瀬領共有地、第2陣の登記を申請 知事に申し入れ

(2000年9月3日掲載)


 98年10月、五十嵐敬喜、宇井純、高橋治、宮本憲一、山下弘文の5氏によびかけ人になっていただいて取り組みを開始した共有地運動は、すでに全国から120名の参加を得て登記済みでしたが、8月25日、第2陣39名の登記を金沢地方法務局に申請しました。これで、北海道から沖縄まで全国にまたがる159名が地権者となりました。

 今回登記申請した土地は、辰巳ダムによる水没予定地(=買収予定地)の犀川に面する約53平方メートルの原野で、この土地を取得しなければダム建設は不可能です。

 今回の土地登記に際して、谷本正憲石川県知事にたいして以下のような申入書を提出しました。


辰巳ダム反対の共有地登記に際しての石川県知事への申し入れ

2000年8月25日

石川県知事
谷本正憲様

辰巳ダムを止める土地共有者の会 
代表 碇山 洋

 当会は、本日、辰巳ダム建設に反対する瀬領共有地(金沢市瀬領町ヌ131番4)の2回目の所有権一部移転登記、39名分を金沢地方法務局に申請しました。これで、1回目の120名とあわせ、この土地の所有者は159名となり、金沢市内、石川県内はもちろん北海道から沖縄まで全国にひろがっています。
 用地の買収交渉には長い年月がかかり、県公共事業評価監視委員会がつけた付帯意見の実現とあわせ、たとえ県が計画を推進しつづけても、辰巳ダムの完成ははるか遠い将来のことになります。その間にも、県が想定した大雨が降る可能性はあるはずです。また、計画で想定しておらず辰巳ダムでは対応できない降雨パターンの大雨も、降る可能性があります。今回の登記によって事実上、実現が不可能になった辰巳ダム計画に固執しつづけることは、問題をいたずらに先送りし、深刻化させるばかりです。
 本日の第2回登記に際して、すべての共有地権者を代表して、知事に対し以下のことを申し入れるものです。

(1)全国にひろがる辰巳ダム計画への批判、疑問の声に謙虚に耳を傾け、この際、計画を中止し、科学的・合理的な雨量・洪水量予測をやり直して、環境保護、文化遺産保護に十分配慮したダムに頼らない河川整備基本方針、河川整備計画を策定し、真に水害につよいまちづくりをすすめてください。

(2)6団体提出の「市民運動にたいする石川県の背信行為に関する抗議文」(1999年10月13日)が指摘した市民グループにたいする背信行為や、当会の抗議声明「公開質問状にたいする谷本正憲知事の回答拒否に抗議する」(2000年8月17日)が問題とした回答拒否など、この間の知事をはじめとする県側の当会や市民諸団体にたいする不適切な対応は、辰巳ダム計画への賛否以前の問題として、国民の財産権を保障する憲法の精神に則った道理ある買収交渉にとってきわめて大きな障害となります。買収交渉に入る前に、当会や「兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会」をはじめ市民諸団体が提起してきた諸問題の解決に向けた誠意ある対応を求めます。

(3)当会の共有者の多くは「問答無用の絶対反対」といった立場ではなく、辰巳ダム計画の内容とこれまでの県の説明に納得できないので反対の立場をとっているという共有者が多数います。上記(2)に挙げた障害の解決を前提に、買収交渉に入る前に、円卓会議の開催など、代替案の検討などもふくめて計画の問題点、妥当性等を十分な時間をかけて全面的に議論する機会を設けてください。

(4)当会のよびかけにこたえて瀬領共有地の地権者となった共有者の辰巳ダム計画にたいする考え方、立場は多様です。将来ありうる買収交渉においては、すべての共有者にたいして、十分な時間をかけ、辰巳ダム計画への批判・疑問に答える誠意ある対応を求めます。

(5)強制収用などの強引な手法を決してとらず、憲法に保障された国民の財産権を尊重し、県民合意の民主的な形成を重視して、徹底的な情報公開、憲法と法の精神に則った民主的で公正な手続き、十分な時間をかけた事実と道理にもとづく地権者との対話をすすめ、あくまで話し合いによる解決を追求してください。

 以上、申し入れます。


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