Lの季節 -A piece of memories-
99年8月発売 発売元 トンキンハウス
全体的な感想
はい、というわけでこの夏私のイチ押しソフトL季であります。第1印象としては体験版の感想に書いてしまったので、何書きましょうかねえ(笑)
とりあえずこれだけは。単なるキャラ萌えゲームと思って買うと痛い目見るはず
購入動機
白状します。実は最初に電撃G’sマガジンでこのゲームの記事を読んだときは足蹴にしておりました。理由としては、ノベル形式ということでToHeart人気にあやかりやがったなと直感したのと、新手のシステム「口出しシステム」が意味不明に感じたこと、現実界と幻想界という全く違う世界がどう繋がりを見せてくるのかわからなかったこと、幻想界のキャラクターがなんでもアリなこと、ですか(なんかめちゃ多いな)。
それが一転購入するに至ったのは運命の99年春東京ゲームショウ。NEC某のブースの前がトンキンハウスブースだったのですが、そこから流れてくる曲は…こっ、この声は小松未歩だぁ? 小松未歩が主題歌? なんじゃ?と思って振り向くとLの季節にブチ当たったわけです。ですから小松未歩という要素が無ければ注目こそすれ、購入には至らなかったことは明白であります。
世界観、ストーリー概略
このゲームには現実界と幻想界という2つの世界があります。
現実界の主人公は新聞部員上岡進。彼の学校で起きる連続意識不明事件。彼は同じ新聞部員の天羽碧と共に調査に乗り出す。
幻想界主人公はバンドのボーカリスト桐生真。学園祭のコンクールで演奏する曲がなかなか作れない彼は「音楽を生む禁断の魔法」を使おうとしていた・・・・・・共に両主人公の手元に七角形のペンダントが出現するところから物語は始まります。ペンダントの向こうには何が見えるのか?そして上岡、桐生の運命は?
ゲーム最初の選択肢により、プレーヤーはどちらかの視点で物語を進めていきます。基本的に2つの世界は互いに干渉することはないですが、ラストで大きく関わってきます。これ以上はネタバレなので以下略
キャラクターデザインは渡辺明夫さん。彼はTVアニメ「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモトヨーコ」のキャラクターデザインも手がけています。
声が付いている(大体イコールメインな)キャラクターのみ紹介します。
・・・・・・にしても幻想界のみならず現実界まで名前変過ぎやお前等現実界
天羽 碧(あそう みどり)
新聞部員で上岡を新聞部に勧誘した張本人。クールな性格だがそれは人に弱さを見せたくないため。始めは意識不明事件に無関心であったが、突如調査を開始することになる。自分の中では「天羽」を「あそう」とはどうやっても読めないのでテンバと呼称しております
ときに私が南弥生以来ショートボブに弱いと知っての狼藉か星原 百合(ほしはら ゆり)
物静かな少女。友達も少ない。そういった性格が災いして今回の意識不明事件についていろいろな噂が立てられるが、本人は特に気にしていない様子。良くも悪くもストーリーの鍵を握る少女。
ときにロングヘアーにヘアバンドというのは私のツボと知っての狼藉か弓倉 亜希子(ゆみくら あきこ)
友達想いで、自分よりも人の心配ばかりする。そのため、誰にでも好意的。弱気で健気。クセのあるロングヘアが特徴。東由利と共に学園の七不思議調査に同行することになる。
ときにその性格でCVが中川亜紀子というのは私のツボと知っての狼藉か東由利 鼓(ひがしゆり つづみ)
陸上部所属。思い込みが激しく猪突猛進タイプ。彼女を止める役割である親友の亜希子とはいいコンビ。情報通で噂好き。やはり亜希子と共に学園の七不思議を調査することになる。ゲームが発売されるまで名前を「ひがしつづみ ゆり」だと思っていました弓倉 さやか (ゆみくら さやか)
弓倉亜希子の妹で中等部2年生。吹奏楽部所属でトロンボーンを担当。気分屋で天真爛漫。姉とは逆の性格。草壁 湊(くさかべ みなと)
物理の教師。理科準備室でいつもタバコを吸っている。ぶっきらぼうでマイペースだが本当は生徒思い。鵜野杜 椎奈(うのもり しいな)
