輝く季節へ

99年4月発売   発売元  キッド

全体的な感想


警告!
もしあなたが「ONEは素晴らしい!」と思っているなら、この感想を読まずに戻って下さい。この警告を無視してお読みになり、気分を害されたとしてもそれはあなたの責任です。

 

購入動機

えー、このソフトを購入するにあたっての予備知識は以下の通りでありました

1.パソコンソフト「ONE 〜輝く季節へ〜」の移植であること
2.「ONE」のシナリオが好評であること
3.キャラクターが「ロリぷに」であること

これだけの予備知識で買ってしまったのです。シナリオがいいとは聞いていてもどんなシナリオかというのは全く知りませんし、「パソコンから移植されるんだからさぞかし良いに違いない」と、勝手に想像をふくらませておりました。また、主人公折原浩平が高校生ということでラブコメを予想していました。結論から言うと、全て裏切られました。とんでもないソフトです。私の理解の範疇を超えていました。確かにラブコメの要素は入っています。しかしこのソフトの真髄はラブコメではなくせつなさを通り越してある意味ダークなところにあります。自分的には買って失敗しました。ちょっと不覚

 

キャラクター

好きな順に書くところですが、どうも今回は順位がつけにくいので、クリアした順に感想など書きます

里村 茜(さとむら あかね)
ひょっとしてこの子を一番最初にクリアしたから永遠の世界が意味不明なのかもしれません。他の女の子をクリアしたときには語られなかった永遠の世界の一端が見え隠れします。昔好きだった人がやはり永遠の世界に旅立ったという茜。今また浩平に旅立たれようとしている彼女はある意味このゲームのメインヒロインかもしれません。ちなみになんでファーストクリアしたかというと、声が中川亜紀子さんだからです(^^;)

七瀬 留美(ななせ るみ)
結構人気のあるキャラクターだそうです。前半の漫才はなかなか面白かったですが、後半のストーリーがいきなり可愛くなっちゃって、このギャップが人気あるところなんでしょうね。でも私は前半のノリのほうが好き。横山智佐さんの声も違和感はありませんでした。でもちょっと声が低く感じたかな

長森 瑞佳(ながもり みずか)
たぶんメインヒロインなんでしょうね、幼馴染ということは。さらにお節介焼きということは。でも自分的には前述の通り茜がメインヒロインだと思いますが。クリスマスの日に浩平が瑞佳に何をしたか未だにわかっていない私は馬鹿なのでしょうか。誰か教えて。飯塚雅弓さんはロリぷににぴったりの声ですね。

清水 なつき(しみず なつき)
PS版オリジナルキャラクター。遅く登場してあっという間にストーリーが進んでしまったといった感じです。追加だけあってシナリオは薄いし、期間も短いし、これがキッドの限界なんでしょうね。今井由香さんの声もなんか聞き取りにくいです。

椎名 繭(しいな まゆ)
親友であったフェレットのミュウを亡くし、なにかあると「みゅーっ!」と泣いてばかりいる困ったさん。後半では彼女の成長物語が描かれていますが、いまいち盛り上がりに欠けたような気がします。声は大谷育江さんですが、この方はみゅーみゅー言っていただくよりもやはり「ピ○チ○ウ」の方が・・・・・・(ぉ

川名 みさき(かわな みさき)
チャレンジパーソンその1。盲目の先輩です。どうやって登校しているかというと、学校の目の前が家なんですね。年賀状のイベントではさすがにぐっとくるものがありました。この人をクリアしてからは就寝時豆電気すらつけずに寝て暗闇を体験することがよくあります。声の雪乃五月さんというかたは初めて知りました。ごめんなさい

上月 澪(こうづき みお)
チャレンジパーソンその2。口が利けない後輩です。この人をクリアしたからといってさすがにスケブで筆談はしたことないです。

 

えいえんのせかい(シナリオ解説にかえて)

