵図」が演題で、人間の顔をしたまちをどうつくるかがテーマでした。その基礎に憲法と地方自治法、教育基本法など日本の法体系があるとして、その原則通りに政治が行われれば道が開かれるというのが今回の発見の一つです。


日本国憲法の源流
 明治の自由民権運動
決してアメリカの押しつけでない


 憲法が「アメリカの押しつけ」との議論に対して、明治時代に自由民権運動の中から現在の日本国憲法のさきがけとなる憲法草案がつくられていたこと、植木枝盛のそれには「革命権」も規定されていたことが紹介されていました(※注)。これは現憲法の第12条(自由・権利の保持と公共の福祉)にも通じるものだと指摘されました。
 池上氏が品格のあるまちとして紹介したのは北海道のある寒村です。1500人の村に村立農業高校がある。村長は「ここでは企業誘致で村の活性化はあり得ない。あるのは農業。そのために人をつくる。」といって農業高校をつくったそうです。定数40人に60人の応募があるそうです。

自・公政府の
教育基本法改悪案
「教化」教育への復古


 自民党・公明党政府の教育基本法改悪案についても、その条文を読めば洗脳教育であることがわかると指摘されました。教育の目標が羅列されているが、何々をする「態度を養う」となっている。「態度が悪い」といって兵隊をぶん殴った戦前の「教化」教育で、子どもを洗脳することだと批判されました。そういわれて現教育基本法、学校教育法、社会教育法を読み直してみると、「人格の完成を目指す」「自主自立の精神を養う」「何々する能力を養う」「健全な批判力を養う」となっており、この通りの教育が行われれば、いじめや自殺など今日の子どもを取り巻く状況は解決できるのにと思いました。


(※注)立志社 東洋大日本国国憲按(案)
第70条 政府国憲ニ違背スルトキハ日本人民ハ之ニ従ハザルコトヲ得
第71条 政府官吏圧制ヲ為ストキハ日本人民ハ之ヲ排斥スルヲ得
 政府威力ヲ以テ擅恣暴逆ヲ逞フスルトキハ日本人民ハ兵器ヲ以テ之ニ抗スルコトヲ得
第72条 政府恣ニ国憲ニ背キ擅ニ人民ノ自由権利ヲ残害シ建国ノ旨趣ヲ妨クルトキハ日本国民ハ之ヲ覆滅シテ新政府ヲ建設スルコトヲ得

自由民権派の憲法も、現憲法も、「個人の幸せのために政府がある」とする立場で、1776年のアメリカ独立宣言がその基礎にある。

アメリカ独立宣言より
すべての人間は平等につくられている.創造主によって,生存,自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられている.これらの権利を確実なものとするために,人は政府という機関をもつ.その正当な権力は被統治者の同意に基づいている.いかなる形態であれ政府がこれらの目的にとって破壊的となるときには,それを改めまたは廃止し,新たな政府を設立し,人民にとってその安全と幸福をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方でその政府の基礎を据え,その権力を組織することは,人民の権利である.

   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 

土地区画整理事業

全国の住民運動の経験から
  区域除外を勝ち取った事例


 全体会では兵庫県赤穂市や千葉県流山市などの経験が報告されました。公共のためとは、多くの民のためになるかどうかです。決して政府や自治体のためではありません。「住民の幸せ」が、区画整理問題のキーワードであることは、記念講演からもはっきりしてきました。赤穂市では住民運動で区画整理地域からの除外を勝ち取った経験や、流山市では団地住民が「何も変わらないのに100万円もの清算金はおかしい」とがんばって、減歩率を0.9%へ下げさせた経験が報告されました。全体会のあと、私は「講座・区画整理入門」の分科会に参加しました。

デメリットを
理解してもらう努力こそ


 区画整理事業の説明会では、良いことばかりの説明になりがちですが、どのようなデメリットがあるかを、きちんと住民に理解してもらい、合意と納得ですすめることが大切だとわかりました。土地区画整理士の国家資格もあるそうで、行政の側に有資格者が果たしているのか、すすめる側もよく理解しないで進んでいるのではないかという懸念が語られました。

「仮同意」は無効

 現在、石動駅南土地区画整理組合設立準備委員会で「仮同意書」への署名、捺印が求められていますが、本来、「仮」同意などということはあり得ません。区画整理の根本は換地にあり、自分の土地がどこへ変わるのか、その周りの様子がどうなるのかという計画が明確でないのに同意などあり得ません。土地の所有者、借地権者は区画整理組合の定款、事業計画へ同意するかどうかです。「仮同意」に署名しても、その後撤回することは法的には全く問題ありません。

土地の値上がりが前提
下がると減価補償金の負担


 土地区画整理事業は、地価が右肩上がりということが前提です。公共用地を減歩でつくりだしたのに、地価が上がらない、あるいは下がるとなると、減価補償金を払わなければなりません。組合施行の土地区画整理事業では、支払うのは組合です。結局損をするのはその地域住民です。破綻した土地区画整理組合も出ているそうです。

保留地が売れ残る恐れ
誰が事業費を負担するか


 また、保留地が売れなければ、組合員から改めて賦課金を徴収することになります。石動駅南第二土地区画整理事業では、売れ残った保留地2557.22uを市が9103万7千円で購入しました。今でも空き地のままです。このようなことが繰り返されるおそれはないのでしょうか。

土地区画整理について
      学習が必要


 土地区画整理について、私自身を含めて関係住民の皆さんともっとしっかり学習する必要性を痛感して帰ってきました。


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