Lの季節 -A piece of memories-
ネタバレを含むシナリオ考察
注意!ここはネタバレ度が非常に高くなっております。Lの季節をプレー中、またはこれからプレーする気のある方は読まない方が宜しいかと思うのであります。
そんなわけでシナリオ考察に入るわけですが、その前にやっておくことがあるのでそれを済ませてから。
追加キャラクター及びシナリオ
現実界6人、幻想界6人のグッドエンドをそれぞれ見てセーブすると、各世界に隠しシナリオが現われ隠しヒロインが登場します。
鵜野杜 椎奈(うのもり しいな)
現実界隠しキャラはやっぱりこいつでした。サブキャラのくせに声がついてしかも桑島法子という時点で、隠しキャラかシナリオの鍵を握る人物と思っていましたが、前者でした。隠しキャラの存在はキャラ別CG鑑賞モードで「????」という箇所があるため、当初から「いる」ことはわかっていましたが。
お話もある程度予想できました。天羽や七不思議シナリオを解いていれば沢村(注 生徒会役員。サブキャラのため声無し)と天羽の仲が極端に悪い事がわかりますし、鵜野杜は両方と仲が良いからそういった友達関係だろーなーと思っていましたが、まさにドンピシャ。
CGが1枚というのはやや淋しいですが、そのCGも「天羽が後ろから見守る中上岡と手を結んで歩く鵜野杜」というやつで、星原のラストといいつくづく天羽はおいしい役割をこなしてくれます。やや控え目な性格もあいまって鵜野杜の自分的好感度急上昇中。
リ・サ(り・さ)
幻想界隠しキャラクター。幻想界の隠しキャラクターについてはスタッフロールで「???? 山本麻里安」と出ているので、声優まで分かっていながらどんなキャラクターかわからない状態でしたが、登場した瞬間壊滅。リスのような尻尾、猫のヒゲ、猫(?)耳、おまけにロリ顔。100%マニア狙いのキャラやんけ
彼女のシナリオは、初日から七角ペンダントはなくなるわ桐生のスランプは脱出するわの完全なオマケシナリオです。6人のキャラクターも総出演します。霧城の「あ”ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」には驚かされました。
で、この話の元ネタはやはり鶴の○返しですか
シナリオ解説
ようやく本題です。世界別に分けて見て行くことに致します。なおときどき「感情値」という言葉が出てきますが、これは各キャラクターが主人公の事をどう思っているかということです(最大100)。クリアするためにはそのキャラクターの感情値が90くらい必要だそうです。
現実界シナリオ(七角ペンダントルート)
現実界メインシナリオは天羽と星原中心。基本的にそのキャラクターべったりでクリアできるのですが、この2人に共通して言えるのは、他人の口出しで感情値が上げられないことですか。ですから通常選択肢が重要になってきます。実際星原狙いで行きながら感情値が足りずバッドエンドということがありました。
あとやはり初回のエンディングは悲壮ですね。私の初回は天羽ルートでしたが、天羽が死んでバッドエンドの音楽が流れ、「To Be Continued」と出たときはこの終わり方はヤバイんじゃないかと思いましたが、その後3Dマップを見るとブロックが増えてるし。それでもう1回プレーするとようやくグッドエンドに行くというのは、やや面倒臭い感がしました。
現実界シナリオ(七不思議ルート)
メインの天羽、星原のどちらかをクリアすれば出現します。ここでのヒロインは弓倉亜希子と東由利。なんといーますか、メインの七角ペンダントルートに比べてヒジョーにほのぼのとしております。なにしろ七不思議ルート導入時点で、メインルートの重要な小道具であるペンダントは姿を消し、後日壊れて発見されます。このシナリオに入ると天羽や星原は放っといて七不思議の調査を始めるのですが、この2人は感情値が上げやすい(選択肢による感情値の上がり幅も大きいし、他人の口出しでもよく上がる)ので攻略には行き詰まりませんでした。
現実界シナリオ(七不思議ルート・湊編)
弓倉亜希子か東由利のどちらかをクリアすれば出現します。基本的に七不思議ルートに沿って話は進みますが、ところどころに湊の分岐が現れます。この「ところどころ」というのがクセ者で、湊が出ないときはどうすれば良いのかというと、東由利攻略ルートで話を進めなければなりません。弓倉ルートではダメですし、2人ともにそっけなくしていると湊エンドを迎える前にバッドエンドが待っています。
この七不思議ルートはある物が盗まれ、その犯人探しというストーリーも混ざってくるのですが、弓倉、東由利、湊のエンドそれぞれで犯人が違うというのは面白い試みだと思いました(さらにバッドエンドでは犯人がわからないまま終わる)。私が先に攻略したのは弓倉だったのですが、そのときの犯人が私の考えと一致したので、そいつが東由利ルートではどういった反応を見せてくれるかと思ったら犯人違ってるし。まだこの犯人には納得が行ったものの、湊ルートの「行きずりの泥棒」ってのはネタ切れですかトンキンさん?
