環境にも市の財政にもやさしい合併処理浄化槽
環境省が富山市でトップセミナー
市の下水道計画を早急に見直し
散居村に市営の合併処理浄化槽を!
合併処理浄化槽を公共下水道と同じ役割を担うものとして普及促進を図るための全国初のトップセミナーが2月15日、富山市で開かれました。
公共下水道の建設が都市部ではほぼ終了し、しだいに地方都市や農村部に広がりつつありますが、建設コストがかかる割には普及率が伸び悩んでいることから、浄化槽による整備を促進しようと、自治体の首長や議員を対象に環境省が主催して開いたものです。小矢部市から楠収入役と担当課長、尾山、砂田両市議が参加しました。
散居村では建設費がかさむ公共下水道方式
公共下水道の建設費は81%が管路を敷設する費用です。全国平均で1キロメートルの下水管を敷設するのに1億6300万円かかります。問題はこれだけの費用をかけてどれだけの家が接続し、どれだけの量の汚水を流すことができるかです。住宅地図で調べると簡単にわかることですが、たとえば正得地区の県道沿いで比較的家が密集している道明から五社にかけて30戸あまりです。一方同じ費用をかけて合併処理浄化槽を設置するとすれば160戸分も整備できるのです。どちらが効率的か、明らかではありませんか。
浄化槽を組み合わせて建設費を3分の2に軽減
岐阜県のH町I地区の実例が紹介されました。公共下水道で323世帯を対象に11キロメートルの管路を敷設する計画(事業費15億3千万円)を見直し、点在している60世帯については合併処理浄化槽で整備することに変更し、管路を6キロメートルにすることで、事業費を4億7千万円少なくすることができました。
浄化槽の方が汚水処理コスト安い
汚水処理のコスト比較によると、東京など都市部では公共下水道の汚水処理原価は139.5円と安いのですが、特定環境保全公共下水道(小矢部市では松沢地区で実施)では全国平均で531.7円と割高になっています。
一方浄化槽市町村整備事業では220.4円と経済的です。(表1)
公共下水道方式1本やりでは…
下水道使用料の大幅値上げも懸念
小矢部市の公共下水道の管理費と使用料を比較しますと、1世帯あたり36万円の管理費がかかっているにもかかわらず、使用料は6万円あまりです(表2)。不足している管理費は税金で補填しているのです。
管理費を全額下水道使用料でまかなおうとすれば、月3万円の下水道使用料を徴収しなければならなくなります。公共下水道を散居村にどんどん拡大するという現在の計画のままでは、下水道を利用している町部の皆さんにも下水道使用料の大幅引き上げとなって跳ね返ってくることになります。
公共下水道方式1本やりでは…
散居村の整備が百年後になるおそれも
一方、農村部では、22世紀になっても下水道が入らないことになり、いつまでも文化的な生活を享受できないことになります。
市が設置する浄化槽事業で
維持管理もきちんと
このため、早急に市の下水道計画を見直し、散居村では市が合併処理浄化槽を個人の家に設置し、維持管理も市が行う方式を取り入れることが求められます。
現在も合併処理浄化槽を設置する人に国・市が補助する制度はあります。しかしこの維持管理は各個人に任されています。費用負担も下水道使用料より重いのが現状です。そのため浄化槽の清掃が定期的に行われないおそれがあり、環境に悪影響が懸念されます。市が設置し、維持管理する新しいやり方を取り入れることで、この問題も改善できます。
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