「解った。やってみるよ」
 君は、オウルの願いを聞き入れることにした。
 これが夢なら、それはそれで面白いと思ったのだ。
 とは言え、まさかこんな夜更けに玄関から堂々と出て行くわけにもいかないので、部屋の中を漁って冒険の仕度を整える。
 ベッドの下にしまい込んであったハイキング用のトレッキングシューズとウエストポーチを引っ張り出し、ポケットのいっぱいついたフードつきのパーカーを羽織った。
 武器は愛用のパチンコと玩具のライトセーバー――もちろんフォースは使えないけど――、それから聖剣エクスカリバーを模したペーパーナイフもお守り代わりに持って行こう。
 ついでに、机の引き出しに隠しておいたチョコレートをポケットに忍ばせて、君は窓からそっと寝室を抜け出した。
 ふと見上げた空には、大きな丸い月が皓々と輝いている。
 これだけ明るければ、夜道を行くのもそれほど苦にならないだろう。
 オウルに導かれるまま抜き足差し足で庭を横切り、家の裏手に廻り込む。
 其処には、大小3つの人影が君を待ち構えていた。
 「彼等は、あなた様と冒険を共にする為に我が王国の中から選りすぐられた者達でございます」
 一瞬緊張して身構えた君に、オウルが簡単に3人を紹介してくれる。
 曰く、背の高い24、5歳の男の人が戦士でちょっとつんとした感じの15、6歳の女の子が魔法使い、1番小柄な12、3歳の男の子は歌唄いだとか。
 一通り説明を終えたオウルは、興味深げに3人を見回す君にこう告げる。
 「この中から1人をパートナーとしてお選びくだされ。残りの者は別ルートで蛇王を目指すことになりましょう」
 さて、誰を連れて行こうか?
 
 

砂色の髪の戦士。  
黒尽くめの魔法使い。
茶色い帽子の歌唄い。