バナー2006年9月3日号
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県単独医療費助成制度を守ろう
石井県政がやろうとした改悪案

 富山県はこれまで実施してきた県単独医療費助成制度を見直し、
 @妊産婦と65〜69歳軽度障害者の2医療費助成制度を廃止、
 Aすべての助成制度を償還払い(窓口で有料、後で自己負担分を個人へ振り込む)とし、
 B新たに所得制限(一定所得以上の人は助成対象から除外)を設けることにしようとしています。(県が設置した「医療費助成制度のあり方懇談会」第6回懇談会での「中間整理案」=6月6日)

 富山県の県単独医療費助成制度は、「心臓病の子どもを守る会」などによる長い間の県民運動で1972年に発足し、以来、県民の要望・運動を受けて段階的に充実されてきたもので、全国に誇れる優れた福祉医療制度です。
 小泉改革により格差と貧困が広がる中で、支えになるべき社会保障が、逆に暮らしに襲いかかる事態が生まれています。低所得者・社会的弱者が社会保障から排除される事態が広がり、「官から民へ」のかけ声の下で社会保障の公的責任を放棄する動きが強まっています。
このようなときに石井知事は、富山県の優れた福祉医療制度を壊そうとしているのです。

県民の運動と世論によって
2007年度実施見送りへ

 しかし、保険医協会や腎友会など多くの障害者団体や医療関係者の運動の高まりの中で、6月県議会では全会派が制度の維持を求め、「中間整理案」を支持する議員は一人もいませんでした。
 8月2日に開かれた県市長会と町村長会が合同で開いた会議では、「中間整理案」に対して市長らより「一言でまとめれば(見直しを)性急にされると、住民と身近に接する市町村へのしわ寄せも予想される」、「(妊産婦助成制度の廃止や償還払い方式の導入は)基本的に全部間違いであり、全部拒否する」とした厳しい批判が出されました。
 これを受けて8月10日に開かれた第7回「あり方懇談会」では、「中間整理案」のとりまとめを先送りし、来年度も制度が守られることになりました。ただ、国の障害者医療費自己負担引き上げの制度改悪分を患者負担に転嫁する中間第1次報告をとりまとめました。
 日本共産党富山県委員会は9月県議会が医療費助成制度を守ることができるかどうかの正念場だとして、「県民世論を広げ、市町村とともに制度を守る運動を広げましょう」と呼びかけました。

小矢部市における医療費助成制度の利用状況(2004年度決算)

乳児( 0歳児) 対象者数 240人 利用件数 2905件
幼児(1〜5歳児) 対象者数1593人 利用件数 8717件
妊産婦       利用者数  73人 利用件数  236件
           乳幼児および妊産婦医療費給付状況 6509万3千円

重度心身障害者医療費助成
1〜64歳 対象者数191人 利用件数2982件 3297万3千円
65歳以上軽度 対象者数 68人 利用件数 963件
   中・重度 対象者数725人 利用件数8836件 6329万8千円

制度の根幹は窓口無料化

 県が導入しようとしている償還払い(窓口有料化)は、医療費の自己負担分を立て替えることが困難な低所得者を医療から締め出し、「受診抑制」を招き、病気の早期発見・早期治療に逆行します。

 小矢部市もこれまで医療費の窓口無料化が必要だとして、市独自に2001年度より実施に踏み切りました。しかし、市単独では市外の医療機関を利用した場合に一時立て替え払いが必要なため、県全体としての実施を求めてきました。

 2001年9月6日、「富山の医療と福祉と年金をよくする会」との話し合いで、社会福祉課長(当時)は「せめて砺波広域圏内だけでも無料にできないか、市としては賛成なので働きかけていきたい」と述べました。
 2003年10月6日、富山県労働組合総連合など9団体でつくる「2003年秋の県民大運動」富山県実行委員会との話し合いでは、市当局より「小矢部市としても砺波市や高岡市へ拡大しようと市医師会を通じて働きかけている。県労連としてもぜひ県や県医師会への働きかけを強めてほしい」と要望がありました。

 このような県民の運動によって窓口無料化が前進しているのに、小矢部市長が富山新聞の15市町村長アンケートで「償還払い振り込み方式の導入に賛成」と答えたのは、事実とすればこれまでの市の方針にまったく反するものです。


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