参院選の結果とプリンセス・マサコ
皇太子妃雅子さんのことを書いた「プリンセス・マサコ」の日本語訳が大手出版社で企画されたが、発行中止となった。宮内庁が今年2月、著者のベン・ヒルズ氏に抗議した直後だ。言論統制は戦前だけの話ではないようだ▼これを知って私は英語の原著を入手し、辞書を片手に読み始めた。その矢先、この9月に第三書館から邦訳がでた。帯には「有能な女性が被害者となった人権喪失の記録」とある▼インターネットが発達し、国民は政府が匿そうとする情報でも容易に手に入れられる。○○「劇場」政治にだまされにくい時代が始まったのではないだろうか▼参院選は、日本でも国民が政治を動かせるという当たり前のことを証明して見せた。安倍前首相は所信表明演説の直後に政権を放り出した。▼そんな人物の肝いりで教科書から削除された「沖縄での軍命による集団自決」も、元に戻る気配だ。沖縄県民11万人の怒りの集会が文部科学大臣の背中を押した。▼以前だと、大手マスコミはこのような大衆運動を統制されたかのようにほとんど無視し、国民に知らせなかった。そのはるか以前から「格差と貧困」「戦争でテロはなくせない」と、国民の運動を報道し続けたのが「しんぶん赤旗」であり、日本共産党だった。私たちもそれから勇気をもらい、粘り強く運動してきた▼政府は障害者自立支援法や後期高齢者医療制度の凍結、見直しを口にし出した。「凍結ではダメ。法律を変えて」と市職員の一人は一蹴する。総選挙までの「演技だ」と見抜く人たちも確かに増えている。
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