2002年1月の徒然草紙


「徒然草紙」2002年1月版です。
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2002/01/27

電撃文庫刊行、甲田 学人著「Missing 3 首くくりの物語
ホラー風ライトノベル。
正直、ラヴクラフトのクトゥルフだとか小泉八雲などの正当派に比べるとさすがにかわいそうかな、
とも思わないでもないが、比べてしまうよなぁ。どうしても。
自分がライトノベルでこの手のを読んでないせいだろうが。
ま、萌え小説だし。そういった観点から見ると、ライトノベルらしいライトノベル
ではある。
一番ビックリしたのがナンバーうってあるわけでもなく、前とか上とかないのに続いていたこと。
このシリーズ、一応はハッピーエンドでおわってるんだが、なんとなく(気分的に)釈然としない
終わり方をしつつけてるもんで、終わっていない以上要注意の作品でもある。


2002/01/26

電撃文庫刊行、三枝 零一著「ウィザーズ・ブレインU 楽園の子供たち
同期にデビューした「天国」の作者は既に5冊目。遅筆かというと、やっぱり遅筆か。
天国の作者は早すぎるんだが。
巷では色々いわれているようだが、今回はどうだろう?
自分的にはSFギミックといい、アイデアといい、気に入ったんだけどな。
主人公(だよな、多分)の「技」が指パッチンで、その技の理論が(こじつけだろうとなんだろうと)
ちゃんと説明されている。
それはいいのだが、指パッチンというと、どうしても、OVAのジャイアントロボに出た
「華麗なるヒィッツカラルド」を思い出してしまうなぁ・・・(原作は未読)

イマイチ納得のいかない部分(御都合主義とも)もあるが、まぁ、それなりに読めたのでよしとしたいところ。


2002/01/20

電撃文庫刊行、中村 恵里加著「ダブル・ブリッドZ
あいもかわらずくもり空な作品。
盛り上がりにイマイチかける感があるけれども、それでも前巻くらいから物語りが急展開してきた。
背後の陰謀なんて目じゃない。
っていうか、主人公、だれよ?てなもんで。
まぁ、アヤカシという「非人間」が主人公であることにはかわらないのだろうけど、
最初のほうに少しだけあった「人間でないということ」がクローズアップされてきたかのようにも感じる。
まぁ、これは前巻からか。
それは、アヤカシでもなく、人間でもなく、ましてダブルブリッドでもない
「キマイラ」の出番が増えてきたことによるのかもしれないが。

「アヤカシ」と「人間」との間で 友情、あるいは愛は成立するのか、という深読みすれば
とほうもないテーマをもっているような気もするし。
そうだとすると、これはつまり、「男と女の間で友情は成立するか」という
永遠のテーマのオマージュでもあるわけで。
ライトノベルでやることじゃねぇ。


2002/01/19

電撃文庫刊行、時雨沢 恵一著 「キノの旅X - the Beatifull World - 」。
和製A・ビアス「悪魔の辞典」。
主人公が酷く冷静なスタンスで国々を回っているのが、長持ちしている秘訣か。
我々から見れば非情なことでも、主人公は自分に火の粉が降りかからないかぎり、
関わらないようにしようとする、ある意味情感のない、ロボットのような存在。
それ故に国々で述べられる風刺が風刺として生きている、というか。
連作短編故に長くもなく、ふとした折りに手に取って一編だけよむ、ということもできる作品。
今回は「英雄達の国 No Hero」が気に入った。
この一編だけではいつもと雰囲気違いすぎてわけわかんないだろうけど。


2002/01/14

電撃文庫刊行、佐藤 ケイ著「天国に涙はいらない 5 逝き女五枚羽子板
パターンの連続。ありがちな萌えキャラを出しまくり、ある意味それをネタにしている作品か。
今回もよくあるパターンを踏襲しており、それをあからさまにネタにしていたりする。
笑えるか笑えないかは個人の資質というか。
人によっては力いっぱい拒絶反応示すだろうな、などとおもいつつ、結構楽しめたりも。
前作まではかなりヘビーなテーマをオブラートに二重三重につつんでいたのだが、今回はそれほどでもなかった。
ただし、登場するキャラクターに思いれたりする人は要注意かも。

しかし、これ、いつまで続くかね。


2002/01/13

角川スニーカー文庫刊行、茅田 砂胡著、「レディーガンナーの大追跡 上
下巻がでてからかいたほうがよかったか。
あいかわらずの茅田節炸裂である。
とはいえ、デルフィニア戦記ほどは超絶能力をもった主人公ではなく、
しかもその主人公が危機的状況に陥っているところで下巻に続く、となっている。
著者の作品にしてはめずらしく、というか初めてか?どうやってこの危機的状況をだはするのだろうか、
と妙な関心をもってしまった。
いや、ご都合にはかわりはないんだろうけどね。
茅田節のひとつなんだろうけど、主人公サイドが清廉潔癖すぎて少しおもしろみにかけるな、という気分と
対象読者層をかんがえるとこのぐらいデフォルメしたほうがいいのかな、という感想とを抱いた。
自分のようにすれた読者ってのは、実態がどうあれ本来のターゲットとはずれているだろうからねぇ。
1月末か2月頭には下巻が出る予定。意味もなく続かなければいいけど。


