朝日ソノラマ文庫刊行、岩本 隆雄著「ミドリノツキ(中)」
7月にここで紹介もした「ミドリノツキ(上)」の続編である。
旧き良き「ジュブナイル」といった感のある物語で、やや作者の感性の古さも感じさせられるが、
逆に最近のライトノベルにはないすがすがしさも感じることができるかもしれない。
物語は確かに中盤で、いくつか伏線らしきものも出てきて、はたしでどうなるやら。
一方、上巻に出てきた伏線もここで使われており、やや強引さも感じられないでもなかったが
上巻で不明だった主人公の立場がようやく明確になり、なんとなく「沈黙の要塞」などを思い出してしまった。
最近、TVで放映していたせいかもしれないが
角川スニーカー文庫刊行、吉田 直著「トリニティ・ブラッド Trinity Blood Reborn on the MarsU 熱砂の天使」
ああ、ますますトライガン。
本家のほうはなにやらすごいことになっているっぽいが(よくしらないが)こちらは王道一直線というか。
なんとなく設定なども見えてきて、ああ、なるほどな、とうなづくことしきり。
と同時に興味もうすくなったりして。
いや、読んでて確かに設定に引かれるものはあるのだけれども、他にない、というのがどうも。
いかんせん、主人公の二番煎じがねぇ。
元々設定orストーリーの方に興味をもつ性格もあってか、その欲求(隠された設定を知りたい)というのが満たされると
あとはどーでもいいや、的な読み方になるのがね。
悪いところでもあるのだろうか。
角川の戦略に乗るのもなんとなくしゃくではあるが。
さて、どーすんべかなぁ。
徳間デュアル文庫刊行、上遠野 浩平著「わたしは虚無を月に聴く Night watch under The Cold Moon」
タイトルからして「僕らは虚空に夜を視る」の関連作品である。
とはいえ、中身的に共通項目は「仮面をめぐる論議」のほうではあったが。
数ページ読んだ時に作者の別作品の匂いを非常に感じた。
ずいぶん昔の作品なので、記憶もあやふやではあったのだが、雰囲気は覚えていたらしい。
関係がある。まぁ、関係については「僕らは〜」のほうで示唆はされていたのだけれどもね。
今回ははっきりとイメージ的に同一のものがあって、はてさて、あの話はどんなものだっただろうか
などと思いを寄せてみたりして。
思い出せないのだけれども。
最後の・・・なんていうのだろう、「つづく」とか「完」とか書かれている所が全ての
ネタばれになってはいるのだけれども。
欠番があるよなぁ。
などと考えながら、最近の難解になってきた作者の作品にすこぉしづつ不安を覚えもしたりする。
勢いが、ね。
富士見ファンタジア文庫刊行、星野 亮著「ザ・サード0 風化の舞う街で」
作者お気に入りの主人公ではなく、彼女を取り巻く脇役のひとりにスポット
をあてた外伝。
過去話のせいで、主人公との出会いによって変化する前の人物像がかかれている
はずなのだけれども。
はてさて。
なんか相変わらず化け物ばっかしで。
まぁ、本編の主人公からしてそうだもんなぁ。
この作者、茅田砂湖傾向(スーパーヒロイン嗜好)があるのかな?
これまたずいぶんと前に読んだ本だな。(苦笑)
電撃文庫刊行、甲田 学人著「Missing 神隠しの物語」
オカルトというか、ファンタジーというか。いまいち印象につかない話。
ただ、登場人物は皆が見なして「そんな奴ぁいねぇ」の世界で笑える。
全てを知っている人物がからくりを語るのは勘弁してほしいとおもったがね。
なんかすっげーおいてかれてる気分になれるし。
「あ、そ。ふーん。で?」
てなもんだ。
ふと気が付くと一月くらい更新してなかったり。まぁ、煮え煮えだったのもあるけど。
今月は実の所じつに不作。
てなわけではないが、ずいぶんと前に読んだものを。
タイムリーでないぶん、記憶もうすれてはいるけれども、一応読んだ時のメモなぞ参照しつつ。
電撃文庫刊行、佐藤 ケイ著「天国に涙はいらない3 あだ討ちヶ原の鬼女」
悪魔っ娘、猫っ娘に続いて3巻目は巫女さんである。
どんどん登場人物が増えていく。
守護天使のいいぐさが絶対間違えてるとわかりつつもなんとなく
納得させられるのはなぜだろうか。
すっげー軽いノリだし、おバカ小説のひとつだとはおもっているのだけれども、
そのくせにテーマ的にはすさまじくヘビー。
今回も「復讐」がテーマだし。
ただなぁ・・・やっぱり復讐の動機とか経過とか考えるとおばか小説なんだよな。
別に評価を付けるわけではないのだが、それでも悩む話ではある。
いや、なんかさ、「ここで笑ったら/納得したら、人間として失格なのではないだろうか?」
とか思ってしまう部分もあったりするので。