図書委員で生徒会役員。登場場面もそれほどないし、恋愛対象以外だというのに唯一声があるキャラクター。以外に隠しキャラの可能性も。でも桑島法子だから善し、全て善し!幻想界
鈴科 流水音(すずしな るみね)
明るい幽霊。音楽嫌いを公言しているが実はピアノが得意。桐生とは普段から喧嘩口を叩く仲。リリスに頼まれ、学園祭の音楽コンクールに出場することになる。美術部所属。
ちなみに新宿南口の駅ビルとは関係ないと思う舞波優希(まいなみ ゆうき)
中等部2年生で鈴科と同じ美術部所属。魂を狩ることが仕事である死神族の名門の娘。だが本人は引っ込み思案で魂相手にモジモジしてしまう。手にする大鎌が彼女のトレードマーク。桐生のバンドのファンで、桐生に憧れを抱いている。
ときに長髪ベレー帽というのは私のツボと知っての狼藉か湖潤 リリス(こうるい りりす)
力のある音楽を聞くことによって成長することが出来る音楽の妖精。しかし周りに力のある音楽を弾く人間がいないため未だ大人の姿になりきれないでいる。そのため桐生に目をつけた。
なお少女を取りこんで巨大化して補完ということはありません氷狩 吹雪(ひかり ふぶき)
性格が男っぽい雪女。女子の下級生から人気が高く、取り巻きもいる。空手部所属。ある事件をきっかけに男性不信になり、特に桐生には嫌悪感を抱いている。霧城 七衣(きりしろ なない)
誰かが描いた絵の中に住む魔法生命体の少女。普通の世界(3次元)と絵の中(2次元)を自由に行き来することが出来る。基本的に2次元の住民のためか現実社会に興味がなくいつも漫画ばかり読んでいる。コミケにも毎回一般参加している。
ときにメガネにそばかすとは私のツボと知っての狼藉かエリザ ノインテーター(えりざ のいんてーたー)
ヴァンパイア族。学園を経営する理事長の娘。現在は理事長代理。男子生徒から人気が高い。一部サブキャラと男キャラ全員には声がつきません。やる気ねー
曲とサウンド
オープニング曲は前述の通り小松未歩「手ごたえのない愛」であります。この曲は彼女のセカンドアルバム「未来」に収録されています(宣伝)が、アルバムが発売になってから「手ごたえのない愛」がオープニング曲に決まりました。おそらくゲームのシナリオと詩がマッチしているからでしょうが、アルバムにしか収録されていない曲を使ってくるあたりトンキンハウスのこだわりを感じます。裏を返せば、「今からタイアップする暇も金もねえ」ということになるのですが。
続いてサウンドです。サウンドノベルですから雰囲気に合った曲であることが絶対条件でありますが、そこそこいい曲が揃っております。個人的にお気に入りは星原百合のテーマ曲とバッドエンドの曲。ピアノソロの短調が好きという捻じ曲がった趣味だとどうしてもこうなります。
システム
ただのコマンド選択式ではなく、随所に面白いところがあります。
まず1つ目は口出しシステム。トンキンハウスが自ら「画期的」と言っておりますが、主人公の行動にプレーヤーの意見を反映できるようになっています。口出し内の選択肢により「こいつは好きか嫌いか」の選択で女の子の感情値が変わります。つまるところ口出しシステムを有効に使わないことにはベストエンディングには辿り着けません。
問題点としては、口出しできる箇所が決まっており2回目以降可能なメッセージスキップをしていると口出しを逃がしてしまうことでしょうか。このため感情値不足でバッドエンドということが2回ほどありました。
また、そのキャラクターの口出しをする事によってほかのキャラクターの感情値も変わる、というのはかなり重要です。
L2ボタンでキャラクター同士の相関図を見ることが出来るのですが、そこで誰は誰に対してプラス(マイナス、ノーマル)感情を持っているかが分かります。そして例えば天羽に対し好ましい口出しをした場合、天羽に対してプラス感情を持っている弓倉亜希子の感情値も上がります。逆に天羽に対してマイナス感情を持っている東由利の感情値は下がります。また天羽に対してノーマル感情の星原の感情値は変わりません。上に書いた「口出しシステムを有効に」ということは、他人の口出しでお目当てのキャラの感情値を上げるというテクニックも必要ということなのです。
