バナー2005年1月23日号
本文へジャンプ  
学校給食センターの民営化
是か、非か


 市民の声を反映させるために小矢部市が設置した行財政改革推進市民委員会では、学校給食センターの民営化について賛否両論に分かれ、「民営化の是非も含めて検討する委員会設置」を提言するにとどまりました。ところが、市は行財政改革基本計画で学校給食センターの民間委託を検討し、10年間で1億6800万円節約するとしています。
 この民営化の是非について、ごいっしょに考えてみましょう。


市民委員会でも賛否両論


 市民委員会で出された主な民営化反対意見は、「給食の衛生安全が第一で、民間委託にするよりも施設改善に投資をすべき」「施設が傷んできているこの機会に、センター方式から各学校で調理する単独校方式に戻すべきでないか」というものです。市民からも「民営化では、利潤優先となるので食の安全性確保が不安」という声が市民委員会の公募意見として寄せられました。
 民営化賛成論として「民間会社にまかせても、市が委託料で諸経費を負担するだけでは財政改革ではない。民間会社が学校給食の空き時間に民間の給食もつくれば、施設の稼働率が上がり効率がよくなる。自分で売り上げを伸ばし利益を上げれば、市の補填も少なくでき、民間委託の効果が出てくる。そうでないと無理に民間委託をすすめても、何も変わらない」という具体的提案が出されました。これに対して「学校給食センターが民間の給食をつくるのは施設の広さ、食器の問題などで難しい」との反論もありました。

具体的に検討すべき課題

@ 教育の役割が保障されるのか

 学校給食は教育の一環であり、経費節減だけで議論すべきものではありません。調理業務の民間委託が食育にどのように影響するかの検討も必要です。

A 民間委託で経費節減につながるのか
  
配送業務委託でどうなったか
 民間委託で経費節減できるとする議論が多いのですが、実際にはどうでしょうか。
 小矢部市は1997年度に学校給食センターから各学校へ配送する業務を民間に委託しました。その結果、7名の運転手の賃金1142万円(96年度予算)が浮きましたが、配送業務委託料として1336万円(98年度決算)が必要となりました。委託料には配送車の維持管理経費も含まれますが、余り節約効果は見えません。
  
無理な節約は労働条件の切り下げに
 これをさらに節約しようとすれば、受託会社の運転手賃金を切り下げるしかありません。労働条件の低下を押しつけるやり方を奨励してよいものでしょうか。

B 高岡市の場合   共同調理場の民間委託で何が変わったか
 2003年度に調理業務を直営方式から民間委託に切り替えた高岡市清水町共同調理場(小学校3校に1500食供給)では、何が変わったか、調査してきました。施設は1975年開設で小矢部市より2年古いものです。民間委託にあわせて調理台などを毎年少しずつドライシステムのものに切り替えているそうです。
献立は市内26小学校全体が統一献立、食材は一括購入で、市が責任を持って担当しています。
全国展開の大手業者が進出
   地元業者では難しい
 今回民間委託したのは調理業務だけですが、O157対策など給食の安全を最優先に検討し、学校給食で実績のある業者に限定しました。このため該当する業者は高岡市内にいなく、富山市の日本海給食(従業員649名、うち栄養士104名、調理師115名)と契約しました。
 富山市の場合でも本社が東京の東洋食品と契約しており、全国的にはシダックスフード、フジ産業などの大企業が学校給食へどんどん進出しています。地元業者が入り込む余地はほとんどないのが現実です。
 市外大企業に仕事と利益を渡すことになる学校給食センターの民間委託が、はたして本当に小矢部市にとって有益なのか、はなはだ疑問です。

 トップへ戻る
砂田喜昭(Yoshiaki Sunata)のホームページへ戻る