再読もの。ふと気が向いたので読んでみた。
角川スーパーファンタジー文庫刊行、霧島 ケイ著「聖セントベリアーズ騎士団!」
この著者の作品というのは、他には「琥珀のティトラ 聖女さま、参る!」ぐらいしか知らないのだけれども、
基本的なパターンは同じだったりする。
何も知らない主人公(ヒロイン)が周囲にひっかきまわされ、陰謀に巻き込まれ、
それでもなんとかやっていく、という話である。
この物語も同じく、騎士養成学校を卒業したばかりの主人公が
「落ちこぼれ騎士団」との異名をもつ騎士団へ配属されることから話が始まる。
変人ばかりの構成員の中にあって、いちばんのくわせものはやはり、というか案の定というか、
団長だったりして、そのへんは期待を裏切らないのだが、
団長の正体についてはさすがに予想外のものだった。
たしかに伏線はバリバリ張ってあるし、今回のように再読してみると、「ああ、これがアレのことを言っているのだな」
などとわかったりも出来るのだが。
小難しいことは考えずに、表面っつらを眺めて楽しむがよし、という、ある意味典型的なライトノベルではある。
かなり早い執筆。
電撃文庫刊行、佐藤 ケイ著「天国に涙はいらない2 畜生道五十三次」
前作の金賞受賞作からわずか2ヶ月での続編である。
前作、おもいもよらぬ終わり方をしたケリをつけているわけだが、ちょっともったいない
キツネに転生した主人公が人間に化ける方法を教えにもらいに東京へ向かい、
そこで現代の日本ではほとんど無理だということが判明する。というところが20〜30ページで終わっている。
それだけで十分一冊にできる話だし、そうしてもよかったのでは。
で、本の最後で希望をもってたずねた主人公がほとんど不可能な方法を知って衝撃をうけてエンド、と。
そこらのもったいない部分をのぞけば、ロリコンな守護天使だとか馬鹿正直な悪魔だとか
「そんな奴ぁいねぇ」の世界で、あいかわらずなのだけれども。
ここで「フランダースの犬」ネタをもってくるのはおどろいたけど、それ以上に
パトラッシュがセントバーナードでないことを始めて知った。ビックリ。
原書の描写である「黄色がかった毛並みと狼のようにまっすぐたった耳」をもった犬は
グレートピレニーズしかいない、とのことだけれども。
グレートピレニーズってどんな犬?(苦笑)いわれてもなぁ・・・・
そういえば。
昔、引越しをした家族に置いてけぼりにされた犬(コリーだったような記憶が)が長い旅路をへて
飼い主の元へとたどりつく、という話を見た記憶がある。
似たような話は多いのでよくわからないけど、なんだったけか?
天象儀の星に感化されたのかもしれない。
朝日ソノラマ文庫刊行、秋山 完著「ペリペディアの福音(上)(中)(下)」
3巻一気読みである。
ノスタルジックSFとかいう売りで「どこか懐かしい未来の物語」としているが、その実
中はかなりの科学知識を要している。
ソノラマらしいといえばらしいのだけれども、謎が謎のままでなく、科学的な理屈をこねている所が
そこらのライトSFとは一線を規している所か。
天象儀の星の時にも書いたが、その理屈が正しいかどうかは、また別の問題。
特に今回みたいな「フィフス・エレメント」のこととなるともはや。
まぁ、謎が謎のままのところや、ひどくあやしい部分もあったりするが、そこはそれ。
話をもりあげるためと思えばなんのその。
読んでいる最中に、同社から出版されている岡本 賢一著の「銀河聖船記」と非常にオーバーラップしてきた。
語り口が似てるわけでなし、どことなく雰囲気が似てる、とでもいうか。
最後のインパクトの差でこっちはMuseun入りしていないけれども。
あとはちょっとした蛇足が気になって。
そこらかしこにちりばめられたSFネタやアニメネタには笑わせてもらいました。