オケとレッスン


  昨年末より八景フィルにお世話になることになり,レッスンとの両立が課題になってきました.仕事とお酒の誘惑もバイオリンの練習時間を短くする要因です.でも,これらは私の生活にとってどれも必要なものです.いずれも,楽しいときもあれば,苦しい時もある…

INDEX 1/9,10 1/15 1/29 2/6(演奏会) 2/12 2/19 2/26 3/4 3/25 4/8,15,22,26 4/29(発表会)
     5/6 5/20 6/3 6/10,11(合宿) 6/17 6/24 7/1 7/9(演奏会)

1月9,10日オケの合宿

 演奏会を一ヶ月後に控えて,オケの合宿がありました.三浦ふれあいの村という県立の施設で2日間みっちりオケの練習をすることになりました.思えば合宿なんて高校以来で,ちょっと若返った気分でウキウキしたのも正直なところです.ただ,不安なのは入団して2ヶ月になるのに,まだ全然弾けないことです.練習中も変な音を出したり,途中で弾けなくなったりの連続です.特に,練習の途中でボーイングが変わるととたんに弾けなくなってしまうのが大変です.
 1日目は9時までみっちり練習した後,飲み会がありました.指揮者の先生に
「いつも変な音をだしてすみません.」
と言うと,耳元で
「知ってますよ.できるだけ見ないようにしています.」
とささやかれました.音楽の話など本当に楽しい時間を過ごすことができました.オケの仲間になったなと実感しました.
次の日,7時起きということもあり私は1時に床につきましたが,若いメンバは3時まで宴会が続いたそうです.
 2日目は夕方5時まで練習が続きました.シューベルトの未完成を通して演奏しメインの練習を締めました.

1月15日のレッスン

 今年初めてのレッスン.正月に実家に帰った時に発表会に向けて買ったラフマニノフのボカリーズの譜面を持っていきました.譜面を見てなんとかなりそうな印象を受けたようでした.そして譜面を見ながら,先生が指番号(ポジション)を記入していきました.ところが,ちょうど1/3ほどのところで,G線で演奏するところで先生が悩みはじめました.
「この曲やめたほうがいいかもしれない.どうしても,この曲やりたいですか?」
との一言.どういうことでしょう.確かにG線のハイポジションは弾きにくいしいい音がでません.G線で弾くことを指定してあるところをD線で弾いていいのか?いずれにしても,弾きにくいというのが先生の考えのようです.
 とりあえず,次回まで練習してみて,その結果により判断することになりました.次回までに,どれだけこの曲をマスターできるかが決め手となります.しかし,オケの本番も控えて厳しい状況です.この日は,この後オケの練習に向かいました.

1月29日のレッスンとオケ

 この日は4月の発表会の曲を決めるために重要なレッスンです.そして,オケの演奏会一週間前といいうことで,あまり十分な時間はありません.そこで,この2週間は,音階とカイザーの練習を省略するという作戦をたてました.
 教室に着くと,譜面台にはボカリーズのみを載せて,
「今回は,演奏会の曲をこれにするか決めなくてはならないので,これしかやっていません.」
という一言で先制攻撃をかけました.さすがに,この一言で音階とカイザーは省略ということになりました.とりあえず弾いてみることに.
前回先生がところどころ記入した指番号だけではとても弾けないので,私なりにポジションと指番号を決めて譜面に記入し,練習しておきました.弾きはじめるとたびたび制止され,「1stからいきなり5thに飛ぶのは無謀ですね!」とか言って,ポジションを修正されます.また,ポジション移動のところでは,音程が悪いと何回も練習させられます.こういったことを繰り返しながら,曲の最後までたどり着いた頃には,終了時間を15分オーバしていました.
「注意したポジション移動のところは,一日100回やって下さい.部分練習をしっかりやって下さいね.ここでのレッスン以外では絶対通して弾くなんてことをしないで下さいね!」
「発表会は,この曲で決まりですか?」
「はい.」
ということで,発表会の曲はボカリーズに決定しました.帰りにオケの演奏会の話をしてチケットを渡そうとしましたが,レッスンのためこれないとのことでした.残念.

