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本文へジャンプ 更新日 2021年1月29日 

コラム 
「人新世の資本論」と家族農業、社会主義・共産主義


 『人新世の「資本論」』(斎藤幸平・著 集英社・刊)がベストセラーにランクインした。「人新世」を「ひとしんせい」と読む。斎藤氏はNHKのEテレ「100分de名著 資本論」(1月放送)の解説者でもある。

 地質学では1万1700年前から現在までを「完新世」と呼ぶ。これに対して産業革命以後を「人新世」と呼ぶのは、オゾン層研究でノーベル賞を受賞したクルッツエン博士。人類の経済活動が地球環境を破壊する年代だと。確かに地球温暖化で豪雨災害、巨大台風が襲ってくる。新型コロナウイルス感染症もその影響か。

 「資本論」は150年前にマルクスが著したものだが、資本主義は利潤追求で環境危機を引き起こすと指摘、人類は資本主義を乗りこえ、社会主義・共産主義の社会を切り開こうと呼びかけた。それが今、日本でも若い世代の注目を集めているというから、びっくりだ。

 筆者もこの歳になって
「新版資本論」(新日本出版社・刊)を読み始めているが、斎藤氏は、「資本論」はもちろんマルクスの手紙や草稿、ノートも読み込んで、思想の変遷を追っている。マルクスは「自然と人間の物質代謝」に着目し、大地の持続可能な管理=合理的農業は、資本主義的な利潤最大化をめざすものとは相容れないという。それには「自ら労働する小農民の手か、あるいは結合した生産者たちの管理かいずれかを必要とする」(新版資本論8、P211)

 今日
「国連家族農業の10年」が取り組まれている。私たちは、規模拡大一辺倒ではなく、一人ひとりの農家の自発性が生かされる営農組合や家族農業を育て、自然環境に優しい農業を目指している。若者に自信を持って引き継げる魅力あるものにしたい。マルクスは150年前からその必要性を訴えていたのではないか。

 若い世代を中心にマルクスから学んで、旧ソ連や中国とは違う、新しい社会主義・共産主義に注目する動きに期待したい。


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