現実界シナリオ(弓倉さやかルート)
七不思議ルートの途中で分岐するのがさやかルートです。分岐までは弓倉姉の感情値をひたすら上げていかないといけません。お話は大体想像がつくものでした。中学2年生ともなれば進路について考える時期であります。まあその辺で姉と揉めて上岡が仲裁するという、悪く言えばありきたりなものでした。さやかのエンディングについて、なかなか興味深い事実があります。さやかには2つのエンディングがありますが、それぞれ進路が違ってきます。で、さやかの感情値が高いと彼女は海外に行ってしまいます。感情値が低いと同じ学校の高等部に進み、シナリオ中でCGが見られます。いわゆるバッドエンドの方にCGがあるわけです。納得いかない人は納得いかないのでしょうが、私はこう考えています。すなわち感情値が高いと、「上岡さんは私も気に入っちゃったけどお姉ちゃんにぴったりかも。じゃあ邪魔者は消えるとしますか」、感情値が低いと「私上岡さんのこと気に入っちゃった。だから残ることにする」だと思われます。さやかが上岡に少なからず興味を持っていることはプレーしていてよくわかりますが、それが単なる憧れであると気付くか気付かないかがエンディングの分かれ目ではないでしょうか。
幻想界シナリオ(音楽コンクールルート)
幻想界メインルートは鈴科と舞波がヒロインです。ポイントは鈴科がピアノがうまいくせに音楽嫌いを公言している理由でしょうか。この理由を早く知るためには鈴科を1回傷つけておく必要があります。あと舞波の兄貴が登場するのですが、これがまたどっかの男性声優さんそっくりのいで立ちしてます。兄貴に声がつくとしたならまずこの人だろうってくらいに。それからこの2人にはグッドエンド、バッドエンドの他にノーマルエンドというのも用意されています。ノーマルエンドに行くには感情値の調節が大変です。ここは攻略本に頼ってしまいました。
あと、鈴科が死ぬときは感動モノです。一瞬彼女に転びかけました
幻想界シナリオ(リリスルート)
音楽コンクールルートのサブシナリオ。途中までは似たようなルートを通ります。リリスルートに入るためにもリリスを1回傷つけることになります。彼女は音楽の力で成長するのですが、成長した姿はなんか不気味です。小さいままの方がよかったのではないかと。
幻想界シナリオ(魔水晶封印ルート)
氷狩、霧城、エリザのルート。魔水晶(七角ペンダントを幻想界ではこう呼んでいます)に潜む魔物を封印するのですが、これってメインルートでもやってるシナリオなんだよな。なんかダブってるしシナリオの展開が早いのでちょっと物足りなかった気がします。
転生について
両世界のシナリオを1回ずつプレーすると、2つの世界が密接にリンクしていることが分かります。その代表的な例が転生。かつての星原の魂が幻想界に転生して鈴科になっていることは明白ですが、では現在の星原の体には誰が入っているのかという問題があります。これは氷狩のシナリオを解いていくことで明らかになります。また、現実界ゲーム序盤で上岡が注目している青いヒガンバナですが、その正体は星原(現在)の本体という説が有力ですし私もそう思います。これは天羽のバッドエンドを見れば明らかであると思います。
世界観
というわけでこの世界はかなり複雑なんですが、それを説明せいと言われても私には出来ません。だってワカランもんはワカランのです。解るのは結局最後で愛を取ったということぐらい。実はこれと同等に理解しにくい世界観をしています。ひょっとしたらそれ以上に難しいかもしれません。
