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北陸新幹線開通で、在来線はどうなるの?
「みんなの会小矢部」が学習会
「新幹線開通で、在来線はどうなるの?これまでの事例から考えてみましょう」をテーマに、みんなの会小矢部(明るい富山県政をみんなでつくる小矢部の会、堀内喜亨代表世話人)は10月10日、石動コミュニティーセンターで学習会を開きました。講師は岡本勝規氏(北陸線・ローカル線の存続と公共交通をよくする富山の会世話人。富山商船高等専門学校 国際流通学科講師)でした。
これまでの事例から見える6つの課題
岡本氏はこれまでにしなの鉄道、肥薩おれんじ鉄道、北越急行(ほくほく線を経営する第三セクター鉄道会社)を調査した結果を基に、6つの課題について報告されました。
(1)経営形態は何が適当か?
上下分離方式がカギ
並行在来線運営会社を、設備の減価償却、維持管理から解放する必要をとくに強調されました。線路や駅舎などは道路と同じように国や自治体が維持管理し、運営費だけを鉄道会社がまかなう方式で、「上下分離方式」と言われており、ヨーロッパでは当たり前になっているやり方です。
長崎新幹線に関してはJR九州の方から「上下分離方式でもよい」といってきているそうです。青い森鉄道は上下分離方式で、下は青森県がもっているそうです。
県境分離ではダメ
肥薩おれんじ鉄道では県境分離では熊本県も鹿児島県もやっていけないということで、熊本主導で両県にまたがる会社となりました。県別に列車の運行管理をする設備投資が抑えられました。
県境分離となると、会社ごとに別料金で、利用者に負担が増えます。
北陸線の場合、金沢に運行を管理する施設があるので、指定管理者制度を活用し運行管理をJR西日本に丸投げする方法もあるのではと提案されました。
(2)サービスの低下をどう食い止めるか?
サービスの低下はさけられないと、次の5点について報告されました。@運賃の上昇(いわて銀河鉄道では1.58倍)。A所要時間の増大もさけられない。というのは線路の維持管理費用を下げるため列車のスピードを落とさざるを得ない(しなの鉄道)。車両のディーゼル化(肥薩おれんじ鉄道)、但しJR貨物は電車で運行。B駅の無人化。C車両設備の低下。多くの車両でトイレが使用不能に(しなの鉄道)。D駅時刻表が有料に(しなの鉄道)
(3)新幹線・マイカーとの競合にどう対処するか?
並行在来線の場合、新幹線に通勤客や乗り継ぎ客を奪われています。肥薩おれんじ鉄道では通勤定期が3割減となり、新幹線の駅まで並行在来線を乗り継ぎに使うことはなく、マイカーで新幹線駅に行くそうです。
しなの鉄道の話では、多くの企業、工場が大きな駐車場を整備しており、通勤客がマイカーに移行しているそうです。
マイカー対策は鉄道会社では無理で、会社の駐車場を削らせる対策(税制などで)や新幹線通勤定期を事業主負担とさせない対策は国や地方自治体の仕事です。
(4)JRとの関係をどう構築するか?
儲かる区間は並行在来線運営会社に移管を
JRからは資源を引き出すことが大事だと3点指摘されました。
1)輸送状況が比較的良好な区間の確保、たとえば富山高岡間はJRでなく並行在来線運営会社に移管させること。石川県は金沢津幡間を並行在来線運営会社にと主張している。
2)貨物、特急列車の乗り入れの確保、「サンダーバード」は必ず富山まで乗り入れさせること。
3)JRからの施設買い取りは、有償から実質無償に変わりつつあり、さらに今後はJRを並行在来線運営会社の経営に参画させ応分の経営責任を持たせること。
(5)安全性をどう確保するか?
安全対策の費用をきちんと評価する仕組みが大切です。
(6)マイレール意識をどう育てるか?
望まれて並行在来線運営会社が開業するのではないから、沿線住民に具体的かつ全体的な利便性向上を提示しなければ支持を得られません。たとえば運賃の抑制、終発時刻の繰り下げ、住民参加の組織作りなどです。
「みんなの会小矢部」では岡本氏の課題提起や提案を参考に、並行在来線問題について、要望を集約する活動にも取り組もうと話し合いました。
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