バナー2006年10月22日号
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家族農業を活かし、農業の未来を開こう
農業問題学習会


 「米が余っているのに輸入を拡大するような農政を変えるため、みんなで知恵を出し合いましょう」と砂田市議が呼びかけて、10月14日、農業問題学習会が開かれました。


米価下落が農業困難の原因
  稲作農民の日給3千円!


 講師の水越久男さん(県農民連事務局長)は、「生産費が上がっているのに、米価がどんどん下がる。これが農業を困難にしている一番の要因だ」と切り出し、「政府がやろうとしている、農業支援を大規模経営の『担い手』に限り、家族農業を切り捨てるやり方には未来がない」と述べました。
 この10年あまりで米価は2万4千円から1万4千円に激減、その一方経費はいっこうに下がりません。稲作農民の日給はわずか3千円にも満たないのが現実です。

WTO体制は完全に行き詰まり
農産物自由化一辺倒には進まない


 WTO体制のもとで農産物の輸入自由化が迫られ、「外国の安い農産物と対抗するためには規模拡大しかない」と政府はいっているが、WTO交渉は完全に行き詰まっている。
 アメリカは、農家に補助金を出してダンピング輸出をしているが、これをやめようとはしない。穀物メジャーや独占企業のみが利益を受け、世界中の農民や発展途上国が被害を受けてきた。WTOの交渉の中で「食料主権」の主張がますます強まっている。政府の言うように「農産物の自由化一辺倒」には進まない。

日本の食糧自給率
     北朝鮮より低い


 いま世界各国では食料主権を掲げ、自給率向上に力を入れる動きが広がっています。ところが日本の穀物自給率は28%で40年前の半分以下、北朝鮮の78%よりも遙かに低い水準です。こんな農政で日本人の食料が守られるのでしょうか。

農民は作物を作り続けよう
 自治体への要求運動もやろう


 「世界の動きをしっかり見据えて、農民は作物を作り、自ら販売網を広げ、加工して付加価値を高め、米価をこれ以上下げさせない取り組みをやっていこう」と提起した水越さんは、近隣の自治体や農協が行なっているハトムギ栽培や野菜栽培などの振興策(注)を紹介しました。また、県や市に対しても、農業機械への補助の拡大や、法人化の押しつけをやめよ、など緊急の要求を掲げて働きかけよう、と訴えました。

農協はどんな役割を果たすべきか

 参加者から、集落営農の論議の様子や、農協と政府の関係をどう見ればいいのか、農協中央会の元役員が自民党から参院選に立候補するというが、どう見れば良いのか、などの質問がありました。

農協を取り込む自民党、財界の作戦
 米価引き下げを容認する方向に 
       農業の未来はない


 水越さんは、「コメの自由化以後、自民党政府は全国農協中央会の抱き込みを図り、財界・農協と相談して、農業政策を打ち出している。自民党は参議院でこれまで農林官僚を比例代表の候補にしてきたが、今度は農協出身者に代えた。悪政続きで、農林官僚では戦えないとみたのだろう。しかしこの農協出身者は、「鉢巻きを締めて拳を突き上げる米価闘争」を「転換」したことを自慢している人物だ。自民党・政府の政策を押し付けるだけで、農民の要求を実現する方向には働いてくれそうにない。米価引き下げを容認し財界と取引する方向に日本の農業の未来があるだろうか、と答えました。

みんなが声を上げ
  農業を大切にする政治を


 全国農協中央会を単位農協の役職員の代表にしようとする動き(大会議案)があるもとで、参加者から「農協が農民の協同組合としての役割をしつかり果たすように、私たちが大いに声を上げなければ」との発言も出されました。農民一人ひとりの要求を大切にする協同組合という原点に立ち返ることで、農業を大切にする政治をつくっていこうと話し合いました。

(注)水越さんが紹介した
各地の農民、農協の取り組み

  作物作りを奨励
  農協が独自に補助金


 ある単位農協の幹部は「農業は夢産業です。金融や共済はばくちのようなもの。財界が農業をねらっているからこそ、農協は農業を守るのだ」と語り、1億円の資金を用意して、ハトムギを栽培すると10aあたり5万円の補助を出してハトムギ茶を販売しているそうです。

 産直が2億円の売り上げに

 また、ある農協では野菜の産地直売に取り組み、ひとり50万円を目標に600人の生産者を組織し、2億円を売り上げている。これが毎年大幅に伸びているそうです。いま全国的に産直がたいへん注目されています。


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