未だにこの世界観を理解していないのですが、簡単にまとめるとこんな感じでいいんでしょうか

「主人公折原浩平は幼少時代に妹を病気で失う。それまでのいつまでも続くと思っていた、楽しかった日々が崩れてしまった。それまでの永遠の日々が崩れてしまった。浩平は『永遠の世界なんてないんだ』と悟る。しかしそのとき『えいえんはあるよ、ここにあるよ』という声を聞き、永遠の世界を認め、いつの日かそこに行く契約をしてしまう。そして高校2年になって永遠の世界へ行く時が近づいていた・・・・・・」

これだけ聞いて永遠の世界がどんなものかわかる御仁は神様でしょうね、きっと。ただ場合によってはこのバックグラウンドストーリーが全く語られることなくバッドエンドを迎えてしまうというのはいささか納得いきません。前半部分にところどころ永遠の世界のような部分はありますが、意味不明です。

また浩平が消えた後ヒロインたちがただ浩平の帰りを待っているだけというのもなんか変ですね。浩平が消えたときに「永遠なんてなかったんだ」と思えば永遠の世界と契約できて、浩平の後を追えたのに。特に瑞佳。回想シーンにでてくる「みずか」と彼女は同一人物と見て間違いないのだろうから、浩平の後を追って消えるくらいやんなさいよあんた一応ヒロインなんだし

 

システム

選択肢コマンド形式。システム面で面白いのはバッドエンドが2種類あるということです。つまりフラグを2つ立てないとグッドエンドには辿りつけません。つまりこういうことです。
ストーリーの前半部分では、浩平は自分をこの世界に繋ぎ止めてくれる誰かを探さなければなりません。これに失敗すると1月8日の始業式の日に消えてしまいます。これが1つ目のバッドエンド。前述した「バックグラウンドストーリーが全く語られないエンディング」に相当します。

後半部分では、もし消えてしまったとしてもそのヒロインが自分のことを覚えてくれるよう絆を深めなければなりません。これに失敗すると浩平は消えたまま彼女のもとには帰ってきません。2つのフラグを立ててようやく、浩平が永遠の世界から舞い戻ってくるグッドエンディングに辿りつきます。

で、このグッドエンドに行くまでは選択肢によって好感度を上げるのですが、どうも「この選択肢を選ばないとダメ」というのがかなり多いようです。しかも迷う選択肢で。キャラによって違いはあるでしょうが、私がクリアした順の早い3人(茜、留美、瑞佳)はかなりあったようです。おかげで何度かやりなおしましたよ。その後はすいすい進みましたけどね

 

サウンド

さて、このゲームで唯一評価できる点、それがサウンドであります。リーフ作品に負けず劣らずのいい曲が揃っています。最近になって気付いたのですが、スペシャルディスク(ディスク2)を普通のCDとして再生するとサントラとして使用することが出来ます。PSソフトでは結構珍しいのではないでしょうか。また、ディスク1ディスク2共に「オプション」からサウンドモードに入ることができ、音楽を堪能することが出来ます。ただディスク1とディスク2で一部サウンドのアレンジが違うのは一体どういうことでしょうか。つまりゲーム中によく聞く曲と、サントラのテープを作ろうかなーと思ってCDから落とす曲のアレンジが違っていることがあるわけですよ。そんなところばっかり凝ってどうするキッド

 

このソフトと比較

パソコンからの移植、ノベル形式、さらには発売日が1週間しかずれていないのでどうしてもToHeartと比較したくなるのですが、比較するまでもなく全てにおいてToHeartが勝っています

まずグラフィック。ToHeartは移植にあたり立ちグラフィックやイベントCGを一部作りなおしたそうです。ONEがそういったことをやったかは知りませんが、やってないような気がしますね。

