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耐震診断と耐震改修
地震の話
 

地震の話


最近、各国で地震が発生していますが、やはり世紀末なのでしょうか!?
地震国日本で、建物を選ぶとなると、この事は、みなさん心配なさっている事だと思います。
ただ、どんな地震が来るのか、予測することは難しいのです。
地震と建物の振動のメカニズムに対する要因を、以下に簡単に説明します。

1 固有周期   2 共振現象   3 組み合わせ   4 液状化   5 地震とマンションの話

1 固有周期


建物や、地盤に振動が伝わると、それは揺れます。

一般に柔らかい周期は長い


一般に
硬いと周期は短い
 
【実験 1】

同じ厚さの、柔らかいプラスチック製の定規と、
硬いアルミ製の定規を同じところまで押して、離します。

すると、この2つの定規は、違った揺れ方をします。
柔らかいプラスチック製の定規は長い周期で振動し、
硬いアルミ製の定規は短い周期で振動します。
プラスチック

アルミ


建物も同じで、 柔らかい構造の建物の周期は長い 硬い構造の建物の周期は短い


建物には、それぞれ固有周期と言うものがあります。
同じ形ものであれば、
1.鉄筋コンクリート造
2.鉄骨造
3.木造
の順で、硬い造りとなっており、固有周期で言うと、短い順です。
(つまり、一番硬い鉄筋コンクリートが、固有周期が一番短いと言うことです。)

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2 共振現象


建築大辞典には、
「振動計の固有振動数が外部からの強制振動の振動数に一致したとき、
系の振動幅が著しく大きくなる現象」

とある。
地盤の周期と
建物の周期に
違いがある
地盤の周期と
建物の周期が
同じ時

通常、揺れているものが、共振すると、ゆれが大きくなります。
周期がまったく同じとなると、減衰することがなく、共振し続けることなります。
最終的には、建物が耐え切れなくなり、
破壊されることとなるわけです。
 
つまり

固い地盤に、硬い構造の建物を建てれば安心かと言うと、決してそうではないと言うことです。
危険を避けるなら、地盤と、建物の周期を同じにしないこと!!


ただ、これが難しいのです。

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3 組み合わせ


地盤は、山は古い時代からの硬い地質で、平野は比較的新しい時代に滞積して出来た、柔らかい地質である可能性が高い。
先ほどの、共振現象の話からいくと、
山(硬い地盤)には、木造(柔らかい構造)、平地(柔らかい地盤)には鉄筋コンクリート(硬い構造)を建てれば良いという事となる。
昔から、山の手には寺神社、豪邸が多く、下町には、一般庶民が住んでいるというのは、山の手の方が、木造建築に向いていて倒れにくいという、傾向があったからなのではないでしょうか。

ただ、
軟らかい地盤は、固い地盤と同じ地震エネルギーを与えられたとき、それを吸収するのに、周期が長い分、振幅は大きくなります。
だから、柔らかい地盤で周期が等しくなる可能性の少ない、鉄筋コンクリート造にしたからといって、
安心は出来ません。

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4 液状化


大地震のたび耳にします……液状化

液状化破壊
飽和した砂が、振動・衝動などにより、間隙水圧が急激に増加するため、砂のせん断抵抗がなくなり液状化して生ずる破壊。

【実験 2】

水槽に水を十分に含んだ砂を入れて振動を与えます。
すると表面に水がしみ出してきます。

これは、揺らす事により砂間の隙間が埋まり、
短い時間で水が上に上がってきてしまうのです。

 
液状化が起こると、杭基礎以外の基礎形態では、建物は水の上に浮いている様な状態となり、地盤はほとんど建物の支持力を失なってしまいます。
だから、倒れてしまうのです。

以上

地震について述べてきましたが、ここまでは原理的には分かっていても、現実的には、

(ア)土の中の地盤の様子
(イ)地震がどこに発生するのか。またそこからの水平距離
(ウ)震源の地盤ゆれ方、深さ



これらの要素は
(ア)については、大体は、断定できますが、地震の力がどう伝わるかまでは、はっきりと分かりません。
(イ)(ウ)については、現在では、予測する事は困難です。
だから、結論を言えば、1つの建物が地震に対して、倒れるかどうかと言う事は、分からないのです。
(ただし、手抜き工事があるときは、そこから壊れやすくなります。)


分かる範囲の可能性として、地震に対する、建物の安全性能の表示を行っていくことが、建築業界の動きのようです。

例えば!!

震度6地震に対して、耐えられる構造でいいのか。 それは、購入する側の判断となります。
(降水確率を見て、傘を持っていくか、持っていかないか決めるように…。)

値段は高くなるが、何百年に1回しか起こる可能性のない震度7地震に対して、耐えられるまでの構造とするのか。

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5 地震とマンションの話


次項に述べる「マンションの選び方」の前にちょっと・・・。

開口の少ない短手方向に揺れる地震は、その力に耐えるべき壁が多いため、長辺方向の揺れに対してよりも強いわけです。
また、
固有周期も短手方向・長手方向によって、違ってきます。

地震がどっちの向きの力で発生するのか、予測することができれば、建物自体の向きを考えて、建てれば地震に強い建物となります。
 
でも前にも述べたように、これを予測することは、現時点では、不可能なことです。
でも、頭に入れておくと良いと思います。

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