 オケのほうも演奏会まであと一週間と練習に熱が入ってきました.昼は各パート毎の練習がありましたが,レッスンのため欠席してしまいました.夕方から合奏です.ベートベンの2楽章からはじまり3,4楽章と続きました.ここらへんで,みんな疲れ気味でしたが,1楽章に戻って練習.
休憩のあと,ハンガリー舞曲から未完成へ続きました.全曲通して弾いたのは,この日が初めてでした.いよいよ本番が間近に迫ってきました.
でも,まだ弾けないところが…こうなっては必殺の空中奏法を出すしかないか.

2月6日演奏会

 いよいよ,演奏会当日をむかえました.目覚まし時計を6時30分にしかけて,それでも6時過ぎには目を覚ましてしまいました.昨夜のうちにステージ衣装の準備,靴磨き,そして,駅前探偵倶楽部(HP)にて,会場までの電車の連絡も万全.ただ,心配なのは,ゲネプロで発覚した問題点と,もともと自分が弾けない部分各所であります.
 集合は8時50分鎌倉芸術館.まだ,時間があるとバイオリンを取り出し早朝練習.苦手部分をひたすら練習.そうしているうちに目覚まし時計が5分遅れていることに気づきました.慌てて支度をして駅に走り込みぎりぎり予定の電車に飛び乗りました.大船駅からコンビニでリハーサル後の昼食のためのおにぎりを購入.
 9時からは舞台の設営です.舞台裏にはなかなか入る機会がないので,きょろきょろ歩き回っていると団員のかたから,「あまり変なところ行くと怒られますよ」と注意を受けました.ステージマネージャの指示に従って,雛壇の組立.「はい,C4はここにおいて下さい.」「ちょっと,ちょっと,それはセンタ…」とアマチュアは舞台のセッティングも自分たちで行います.雛壇が出来たところで,ティンパニィの搬入,椅子と譜面台を並べる作業と続きます.最後に開放されていた反響板(オケ用の舞台の壁)を前にせり出してコンパクトに納めると作業は完了.ちょうど,それらの作業が終わると10時前となり,エキストラ(最後の2文字をとって「トラ」とも言う,団外の賛助演奏者)も集まりリハーサルが開始されました.ゲネプロではベートーベンの交響曲の第2楽章までしか進まず.第3,4楽章から始まりました.
 12時30分にリハーサルを終わり,昼食時間.楽屋の控え室でお弁当を広げるとおなじコンビニでおにぎりを購入した人,3人で昼食をとることになりました.1時15分からは舞台で記念撮影があるので,あまりゆっくり昼食を食べている暇はありません.着替えて舞台に向かうと,ピシッと決まったメンバが揃っていて,練習のときと雰囲気が変わり緊張感が高まります.記念撮影を終えると舞台の袖に引き上げます.
 いよいよ1時30分,開場の時間です. 舞台と袖の間の扉には,15cm角の小さなのぞき窓があり,会場内をのぞくことができます.さてさて,お客さんの入りはどれくらいでしょうか.のぞいてみると,私の友人Nくんを発見してしまいました.「来ている!」とおもった瞬間に緊張感が高まってきました.2時の開演ベルがなり,ステージマネージャに促されて,舞台に上がります.身体が,フワフワしてきました.幸い,一番後ろのプルト(各パートで指揮者に近いほうから,第1,第2…プルトとなります.)なのですぐ椅子に座ることができました.でも,なんか落ち着きません.
 コンサートマスタの登場,開場から拍手.チューニングに続いて,指揮者の登場です.一同が起立して,指揮者が礼をしたとおもった瞬間.指揮台に立ちました.そして,すぐ構えにはいりました.この時間が恐ろしく早く感じられました.「もう弾くのか???ちょっと待ってくれ.」と言いたくなるようなタイミングです.それでも容赦なく,指揮棒は振り下ろされました.最初のハンガリー舞曲第1番の始まりです.
 演奏は,始まってしまうとみるみるうちに進んでいき,気がついたときにはベートーベンの交響曲も第4楽章にはいってきました.このころには,緊張も,体力も使い果たしてフラフラになりかけていました.そうして,アップアップしている中に4楽章も終了しました.演奏に関しては,弾けるところは弾けるし,やっぱり弾けないところは弾けない,実力どおりのものになりました.控えめなカーテンコールのあと,アンコールにバッハのアリアです.これは,オフ会で経験があったため,余裕をもって弾くことができました.そして,拍手のなか退場です.Nくんの隣にはHくん夫婦が座って3人そろって手を振っています.それに答えて,弓を2,3度振り返し退場しようとしました.同じプルトのかたが,「譜面」と声をかけてくれました.譜面をもって帰らなくてはいけないようで,慌てて引き返しました.
 4時に演奏会が終了すると,着替えて舞台の後かたづけになります.控え室に向かうまでは,全身がなんだかブワブワした感じで,酔っぱらっているようでした.当然,それらも楽団員自ら行います.譜面台,椅子,雛壇を片づけた後,モップがけをして作業完了です.荷物をもってロビーに集合.諸連絡がありました.
 5時からは鎌倉芸術館内のレストランにて打ち上げ.乾杯の後のビールは最高の味でした.演奏会の直前に,緊張して食べたおにぎりの味とはえらい違いです.お客さんからのアンケートを回覧し,その感想に一喜一憂したりしながら,今日の演奏のこと,今後の演奏のことについて話合いました.この打ち上げの中で,ステージマネージャのことばがとても印象に残ったので,ここに紹介しておきます.
 「アマチュア(amateur)の語源はイタリア語のアマーレ(amare)からきており,アマーレの意味は“愛する”です.モーツアルトのミドルネームのアマデウスもamata da Dio(神によって愛された者)の意味です.つまり,アマチュア・オーケストラというのは,何の代償も必要とせずただ音楽を愛することによって,演奏を行うオーケストラなのです.プロには引退があっても,アマチュアには引退がありません.それは,愛するという気持ちには終わりがないからです.」
私もそのとおりだと思います.最後に指揮者の先生の言葉と一本締めで締めくくりとなりました.
「指揮をよく見て,テンポをはずさないように… ヨ〜」

