バナー2023年8月号
本文へジャンプ 更新日 2023年8月14日

コラム  フィンランドの教育事情を聞いて感じたこと


 フィンランドに2年間滞在し、二人の子をフィンランドの小学校と中学校で育てた方の話を聞いた。

 OECDという国際機関の学力調査で、子どもの学力世界1位を誇ることで有名なフィンランド。国際的にもその教育内容や方法が注目を浴び、テレビでも放映されていたことがある。人口500万人台の国で、「一人ひとりの国民を大事な国の構成員として育てていきたい」という教育相の熱い主張が印象に残った。

 移民だろうがフィンランド人だろうが、どの子も教科書も教材費も給食費もすべて無料。20人ほどのクラスに担任が二人、実質10人のクラスに補助の先生もつくという徹底した少人数学級で、子ども一人ひとりの実態に合わせた学習が行われる。6歳の我が子が「自分で決めるから、お母さん決めないで」と主張したという。子どもの権利尊重教育の成果であろう。
 
 フィンランドでは競争なし、ジャッジ(評価)なし、宿題なしで、でも結果として国際的な評価では学力1位を獲得している。ひるがえって日本では学校の統廃合が叫ばれ、小規模校では競争心がなくて子どもが育たないという論が聞かれる。社会全体の『競争社会』を反映して、日本では教育=競争であり、児童生徒数は少なくなっているのに、不登校数は24万人(昨年小中)と毎年実数が増えている。「どうして競争が必要なの?」というフィンランドでの素朴な疑問と真逆だ。

 子どもが自らの生き方を考え、決められるように、ひとりの主権者として大事に育てることの根本が問い直されなければならない。


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