次に背景。ノベル形式ですから背景の上に文字が出てくるのですが、輝く季節へはその際の背景の明るさを落とし過ぎです。緑が黒に見えます。中庭の背景は真っ黒に見えます。L1ボタンで文字を消せますが、全くもって見にくい。
文字の大きさも輝く季節への方が小さく、読みにくいです。それでもって改頁の頻度は多いから、「なんのために文字を小さくしとるんじゃ!」と叫びたくなります。

追加された部分ですが、ToHeartは琴音と理緒のシナリオを全面的に見直し、綾香のシナリオを追加し、ミニゲームも3種類作りました。さ〜て輝く季節へは何をやったんでしょうか。新キャラ清水なつきの登場、スペシャルディスク(初回版のみ)くらいでしょうか。しかしこのスペシャルディスクも曲者で、アルバムモードはゲームディスクでも見ることが出来るんですよね。スペシャルディスクの方が高解像度とか銘打ってますが私のような素人には違いなどわかりません。

あと声ですね。ToHeartはフルボイスです。輝く季節へは女声フルボイスです。どうせなら男性の声も付けて欲しかったですね。

ついでにメッセージスキップ機能ですが、ToHeartはL1を押すと次の選択肢まで見ていない文章のみを飛ばしてきます。輝く季節へはR1を押し続けると見ていない文章だろうがなんだろうが次の選択肢まで飛ばします。これは好みの問題でしょうが、私などは文章を全部見たい人なので、ToHeartだとスキップされない文章がまだ見ていないんだなと一発で分かるんですが、輝く季節へだとそうはいきません。押し続けるというのもちょっと面倒臭いです。

はい、わかりましたか?どっちを買おうか迷っている方は迷わずToHeartを買うことをお勧めします
ただ、ここまで違いが出てしまった理由は別のところにもあると思うのです。それが次

 

キッドというメーカー

輝く季節へを発売したキッドというメーカーは、基本的にはパソコンゲームをコンシューマに移植して(たまに独自で作る)儲けているインターチャネルのような会社ですが、どうもインターチャネルほど売れたソフトがないような気がします。サターン版ピアキャロ1ぐらいでしょうか、ヒット作と言えるのは。でもなんで売れないのか今まではよくわからなかったんです。

今回初めてキッドの作品を買ったのですが、なんとな〜くわかってきました。つまり、パソコンの作品から18禁シーンをとっぱらっただけの移植をしているんです。これがインターチャネルであればミニゲームをいれる、追加キャラクターを作る、シナリオをちょっと変える、CGを加える、オープニングムービーを入れるなど様々な付加価値を持たせ、パソコン版を持っているユーザーにも買わせる努力をしています。今回の輝く季節へはそこそこの努力をしていますが(追加キャラ、ムービー)、結局は全員クリアしたらはいそれまでです。

あと情報戦略においても失策が目立ちます。キッドは制作発表から発売までの期間が短すぎるのです。早く発売されるのは確かにいいことではありますが、つまりそれだけ追加されるものが少ないということが丸分かりですし、またもう少しユーザーに「発売まだかな〜」という、期待させる努力というのをすべきかと思いますね。(かといってインターチャネルのように発売が1年以上延びるのも考え物ですが)。情報を小出ししてユーザーの購買意欲を高める戦略をやってみてはいかがでせうか。

つまりここでいいたいのは、「ONEがインターチャネルの手で移植されていたら、全然別の作品になったろうな」ということです
また、リーフの自社内別ブランドで移植したToHeartと、タクティクスとはおそらくなんの関係もないキッドが移植した輝く季節への差はここにもあったということです

ただ、このキッドはどうやらONEを移植してようやく売れ筋を感じ取ったのか、次回作のオリジナル作品「memories off」はどうもONEの路線を引き継いでいるらしいです。

 

最後に

ONEの病人はかなりいるようなのでここまで厳しく書くとヤバイかもしれない。だから全てキッドが悪いんだと言っておく。

個人的且つ主観的評価
キャラクター及び声:79点
シナリオ:60点
世界観:25点
サウンド:93点
システム:63点
総合:73点

(最終更新2003,1,4)


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