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本文へジャンプ 更新日 2014年1月18日 

コラム  西南の役の石碑と靖国神社


 興法寺から安居へ行く県道沿いに石碑があり、有名な書家の筆によると聞いて、友人と二人で見に行った。石碑は3基あった。その一つに「西南の役」と記されたものが目に入った。「西郷軍に加担したのか、それとも官軍だったのだろうか」「『近衛歩兵』と書いてあるから官軍だったのではないか」。

 友人が近くで骨董屋を始め、最近喫茶ギャラリーも開いたというので、よくとおる道だったが、石碑をじっくり眺めたのは初めてだった。

 友人との会話。「西南の役といえば、西郷隆盛は靖国神社に祭られていないのだね」「明治維新の功労者だったが、天皇制政府にたてついたから、賊軍にされたんだ」。

 「靖国神社は神社本庁に属していないんだ」「えっ、本当か」「戦前は兵部省が管理していた。戦死したら靖国神社に祭るといって若者を戦争に引っ張って行く戦争遂行施設だった。だから祭ってあるのは軍人だけ。空爆や原爆の戦死者は祭っていない」。

 戦後33年経って、戦争指導者のA級戦犯が神として祭られた。これ以後、昭和天皇も現天皇も靖国神社に参拝しなくなった。

 昨年の夏、靖国神社の前を通ったら「大東亜戦争70周年展」の大きな看板が出ていた。安倍首相は靖国参拝を「不戦の誓い」などといっているが、それにもっともふさわしくない侵略戦争を肯定するところだ。

 安居の喫茶ギャラリーで3月20日から梅原麦子の布絵が展示されるという。彼女は富山県出身で、布絵画集『おくりもの』を出している。「布ゆえに表現された温もりと平和への願い」をきっと味わえるだろう。そこでほんものの「不戦の誓い」をしたいものだ。


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