2つ目はTIPSと呼ばれるもの。特に幻想界は特殊な用語が多いので、一部の用語につき参照できるようになっています。それだけかと思っていたらストーリー終盤でとんでもない使われ方をしてやがりました。なるほどねえ、今までのTIPSはこれのための伏線だったかと唸らされました。
これについて納得行かないのは無意味にTIPS内文章が改頁され、2頁に分けられていることです。しかも2頁目は文章量が少なく、1頁目のTIPS領域を広くしていれば1頁で済むところをわざわざ2頁にしています。我々からすれば文章が途切れ途切れになり、改頁しなければならないので、>はっきり言って無意味です。いい使われ方をしているだけにもったいなかったですね。
3つ目は3Dマップ。シナリオの分割併合が激しいので、自分が今までどのシーンを通ってきたかがブロック表示でわかるようになっています。ついでにこれからどこで分岐があってとかいうのもわかります。3Dなので上部に現在プレー中の世界、下部に裏の世界が示してあります。わざわざ3Dにすることなく2Dにして平行に並べりゃいーじゃねーか思っていたら実は(以下ネタバレにより削除)
テキスト
体験版感想にも書いた通り文字のフォントがサイズも含めてこれと一緒であります。まあこれは善しとしましょう。問題はやはりルビでした。ルビが小さすぎて見えないことがあるし、背景によってはルビの文字と色がかぶって結局読めないことが多々あります。さらに頁の1行目にルビつきの語句がある場合は、1行落としてテキストが表示されます。こんな措置を取るくらいであればカッコで読みを書いた方がよかったんじゃないかと思いますが
それから文章そのものについては、大きく分けて上岡進(桐生真)の視点から見た文(僕あるいは俺が出てくる)、女の子の視点から見た文(私が出てくる)、第3者の視点から見た文(上岡(桐生)、天羽などが出てくる)がありますが、これらがころころ入れ替わるため「一体これは誰の視点での文なんだ?」ということが時々あります。主人公の知らぬところで何かを起こすため、あるいは女の子の感情を書くためにこういう措置を取ったと思いますが、ちょっと解りにくいかな
さらに書くと、ノベル形式(地の文)とウィンドウ形式(会話文)を使い分けていると体験版感想で書きましたが、この両者の切り替えが頻繁に起こるのに対し切り替え時間がかかりすぎ緊張感が持続しにくいです。仕舞にはやってて鬱陶しくなります。ノベル形式における背景の処理は全体に緑掛けていてよかったのですが。
シナリオ
詳しくはネタバレ付きシナリオ考察にて書きたいかと思います(逃げ)が、シナリオ全体は非常にいいお話です。
あるシナリオをクリアすると別のシナリオが出現して分岐可能になったり、多くの仕掛けがあります。実はこのゲーム、ファーストプレーは100%バッドエンドです。いいところまで行ってバッドエンドであれば次回以降3Dマップを見るとその先のシナリオが出現し、2回目でようやくグッドエンドに辿り着く仕組みです。
でも1回目必ずバッドエンドって痕がそうらしいですね。私はまだやったことないですが(99,8,9時点)
オープニング
さてゲームのツカミであるオープニングアニメですが、私が今まで見た中でも最高の成績です。もちろんそのうち約半分は小松未歩という要素が関っているのですが、作画レベルは高いしムービーという感じではなくセルが自然に動いております。もちろん詩に合わせてアニメを作っているので詩とアニメはマッチしているのですが、実はアニメの中に一部ネタバレと受けとめられるものが入っているのもご愛嬌。天羽がカメラのシャッターをきっているシーンでは、モノクロの上昔の活動写真風の縦の雑線が入ったりして素晴らしい出来でした。マジでツカミはオッケーです
最後に
オマケ要素とはいえ、スクリーンセーバー付きのTVゲームって、はじめて見た。
個人的且つ主観的評価
キャラクター及び声:98点
シナリオ:87点
サウンド及び歌:91点
システム及びテキスト:88点
オープニングアニメ:98点
総合:94点
(最終更新2003,1,4)