2月12日のレッスン

 今日からレッスンの発表会にむけて本格的にボカリーズに取り組むことになります.演奏会が終わっても息は抜けません.レッスンで先生は
「まず,時間を計りましょう.一回弾いてみて下さい.繰り返しなしで行きましょう.」
先生は腕時計を外して,
「はい」
の一声.これを合図に必死に引き出します.途中先生がヒクヒクしている(苦しそうにしている)のが分かります.やっとのことで弾き終わると,
「わー,ひどいな〜. 6分かな.繰り返しはなしですね.」
スケジュール用紙のようなものに時間を記録しています.本当は繰り返したいところですが,本来の持ち時間は5分程度なそうなので仕方有りません.その後,特訓が始まり,
「そこで2の指を放さない….」
と言って,譜面をのぞくと
「書いてあるじゃない.なんで同じところができないの〜.」
確かにそこは前回指摘されたところですが,出来ないものは出来ないのです.本当は全くできない訳ではなく,時々できることもあるのです.今回は失敗の順番だっただけなのに,先生は怒っている.
「次はテープを持ってきて下さい.レッスンを録音しましょう.」
そして,4月の発表会までは,隔週から,30分ずつ4週に変更することになりました.

2月19日のレッスンとオケ

 今日のレッスンではテープを持っていきいきました.60分テープでちょうどあいているのがあったので持っていきました.教室にはいると別の部屋からラジカセを持ってきて録音スタート.なぜかお互い無口になってしまいます.なんかよそよそしいレッスンが続きました.だんだんいつもの調子になってくると,同じところばっかりをひたすら繰り返されます.それも5小節目です.始まったばっかりのとことです.すると突然
バシッ!!
という音がして,先生が
「キャー〜!!」
「わ〜.びっくりした〜」
単にテープが終わっただけです.テープを裏返してしばらくレッスンは続きました.

 オケは今日始めて,ドボルザークの8番を合わせる日です.当然,私は全く弾けるわけがなく,一人の聴衆と化していました.私の好きな曲ではあるのですが,聴くのと弾くととではえらい違いであることを再認識させられました.

2月26日のレッスンとオケ

 今日レッスンは,いきなり最初の音が綺麗に出ないと行けないということで,最初の出だしをひたすら繰り返す練習となりました.確かに最初の音を自身をもって出すのが難しいでものです.勇気が必要です.これは,他の曲でも一緒です.出だしのポジションが高いほど自身がなくなります.この曲は3ポジか4ポジでとることにしています.どっちがいいか検討中です.3ポジのほうが音程はややとりやすいのですが,小指で押さえるため音が弱くなります.4ポジだと薬指でしっかり押さえられますが,音程がなかなか合いません.どっちにしてもダメです.従って,自信なさげな出だしになります.先生曰わく,
「出だしが肝心ですからね.しっかり練習して下さい.」
おっしゃる通りです.

