前知事退職金返還請求訴訟に支援を
「市民オンブズ小矢部」(美谷克己代表)の代表3名は9月21日、富山地方裁判所に中沖豊前富山県知事への2億3500万円の退職金支払いは払いすぎで違法だとして、提訴しました。富山県退職金条例で一般職員の基準で金額を算出すると4486万円で、払いすぎた1億9014万円を返還させるよう求めています。
「市民オンブズ小矢部」では法廷外でも「支援する会」をつくり、退職金返還の運動をひろげたいと呼びかけています。
退職金額は条例で決めるべき
議会の議決では違法
地方自治法第202条は退職金などについて「額並びにその支給方法は条例でこれを定めなければならない」としています。さらに第204条の2では、「いかなる給与その他の給付も法律またはこれにもとづく条例に基づかずには、支給できない」と念を押しています。ここで言う法律とは法律自体を指し命令は含まれず、条例も支給にあたって条例制定の根拠が法律に明記されていることが必要とされています。
ところが前知事への退職金額は議会の議決で決めたもので、違法です。これは全国で唯一富山県だけのやり方でした。富山県の退職金条例では第15条で知事などを例外扱いして議会の議決で額を決めることができるとしていますが、これは明らかに地方自治法違反です。だからこそ県議会はあわてて6月議会で知事の退職金の算定基準を条例で決めたのです。
知事や市長の退職金はなぜ高い
来年秋に5期目の任期満了となる大家市長の退職金も1億円と推定されています(5期分をまとめて支払うため。以後は任期ごとに支払う)。
庶民感覚から見たら法外に高い知事、市長ら特別職の退職金はどうしてこうなるのでしょうか。すべて税金から支払われるのです。
公務員の退職金には賃金の一部後払いという性格もあり、報酬月額に勤続年数をかけて退職金額を算出するのに、特別職の場合、報酬月額に在職した月数を掛けるのです。これでは報酬の2重払いです。
行財政改革で福祉を切り捨てる一方、特別職退職金には手を触れず
特別職の退職金はすべて税金から支払われるのです。
国も地方も財政危機を口実に、どんどん福祉を削っています。特別養護老人ホーム(個室)入居者からホテルコストと称して部屋代と食事代を徴収します。小矢部市は低所得者のホームヘルパー利用料を無料から有料にしました。
庶民には負担を強いながら、特別職の退職金には指一本触れようとしません。県議会は違法な退職金条例を見直した際に、法外に高い知事退職金を追認し条例化しました。
退職金を削った市長も
全国の自治体のなかには、特別職の退職金を見直すところも出てきています。大阪府高石市は03年9月に特別職の退職金を全廃しました。新居浜市では自民クラブなどの反対で廃止条例は3回否決され、結局25%減額となったそうです。(愛媛新聞03年12月19日)新居浜市長は翌年、松山市にある愛媛大学へ退職金を寄付しました。このほか、東京都板橋区、福岡県久留米市でも首長の退職金を廃止したそうです。諸外国では、たとえばロンドン市長の退職金はないそうです。(04年7月17日放送・NTV報道特捜プロジェクト)
特別職退職金の見直しへ運動を
本来特別職に退職金が必要なのか、仮に必要だとしても、一般公務員並みに抑えるべきではありませんか。今回の訴訟は、法外に高い特別職退職金を見直すきっかけにもなるでしょう。
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