どうにかこうにか第一の難関を抜けると、ぽっかりと木々が開けて出来た広場に出た。
 ポケットの中のチョコレートを口に放り込んで一休みしていると、何処をどう通って来たのかオウルが再び姿を現す。
 「…どうやって此処に?」
 それなりに苦心してきた君とは対照的に衣服の乱れもかすり傷もない彼の様子に何やら理不尽なものを感じて、君は思わず胡乱げにそう尋ねてしまった。
 「何、あなた様にご忠告差し上げねばならぬ事がありましてな」
 それをあっさり無視して、オウルはとっとと用件に入る。
 丁重なんだか失礼なんだかいまいち解らない老人だ。
 「この先は分かれ道になっておるのです。右に進むと小川にぶつかり、左へ行くと湿地帯が広がっております。正面の道は切り立った崖の上に出ます」
 「…は?」
 ――どれをとってもまともな道じゃないじゃないかっ!
 咄嗟に言葉が出なかった君は、心の中で力一杯そう叫んだ。
 ――いくら冒険に苦労は付き物だって言ったって、もうちょっとマシな選択肢はないワケ?
 そんな君の心を読んだように、オウルはふさふさ眉毛を顰めるとほんの少し申し訳なさそうにこう付け加える。
 「何れの道行きにも、必ずあなた様をお助けする者が現れましょう」
 それでも、どこか楽しんでいるように見えてしまうのは気のせいだろうか。
 「さて、どのルートを選ばれますかな?」
 

小川、渡れるかなぁ?
いっその事崖に出てやる!
湿地なら、何とか…。
もう良いや。