じゃあなんでこれはメッタ斬りにしておいてLについてはかなり評価した感想になっているかというと、世界観なんかどうでもいいや、と思わせてしまう部分、つまるところキャラ萌えが出来るからだと思います。失礼ながら、樋上いたるさんと渡辺明夫さんの描くキャラクターでどっちがより萌えるかといえば、100人中99人が後者を選ぶでありましょう。また、この世界観を理解せずとも話として成り立つ部分があるということもあるかと思います。これにおいては現実世界と「えいえんのせかい」がかなりの部分で密接に関ってきました。しかしこのゲームでは、両世界の中間の世界に関しては意味不明でありながら、両シナリオがそれぞれ独立しているために、例えば現実界シナリオであれば推理モノとして捉えることも可能だからです。そんな理由もあって、Lはかなり楽しませてくれました世界観はわからずとも
ここからは本題から外れた蛇足です。
システムについて
大まかなシステムについては前に書きましたが、その後に重大な欠陥が見つかったので補足します。それは、
システムデータを作っていない
ということ。このゲーム実はエンディングの数がめちゃくちゃ多い。達成率を100%にするためには各キャラのグッドエンド/バッドエンド25(弓倉姉、東由利、草壁の3人のバッドエンドは共通)、ノーマルエンド3、その他バッドエンド8、それに加えメインキャラ(天羽、星原、鈴科、舞波)の誰か1人が死んで終わるエンディング(途中エンドという)を1回見なければならないので、なんと最低でも37回プレーしなければなりません。ところがシステムデータを作っていないため、シナリオエンド時点でセーブするともう1回始めからプレーしなければなりません。各キャラクターのグッドエンド/バッドエンドの境目は感情値だけなので、途中からプレーしてグッドとバッドを一気に見るということができません。達成率100%になるとオマケが見られるため頑張って100%達成しましたが、最後の方はたかだか1つのブロックを見るために1回プレーして達成率は0.5%しか上がらないということの繰り返しでした。もちろん既読のメッセージはスキップできますが、かなり面倒臭い。
それからセーブできる数が少なすぎます。セーブ箇所はどこでも出来るのですが、メモリーカード1ブロックにつき1個、最大3ブロックというのはいくらなんでも少なすぎ。世の中には1ブロックで56個もセーブできてさらにシステムデータもあるゲームもあるのですから、もうちょっと増やして欲しかったと思います。
あと、最初からの総プレー時間が見られるようになっています。プレイステーションには時計機能はないはずですから、ソフト側についているということでしょうか。私の場合、100%達成時の総プレー時間は58時間30分過ぎでした。これくらいが標準だそうです。もちろんセーブ、ロードを繰り返した時間は含まれませんし、プレー中に電源をつけたまま風呂に入ったり飯を食っていたりしていたこともあったのでその時間は差し引かなければいけませんが、私の場合両者は同じくらいと思われるので、1時間以上の誤差はないと思います。
各雑誌の捉え方
一見ギャルゲーに見えてしまうゲームですから当然雑誌評価は低く、ファミ通などでは発売直前まで見たことなかったのですが、積極的に紹介していたのは電撃PSと電撃G’sマガジンの2誌でした(というか、それ以外では記事を見たことがない)。ただ同じ電撃誌でも視点が違っていたのは興味深かったですね。電撃PSはあくまでアドベンチャーゲームとして捉え、キャラクターの他にも口出しシステムなどの新機軸やストーリー概略を紹介したり、キャラクターにしても男のサブキャラまでしっかりと紹介していました。
それに対しG’sはギャルゲー専門誌ですから、「新しいシステムなんかどうでもいいからとりあえず女の子をでかでかと載せておけ」な思考が丸見えでした。おかげで口出しシステムは全くわからなかったし、サブキャラについてもやっぱり女の子しか紹介しないし。たぶんG’sだけを読んでいたら、ゲームをプレーして「えっ、男のサブキャラなんかいたの?」てな感じになっていたでしょう。
とまあいろいろ書きましたが、楽しんでプレーすることはできました。最初の5回ほどは特に。最後の方はかなり辛かったけど(苦笑)
(最終更新2000,01,04)