 オケの練習をする時間がありません.今日はハイドンの104番を合わせるということですが,先週に引き続いて私は弾けません.そこへ,今日来るはずのない指揮者の先生が,登場しました.私は,セカンドバイオリンの第3プルトの裏(今日の最後列)につけていましたが,表が空いていてよりによって先生がそこに座るというハプニングが….どうしよう….出だしちょっと弾いた後,すぐ弾けなくなりました….汗だくであります〜.途中,譜面からも脱落,先生がページをめくってくれました.いゃ〜緊張した.答えのわからない問題があったった小学生のような気分を久しぶりに味わいました.2楽章にはいると聴くに耐えないのか,別の席へ行ってしまいました.ホッ!!

3月4日のレッスン

 発表会は4月29日に決定.できるだけ後の日にして下さいという念願かなって,遅い日程にしてもらえました.レッスンの進み具合をみてのやむを得ないと判断したのでしょう.練習時間が長くなったと安心しては行けません.発表会が遅くなったと言うことは,オケの曲に専念する時間が短くなったということでもあるのです.結構厳しいスケジュールが続くな〜.

3月25日のレッスンとオケ

 レッスンは曲を前,中,後に分けたとき,いままで前の部分にレッスンが集中していたので,今日は中の部分を練習.この部分は一オクターブ下がって繰り返しになっている.それなら簡単かというと,指使い(ポジション)は同じわけにはいかず,G線のハイポジションなどはまともな音がでません(まともな音がでないのは,そこだけではありませんが…).結局,D線で弾くことに変更することになりました.sul Gと書いてあるのですが…,技術が伴いません.

 オケの曲は前回の演奏会に比べて,譜面の量が倍ぐらいになっているだけあって,難しさも2倍くらいになった感じです.なかなかついて行けません.ドボルザークの8番の一楽章などは,全然歯が立ちません.オケに入るの早すぎたかな….不安になってきます.レッスンとオケの違いはレッスンでは上がりの時点でもテンポがかなりゆっくりであるのに対し,オケは容赦なくインテンポで弾かなくてはなりません.早く弾く習慣があまりない私にとっては,ゆっくり家で練習して,どこまでテンポアップできるかが勝負です.大変だ

4月8,15,22,26日のレッスンとオケ

 4月8日は一回目のピアノ合わせ.去年のピアノの先生とは違い今度は男性の先生.
「では,先ず通して弾いてみましょう」
ということで,弾き始めました.バイオリンの先生がすかさずストップ.
「はじめからしっかり音を出して下さい」
の一言に,スタートからやり直し.どうしても,出だしでビビッてしまう癖がなおりません.途中,音がかすれたり(これは私の場合はしょっちゅう),音程が狂ったり.それを修正しようとしたらポジションを間違えたり,弓のアップ/ダウンが逆になったりさんざんな結果でした.また.どうしてもピアノとのタイミングが合わず(私が間違って覚えていたのですが)なんかいも同じところを練習しました.
 本来,本番一月前ということで,日曜はみっちり練習といきたいところですが,翌9日は休日出勤とまったく泣きっ面に蜂です.オフ会と花見の話もあったのですが,結局,仕事になってしまいました.

 4月15日は通常のレッスン.先生は「ひどいな」の一言.
「今度の水曜日はこれますか.」
ということで,4月18日に補講ということで,特別レッスンがありました.練習をしていて少しテンポが速くなり,繰り返し有りでも5分30秒ほどで弾けそうなので,思い切ってお願いしてみました.
「繰り返し有りでも5分半くらいで弾けそうなのですけど.繰り返し有りにできませんか?」
時間を計ってみると5分30秒だったので,繰り返し有りに変更することにしました.補講では,もうあきらめたのかあまり厳しい指摘はありませんでした.

 4月22日は始め30分通常のレッスンのあと30分のピアノ合わせ.ピアノの先生がくると,
「それでは,お願いします.繰り返しなしでしたね.」
「やっぱり,繰り返し有りでお願いしたいんですけど.」
ということで,譜面にかかれた×印を○に変更,繰り返し有りで練習開始.
30分の通常のレッスンがあったせいか,出だしも比較的調子よく,前回どうしても合わなかったところはCDで確認しておいたので間違わずに弾くことができました.でも,バイオリンの先生は途中,音程が狂う度に,人差指で上を指したり,下を指したり,ゆっくり弾けの合図や強弱の合図をしています.そうこうしているうちに一回弾き終わりました.
「前回より,どうどうと弾けてましたね.テンポも少しはやくなって,これぐらいの方が弾きやすいんじゃないですか.」
とピアノの先生.そして,バイオリンの先生が気になる点を指摘し,その部分をピアノと一緒に練習しました.特別に4月26日も補講となりました.

