バナー2013年8月号
本文へジャンプ 更新日 2013年8月14日 

コラム 幣原喜重郎元首相と憲法9条
あめりかのおしつけではなく、日本から持ち出した9条

 安倍総理は「押しつけ憲法」だから、九条を変え国防軍を持つという。

 元衆院議員平野三郎氏(自民党大野派)のメモ「幣原先生から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について」(昭和39年2月)を見つけた。「お話を伺ったのは、昭和二十六年二月下旬のこと・・・戦争放棄条項や天皇の地位について日頃疑問に思っていた点を中心にお尋ねし、幣原先生にお答え願った」。

 幣原元首相(昭和20年10月〜21年5月)は戦後日本のあり方として、戦争放棄と、「国体」の護持=天皇の戦犯除外、「人間化」を考えた。しかし「国体」に触れることを日本側からは口にできない。そこで、マッカーサー元帥の命令で出してもらおうと、昭和21年1月24日に二人きりで話し込んだ。元帥は九条の永久的な規定には驚き躊躇したが、最後は理解してくれたそうだ。九条はアメリカの「押しつけ」ではないとの当事者による証言だ。

 幣原氏は言う。「元帥が躊躇した大きな理由は、アメリカの侵略に対する将来の考慮と、共産主義者に対する影響の二点であった。それについて僕は言った。日米親善は必ずしも軍事一体化ではない。日本がアメリカの尖兵となることが果たしてアメリカのためであろうか。原子爆弾はやがて他国にも波及するだろう。次の戦争は想像に絶する。世界は亡びるかも知れない。世界が亡びればアメリカも亡びる。問題は今やアメリカでもロシアでも日本でもない。問題は世界である。いかにして世界の運命を切り拓くかである。」。

 天国からの声として、安倍総理に聞かせてやりたいものだ。


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