君は、歌唄いをパートナーに選んだ。
 歌唄いって何だろう?っていう疑問もあったし、男の子の一途な瞳の健気さについつられてしまった所為もある。
 くるくる巻き毛の鳶色の髪も愛らしい少年は、幼さの残る面差しに思いっきり緊張の色を浮かべて話しかけてくる。
 「あの、僕、ロビンって言います。よろしくお願いします!」
 ――そんなに畏まられると、こっちまでなんだか恐縮しちゃうんだけど…。
 ぺこりと頭を下げられてしまった君はちょっと当惑気味にそう思った。
 そうは言っても、名前を告げるのにも一生懸命な様子は、見ていて微笑ましい。
 「それで、どうしたら良いのかな?」
 自然と年の離れた子供を相手にするような調子で問いかけた君に、ロビンはこれからの予定を説明し始めた。
 「あ、はい。僕達は、この先の比較的木々の疎らな場所から森の奥にいる蛇王の所に向かいます」
 彼が言うには、森の正面からは戦士の青年が、裏手の茂みからは魔法使いの少女が乗り込む手筈になっているのだそうだ。
 ――要するに、伏兵ってコトかな。
 戦士や魔法使いが敵の目を引きつけている間に敵の本拠地を叩くなり宝珠を護るなり――たぶん、後者の方だろうけど――するのがロビンに与えられた役目なのだろう。
 ちょこちょこと隣を歩く彼はどう見ても戦闘向きじゃないし、妥当な作戦だと思う。
 だが、すべてが思惑通りに運ぶほど、世の中は甘いもんじゃない。
 ロビンに導かれるまま舗装された道を外れてしばらく行った所で、何やら不穏な気配を覚って君は立ち止まった。
 耳を澄ますと、低い唸り声と荒い息遣いが聞こえてくる。
 ――近いな。
 そっと辺りを見回してみれば、木々の間から黄色く濁った眼が幾つもこちらを窺っているのが見えた。
 ロビンに注意を促そうと振り返りかけた君の背後で、じゃりっと地面を踏みにじる音が不気味に響く。
 恐る恐る視線を移すと、顎に涎を滴らせたいかにも兇悪なご面相の野犬の群れが暗闇から姿を現した。
 1、2、3…全部で5匹。
 「ロビン!」
 恐怖のあまり声もなく立ち尽くすロビンを叱咤するように、君は声を上げる。
 「こいつらを何とかしないと!」」
 しかし、どうやらそれが癖なのか胸の前で手を組んだロビンは、震える声でとんでもない台詞を吐いた。
 「ぼ、僕、歌を歌うしか出来ません!」
 

あぁっ、もう!大人しくしてな!
この際何でも良いからやってみろ!