 さて,この発表会を控えてオケの曲はほとんど家では練習できていません.でも,4月15,22日のオケの練習には休まず参加しています.当然まったく弾けません.でも,2ndバイオリンはメロディーでないので,どういうふうになっているのかを覚えておかないと,一人で練習するとき悩んでしまいまいます.団員の方には怒られてしまうかもしれませんが,本格的な練習開始はゴールデンウィークからです.

4月29日発表会

 いよいよ発表会当日.本番は夕方6時30分から,もうどうあがいてもしょうがないのですが,朝からバイオリンの練習をはじめました.本番が近づくに従って,だんだん調子が悪くなってくるような気がしてきます.4時30分にスーツに着替えて会場に出発です.

 今回のプログラムは声楽とフルートに挟まれてバイオリンは私だけでした.会場につくとバイオリンの先生に控え室に案内されました.中にはいると年齢層は高めで大人の部という感じで少し安心しました.ただ,控え室にいたのは全員女性だったので少し圧倒されました.少しバイオリンを出して練習していると,舞台の袖に行くように指示されました.私は9番目だったので,まだ控え室で練習していてよいだろうと思っていたのですが,急な欠席者が出たようで7番目くらいになってしまいました.

 今回は2回目なのでそれほど緊張しないだろうと思いました.確かに舞台に上がったときも緊張しているという実感はありませんでした.しかし,伴奏がはじまったとき,ポジション(3rdポジションから始まります.)になんとなく違和感を感じました.そう思った瞬間,出だし出損ねてしまいました.
「ちょっと,もう一回…」
こういうのは,他に例をみたことがありませんが,スタートからやり直し,
しかし,2回目のスタートも案の定,音があっていなかったので,なんと2回やりなおしをしてしまいました.ピアノの先生もかなり動揺したようで,その表情は気の毒なほど焦っていました.大変申し訳ないことをしてしまいました.

 こうして,3度目の正直でスタートした演奏もはじめの3分の1くらいは,ほとんどただ弾いているだけで何をやっているのか分かりませんでした.このときは,足がふるえました.後半になってようやく落ち着いてきましたが,なかなか思いどおりには弾けませんでした.演奏はあっという間に終わりました.気分としては,もう一度最初からやりなおしたい気分でしたが,なかなかそうもいきません.

 舞台から引き上げると,バイオリンの先生とピアノの先生が
「頑張りました…・.」
と声をかけてくれました.そして,
「おめでとうございます.」
と別の先生がお花とビスケットを渡してくれました.
「どうなることかと思いました.…」
というと,
「はじめのうちね.」
と笑っていました.
こうして,写真撮影となりました.

 友人のH夫妻が来てくれていたので,一緒に夕飯を食べに行きました.感想は
「5音に1音くらいいい音出てたんじゃない.来年は4音に1音を目指してね.」
とのことでした.

5月6日レッスン

 発表会も終了して普通のレッスンの再開.待合室でピアノ先生とあいました.
「先日はどうもすいませんでした.」
と言うと,笑いながら,
「やっぱり,緊張しました….でも良い経験だったでしょ….」
「はぁ〜.」
と答えて,あとは笑うしかないという感じです.
レッスンが始まると天気の話から,特に発表会の話は有りませんでした.
お互い,避けていたのでしょうか?
レッスンは,5巻の最初の曲バッハのガボット.
カイザーはしばらくおやすみしていたので,最後にやっていた8番目の曲を必死にさらっておくように指示されました.

5月20日のレッスン

 鈴木の5巻最初の曲はバッハのガボットですが,その前に第4ポジションの練習があります.曲の前にこの音階の練習とカイザーの8番.カイザーを始めると,先生のひとことは
「もどっちゃってますね.スラーはずして切って練習してきて下さい.」
とのこと,全然進まないカイザーでした.
 曲にはいって,つっかえながら一回弾いた後,ポイントは主に次の3点
 @先ず出だしの和音とスタッカートの部分…はじめの和音は長めにして,弓をあまり浮かさず次のスタッカートで軽く弓を上げる.
 AGavotteUに入ったところの,ララシシの全部アップでの4音のスタッカートは手の指の動きを利用する.
  指の動きは会社でもペンを使って練習するように.
 Bファラ,ソラ,ファラ,ミラ…と8分音符がつづく部分は移弦するときは,肘の位置は動かさないで手が小さな円を描くように
どこまで練習できるでしょうか.
 
