トミサンペツ 「Tomisanpet」 の意味 の考察 2019/10/23
 
 ユーカラの舞台トミサンペツと云う地が何故そう呼ばれる事に成ったのか? を考えてみようと思います。

今まで、tumi-san-pet 「軍勢を出したる所」 とか tomi-san-pet 「宝が流れる川」
tom-i-san-pet 「光るものが流れる川」 とか諸説有りましたが・・・

先ず、カムイウゥエペケレ「ユーカラが出来た訳」とユーカラ・メノコユーカラで検証してみようと思います。
「ユーカラが出来た訳」では、ランケカント(下天)統べる神の妹が双子を産んで放って置いて、暫くして
見に行ってみると光の塊のように輝いて居た。その後、其の地がトミサンペツと呼ばれた。

ユーカラ「八串の肉串の戦い物語」で余市媛がTomisanpechi と云って居て、
メノコユーカラでは、Tomesanpechi と4回出てくる。
ユーカラ「蘆丸の曲」では、ポンピシ媛がTomesanpechi と云って居て、ポイヤウンペが光の塊
様だったと表現している。

とすると、tom-i-san-pet と Tom-e-san-pet の二通りあること分かります。
tom と云う言葉の定義をしてみると、蛍のことを西側(シュムンクル)はNinninkeppo (消え消えするもの)
と云い。東側(メナシ)では、Tomtomkikiri (光が点く点く虫)と云うのからすると、
tom は、光ると訳すと良さそうです。

以上からして、ポイヤウンペがイケスイ(何処かへ行く)してからは、光が見られなく成り
トミサンペツとは、何時の間にか云われなく成ったと思われます。

結論としては、光の塊のようなポイヤウンペが出没する川筋と云う意味がしっくりしますね。(*^_^*)



※ 尚、ワカルパ翁が金田一博士に伝えて居るのは・・・

「石狩から十里ばかり去り マシケの内にあり tomesanpet と云う所あり」
「擂鉢山 もと Chup kamui の子あり イクサで山半分コ サケているからそう呼ぶが
もとこれ Shinutapka だ」 と説明しています。