2002/01/12

富士見ファンタジア文庫刊行、「どかどかどかん さん
あいかわらず、いい味だしてる脇役を使い捨てにする作者だこと。
今回はまだ主人公たちが街から旅立っていないので、なんともいえないが。
擬音を多用した作者というと、自分的には神坂 一が印象深いのだが、この作者はその上をいく。
前作のようにいきなり擬音ではじまったりしなかったし、実の所、擬音のでてくる頻度が
意外と減少しているような気もしないでもないが。
きになったのがヒロインの性格。朱に交われば赤くなる、ではないが主人公と旅を
いっしょにしているせいで変わった、と見るべきか、
あるいは作者のノリで変わった、とみるべきか。
結構判断に悩んだり。
いや、考えなくてもいいんだけどね。この手の作品では。


2002/01/06

富士見ファンタジア文庫刊行、 舞阪 洸著「火魅子伝 7
これを読んでいると戦略級シミュレーションがやりたくなってくる。とくに三国志とか信長の野望とか。
いや、性に合わないので途中で投げ出すのが目に見えているため、実際には手を出さないけど。
とまぁ、シミュレーション苦手の自分でもそういう気にさせるほどこの話はシミュレーションゲームくさい。
もともとがそういうコンセプトで出た話みたいだし、実際ゲームをベースにかかれているようでもある。
気に入った、というのとは少し違うが、主人公がもっている特殊能力がほとんど脚光を浴びることなく、
どちらかというと現代人であり、歴史好きな主人公の戦略的思考なんかがクローズアップされていて、
なんとなく「普通の主人公ががんばっている」という気にさせられるところがある。
実際はンなことはなくて、先にも書いた特殊能力とか、妙にご都合な展開とかあるけどね。
ある意味イラストで損をしている作品だし、作中にも「やめろよ」といいたくなる部分はあるにしろ、読んでて面白い本ではある。
とはいえな。そろそろ終わって欲しい気もするんだが。


2002/01/05

朝日ソノラマ文庫刊行、菊池 秀行著、「D−邪神砦
いつものエンディングじゃない、という異色作(笑)
うん。十分異色作だよな。なんだかわけわかんないうちにケリがついてたりもするし。
いつもだったら結局最後まで生き残りそうな登場人物がいっちゃうし。
まぁ、あいかわらずDはDで。
なによりも、朝日ソノラマのサイトにある新刊案内が笑えた。
DはDでもD&DのほうのD。
っていうか、まんま、モジュールの導入部分。
そのまま谷というワイルダネスのふりをしたダンジョンを突破して、砦というダンジョンを突破してラスボスとの戦い、と。
まぁ、話もそのまんまだったけど。
考えてみればDの物語の基本はそうだもんな。
バンパイアの退治依頼があって、ダンジョンなりワイダネスなりを突破してラスボス倒してシナリオクリア、と。
む、ネタにできるかも。


2002/01/02

富士見ミステリー文庫刊行、吉村 夜著、「真・女神転生U 復活のジン
前作を読んでからでないと少しわからないところあり。
コンシューマーゲームである「真・女神転生」シリーズのファンよりも、TRPGのほうの「真・女神転生」のファンのほうにお勧め。
特に「誕生編」のルールを知っているとすっげー笑える。
作者、知っててかいたのかなぁ?
「前世での死の体験」「愛する者の死」「内面の旅」「前世の夢の暗示」「悪魔との遭遇」「異次元での修行」
うむ。覚醒のひとつふたつしてもおかしくないわな(笑)

でもなんか、そんなところにばっかり目が行って話そのものはあまり記憶に残らなかったり。
ヒロインがいつのまにか開発されていたコールドスリープでひとり若いままでいたり、
未来予知の能力が分岐未来の一部をみるものだったり、
と説明ヌキでいきなりなものも多々あったけど。
話としてはこんなものなんだろうなぁ。
それにしても。
なぜこれが「ミステリー文庫」なのだろうか?それが一番の謎だよな。


2002/01/01

あけましておめでとうございます。
とはいえ、新年は仕事帰りの電車の中で迎えたせいか、全然正月気分にはならないのですが。
妙に忙しかった12月には徒然草紙もほとんど書けなかったのですが、読むものは読んでました。
何しろ一冊読むのに2時間とかからないし(苦笑)
ということで2002年最初の一冊。
・・・最初の一冊がこれか・・・まだましかのぉ・・・
朝日ソノラマ刊行、秋山 完著、「吹け!南の風 [1・星戦の熾天使セラフィム]
ペリペディアの福音」(全3巻)と「天象儀の星」(の中の一編)を読んでからのほうが理解が早いかも。
著者の作品のうち、いくつかの作品が同一世界なのだけれども、この作品もその同一世界の時間の流れに沿った作品。
ちなみに、その同一世界の年表が「天象儀の星」にでてたりもする。
「ペリペディアの福音」と比べてどれほどの大作になるかは不明。
同一世界の歴史的な事件規模からいえば、かなり大きなものを扱うことになるか。
とはいえ、その歴史そのものを扱うのか、その中の一片を書くのか、いまのところわからないのだけれども。
正直、どうころぶかわからないのでなんともいえないところ。
続編に期待、か。


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