6月3日のレッスンとオケ

 オケの本番も7月9日に迫り,練習を十分したいところですがなかなか思ったようにはいかないものです.5月29日の月曜日から大阪出張,火曜日は川崎,木曜は宇都宮への出張.水曜日は新人の歓迎会(飲み会)と4日間ほとんど練習できません.先週の練習は帳消しになってしまったと言っていいでしょう.金曜日の一夜漬けでレッスンとオケに向かうことになります.
 5巻冒頭の音階は,途中音程を何回か修正されたものの何とか○をもらいました.カイザーについては,「音程が全然あっていない」の一言をもらいました.難関であります.音階は小野アンナの続きにもどりました.
 曲はほとんど前回と同じところを指摘されてしまいました.かろうじてララシシのスタッカートは良くなったとほめられました.

 レッスンのあと直接オケの練習へ,2時から弦だけの分奏のあと5時から管を含めて合奏となります.練習の途中で震度3の地震がありました.弦は弾きながら「揺れてるよ」「地震じゃない」などの声がところどころから出ますが,指揮が止まらないので演奏が続きます.指揮がとまると,みんな今更なのですが騒ぎだし,天井から吊されている照明が揺れているのをみて,けっこう大きな地震であったことを再確認しました.地震でも演奏し続けるところにオケの底力を感じました.私もできるだけ足を引っ張らないように頑張らないと….でも未だに速いところは弾けない.慌てると隣の弦を弾いていたりしてもの凄い音が出て“ビックリ”なんてことをやっています.こんなことでいいのでしょうか….本番1ヶ月前,来週は合宿です.

6月10日,11日合宿

 いよいよ合宿,場所は前回と同じ三浦ふれあいの村です.10時現地集合のはずでしたが,9時20分着の京浜急行を降りると三崎口駅の改札には団員が15人ほど集まりました.人数が集まれば,タクシーをひろっての移動です.
 合宿所に着き靴を履き替えようとすると,ワゴン車が一台到着.ティンパニーが運ばれてきました.今日の初仕事は,ティンパニの搬入です.

 10時に集会室に集まるとミーティング開始.ふれあいの村の館長?らしき人が,ここでの注意事項(扉に指を挟まないように,ゴミは分別して出して下さい…)の説明.それから合宿係から今日のスケジュールの確認です.スケジュールはざっとこんな感じです.
6月10日
 10:30〜12:00 合奏ハイドン104番(各楽章手強い部分がありますが,特に1,4楽章は厳しい.辛い!)
 13:10〜14:30 合奏エルガ(最近,好きになってきており,弾けてないが乗れるので楽しい)
 14:50〜17:30 ドボルザークの1,4楽章(ここは,もっとも辛い練習時間帯.難しい.)
 17:30〜19:00 夕飯と休憩(休憩時間中に弦楽四重奏曲「アメリカ」がどこからともなく….
                     あんな風に弾けるようになりたいな〜)
 19:00〜21:00 5つの教室に分かれてパート練習
            (指揮の滝沢先生登場.突然私のところに歩み寄ってくる.ドキドキ.
             君弾けてないね…なんて言われたらどうしよう… 
             「弓とばせない?」
             「できません.」と答えると
             私の弓を持って,指とばしの指導.
             「練習しといて.」
             あ〜ビックリした.(--;) 怒られるかと思った.)
 21:00〜21:30 入浴(後から来た小学生の集団にあおられ,みんなスゴスゴ退散)
 21:30〜      懇親会(私の得意とする部分.ここでやっと活躍できたかな??)
 25:00       消灯(2段ベット4つ置かれた部屋で睡眠.ユースホステルみたいな感じのところです.
               なんか懐かしい.)
6月11日
  9:00〜12:00 ドボルザークの2,3楽章
             (少しほっとできる.3楽章は特に好きなメロディーが出てくるので,ここは気持ちよく弾きたい.
              “弾く”のレベルはともかくとして)
 12:00〜13:00 昼食
             (「昨日カレーじゃなかったから,今日はカレーだぜ.明日のお客さんはカレーピラフだ.」
              の大方の予想を裏切り,グラタンとコロッケetc.なかなか,いいおかずにみんな喜び
              「最後の食事を良くして,すべてを丸く収める作戦だな.」
              なんていうコメントも.)
 13:00〜14:45 弦分奏
 15:00〜16:40 ハイドン
 16:40〜17:00 後片付け・ミーティング(宣伝の作戦とチケットとチラシの配布.あ〜疲れた.あごが痛い.)

6月17日のレッスンとオケ

 レッスンの曲はオケのために犠牲になっています.ちっとも進歩しないので先生に申し訳ない感じです.でもなぜか,カイザーの8番が終わりになってしまいました.レッスンのあとオケへ直行.
 指揮者の先生の話にはときどき戸惑ってしまうことがあります.今日もこんな話がありました.ドボルザークの8番の2楽章の133小節目からについて,
「ここはとても楽しい気分で弾いて下さい.場所はプラハ.いつもよりちょっと早めに起きて街に出ると,通りには人影もなく街を独占した気分.とてもいい気分.朝靄の中を歩いていると,小さなお店が一軒開いているのを見つけます.お店はヨーグルト屋さん.ヨーグルトを一個買ってホテルに持って帰ります.味はピーチ味.ホテルの部屋に帰って早速食べようとすると.スプーンが付いていない.日本なら当然ついているのに.しょうがないので,蓋を開けてがぶ飲みしました.さあ,それではもう一度…」
といった調子です.最初のうちは,一生懸命イメージしようと思いましたが,最後に落ちがついていました.まあ,楽しい雰囲気にしたかったのでしょう.指揮の先生は時々,こういったたとえ話をします.何が言いたいのか分からない時もありますが,こういった体験はオケに入らなくては出来なかったでしょう. 

6月24日のオケ

 本番まであと2週間と迫りました.家でゆっくり練習すると何とかできるところもオケに合わせてとなると,未だにメチャクチャになってしまいます.そんな中に配られたのがアンコールの曲の譜面.今からアンコールの曲まで練習しなくてはならないのです.また,一曲目のエルガーの威風堂々も久しぶりに練習すると思ったより弾けなくなっていました.なんかやばい感じです.
 そしてもう,第9回の演奏会のメインの曲が決まりました.ベートーベンの交響曲3番「英雄」です.そんななか,私は第10回演奏会のプロジェクト委員を任されてしまいました.演奏で足をひっぱっているのですから,何とかオケの役にたっていかないと….

7月1日のオケ

 本当は,今日はレッスンでしたが,レッスンの曲を全然練習していないのでズル休みしてしまいました.先生にあって言い訳するのが辛かったのです.
 さてオケの方ですが,最近出張が毎週あり,なかなか思ったように練習できないのが残念です.宿泊出張だと,まるまる2日間練習できなくなるのが辛いところです.その前の2,3日の練習がパ−になってしまう感じです.
 オケも最終段階にはいり,先ずハイドンを通して弾きました.
「う〜ん.みんな忘れちゃっているね.」
の一言が先生からありました.そして,ドボルザークの予定の時間に食い込みながら,修正にはいりました.アンコールの曲の練習の後,最後の40分で無理矢理ドボルザークを一回通して,次の土曜日は,ゲネプロを迎えることになります.ゲネプロは,ドボルザークから.そして,7月9日の日曜日は本番です.

7月9日 「第8定期演奏会」

 7月8日は,14時から金沢公会堂で弦の分奏,16時からゲネプロと続きました.このゲネプロ結構体力を使うもので,19時の練習終了時には,アゴと背筋が痛くなってしまいました.まだ,弾けないところも当然ありますが,こういうところは,当日どうやってごまかすかがポイントになります.家に帰ってから,黒のスーツ,靴の準備をして明日に備えます.

 当日の朝,お風呂に入って体重をはかると前日のゲネプロの効果か1.5kgも痩せていました.2年前の理想体重に近づきちょっとうれしい気分.練習不十分のアンコール曲(エルガーの「愛の挨拶」,冒頭にブリテンの「青少年のための管弦楽入門」を挿入)をおさらいして出発です.台風一過で晴天となった当日は,大変暑くなりお客さんの出足に,好天が幸いするか,暑さが災いするか,心配されるところです.8時50分に会場に集合し,9時から舞台設営.10時からリハーサルとなります.
 リハーサルでは,ハイドンの3楽章で,
「はしりそう(テンポがはやくなること)だな〜.賭けようか」(先生)
「じゃ,1000円」(コンマス)
などの会話も飛び交いながら,アッという間にリハーサルも終了しました.
12時30分からお弁当となり,服を着替えていよいよ準備万端です.そんな中,
「でも,3楽章遅すぎるよね.速くしちゃおうか.」
などの会話も聞かれました.(私はゆっくりでないと弾けないので,突然のテンポアップは困ってしまいます.もちろん冗談の会話です.)
いよいよ,開演10分前になって舞台裏に集合です.舞台に用意された小窓からお客さんの入りと自分の友人がきているかを順番に確認します.このころになると,だんだん緊張がたかまってきて落ち着かなくなります.そうしているなか,1ベル(開演5分前のベル)が鳴り,そわそわしているとすぐ舞台が明るくなり入場となります.

 はじめの曲はエルガーの威風堂々第5番.演奏開始し曲も半ばを過ぎた頃,突然恐ろしいことが起きました.「落ちて」しまったのです.
「いったい,どこをひいているのだろう…(ーー;).はやく,分かるところにならないかな.」
 などと考えていると背中に汗が噴き出しました.
「とりあえず弾いている振りを続けよう.」
と弓を雰囲気で動かしていましたが,ふと気づくと隣と弓が逆だしバラバラになってる.そうしているうちに,どこの部分から分かり復活.かなりの不安に時間を過ごしました.もともと,すべて弾けるわけではないので,弾けないと覚悟をきめているところは,得意の空中奏法で逃げられるのですが,落ちて,どこを弾いているのか分からないのは,もうパニックです.
 2曲目のハイドンの交響曲104番では,席の移動がありましたが,そのときバイオリンの指板は汗でビッショリでした.ハイドンも出だしは,その落ちた後遺症からか,なかなか落ち着いて弾くことができませんでした.なんとか弾き終わって,退場するときにはへとへとになっていました.問題の3楽章はしっかり指揮者の先生に押さえ込められ,要所でブレーキの利いた演奏となりました.

 15分の休憩の後,最後のドボルザークの交響曲第8番となります.「八景フィルの第8回演奏会で交響曲8番とは末広がりで気持ちがいい.」というのが,プログラムに記載された団長のコメントです.集合するとセカンドバイオリンのトップの方が,
「2回目だともうだいぶ慣れましたか.」
と声をかけてくれました.
「いや,全然なれません.エルガは落ちちゃいました.汗かいちゃって大変でした.」
「エルガは,落ちちゃってもいいですよ.戻れれば.」
とホッとさせてくれました.そうですこうなったら楽しむしかないのです.自分なりに楽しく弾くことができました.特に3楽章は,楽しもうと決めていたところなので,一応目標達成と言っていいでしょう.
 最後にアンコール,
「それでは,本当のイギリスを」
の先生の一言の後,最後の締めとなります.

 演奏が終わると着替えて後かたづけ.片付けも一段落した頃,
「Nobbyさん,花束来てますよ!」
と呼ばれました.花束とは生まれて頂いたような気がします.藤沢のB♭で知り合ったお客さんからのものでした.花束を持って歩くのはちょっと照れくさい感じでしたが,とてもうれしかったです.

 さあ,宴会場へ移動です.桜木町のビアホールの一角を借りて乾杯です.最初のビールはやっぱり美味しい.団長の挨拶で始まり,団長(女性)の一気飲み.今回のプロジェクト委員の一気,コンマス(実はプロジェクト兼務)の一気….ほとんど学生の乗りの飲み会になって盛り上がります.そんななか,例によってアンケートの回覧です.コメントのなかには,
「前回の演奏会よりも上手くなった.」
など暖かいコメントのほか,
「セカンドバイオリンのミスが目立った.」
と厳しい指摘.私のせいだm(_ _)m.
なかには,小学生の方から
「いろいろな音程があっておもしろかった.」
というコメントもありました.これは,とりようによってはとても厳しいお言葉であります.
最後は指揮者の先生のお話で締めくくり.当然のことながら,先生が指名した(おつかれさまと声をかけた方)は一気のみとなります.そんなあと,
「今回,ハイドンの3楽章は戦いでした.わたしは必死に押さえにかかりました.みなさんも,こういう演奏もあるということを理解して下さい….」とすべてはお見通しだったようです.

そして7年目 へ Violinへ戻る Mainへ戻る