そして7年目


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  私も,バイオリンを30歳ではじめて36歳の誕生日を過ぎ,7年目を迎えることになりました.しかし,いっこうにバイオリンの腕前は上達しません.また,ここしばらくホームページの更新もせず,一部の方からは心配のメールも頂きました.ご心配をおかけして本当に申し訳ありませんでした.

それでは近況報告(2001/01/28)

 さて,わたしの7年目はどんな状況かをお話しましょう.レッスンもオケもちゃんと続けています.取り組み方は,相変わらずの調子で慌てずゆっくりといった具合です.少しオケのほうの重みが大きくなった感じです.レッスンでは不真面目な生徒としか言いようがありません.というのは,レッスンの時にオケの曲を持っていってしまうことが少なくないからです.教本やカイザーそっちのけで,オケの曲です.最近は,先生もさすがに観念したらしく,
「私が今日はこれをやります.」
とオケのスコアを持っていくと,つきあってくれています.先生に指番号やポジションのを譜面に書いてもらっています.平気で,
「今日は音階とカイザーはやってないので,やめましょう.」
なんて言ったりしています.それでも,
「エキストラ(オケの人数の不足を補う団外助っ人)として乗って(オケに参加すること)もいいですよ.私結構弾けると思いますよ.」
なんて言ってもらえました.残念ながら,この先生との競演は実現しませんでした.
こんな調子ですから,鈴木の教本も5巻の初めのバッハのガボットでピッタリ止まったままになっています.本当は,基本をしっかりやった方が,オケのみんなに追いつく近道なのかもしれません.でも,オケの練習や本番で気持ちよく弾ける(これは私が思うだけかもしれませんが…)ところが多くなると,すごくうれしいものです.ついオケの曲を練習してしまいます.両方できればいいのですが,仕事をしている者にとっては時間が限られています…というのは言い訳でしょうか?

 第9回の演奏会の準備は着実に進んでいます.いよいよ本番まで2週間.昨日(1/27)は大雪でしたが,最後の追い込みと合奏の練習がありました.私は,当日ティンパニの運搬当番でしたが,雪のため運搬を断念しました.レンタカーを借りて運搬の予定でしたが,チェーンがないとのことで,丘の上の練習会場(神奈川アートホール)への運搬は不可能です.保土ヶ谷駅からアートホールへ向かうバスは運休.タクシーにも一台断られました.2台目のタクシーで楽器運搬係の一団は練習会場へ向かいました.雪のなか楽器をかかえてみんなちゃんと集まっています.大きな楽器の人は大変です.ベートベンの3番,シルビアと練習を進め,雪のために早めに練習を終えました.

 まだまだ弾けないところはあります.ワーグナーの冒頭などは練習していて,ほとんど超音波状態です.でも,気持ちよく弾きたいところがあります.この気持ちいい部分を是非,演奏会に来て頂いたお客さんに聞いてもらいたいと思います.そして,その気持ちが共有できたら…と思っています.

第9回定期演奏会を終えて(2001/03/20)

 2月10日はゲネプロ.リハーサル室を借りて最後の仕上げです.ハープを含めたエキストラの方も参加しての練習です.お客さんを目の前にした厳しい緊張ではなく,明日を本番に控えたほどよい緊張が逆に心地よく感じられます.練習中もあまりとぎれとぎれにならず,通して弾けるのが楽しく感じられる理由でしょう.
 こうした練習も終わり,家につくともう10時過ぎです.明日の仕度を始めなくてはいけません.黒の礼服は前日準備していたものの再チェック,靴を磨いて,コンタクトレンズもタンパク除去で万全を期します.

 11日いよいよ本番当日.朝は,舞台の設営からはじまり,本番前のリハーサルです.同じプルト(弦楽器は2人で同じ譜面をみますが,そのペアをプルトと言います.前から第1プルト,第2プルト…となります.)のNさんが都合で遅れていました.このとき,なんか調子が悪く感じられました.普段いかに,隣のNさんを頼っていたかがわかります.自分の音だけだと不安になります.リハーサル途中でNさんが間に合うとほっと一息.
 リハーサルのあとは,軽めの食事(おにぎり2ヶ)と着替え,集合時間に舞台に集まり集合写真をとりました.写真撮影のあとは,舞台裏に待機してお客さんの入場を待ちます.時々,小窓を開けてお客さんの入りを確認します.
 さて,演奏の方ですが,前日のゲネプロとは勝手が違い,お客さんを目の前にすると少し消極的になってしまいます.やっぱり, ゲネプロが一番楽しいかも… 今回も,へんなトラブルがありました.シルビアの4曲目で急に 左目が曇りだし,目の下に冷たいものがポトリ…. なんで,僕泣いているのだろう??譜面が見にくい. などと,考えながら弾いていました.しばらくして,コンタクトだと 気づきました. 演奏後,隣のNさんに,「コンタクトとれてます?」ときくと, はずれているのをみて驚いていました.退場のときは,右手の人差し指の上にコンタクトレンズを乗せて,ちょっと間抜けな退場になりました. 本当はハープを片づける係だったのですが,コンタクトをはめる作業 が必要になったためさぼれました. おまけに,「よく止まらなかったね」とみんなからほめられました.幸い,コンタクトレンズも無事で,休憩時間の間に装着完了.
 メインの「英雄」です.時々,左目が乾燥してきた感じかするときがあり,“瞬き!瞬き! ”と思いながら演奏を続けました.いつも思うのですが,本番の時間というのはあっという間です.1時間近い演奏だったのですが,ほんとうに20〜30分に感じられます.

 演奏後は着替えと片づけをすませて,宴会モードへ.今回は友人も結構きてくれていて,お花やお酒を頂きました.ただし,このお酒は一升瓶だったため,帰り結構持って帰るのが大変でした.(飲んだらとてもおいしいお酒だったので,1週間しか保ちませんでした.)ロビーに待っていた友人は,ベートーベンの第2楽章で眠くなったといっていました.確かに演奏している方は,あっという間なのですが聞いている方にはゆっくりした演奏に聞こえたかもしれません.私の持っているCDで一番テンポが遅いのはマタチッチのもので,第一楽章は繰り返し無しで15:14です.これに合わせて弾こうとするとテンポが速く感じるのですから,演奏している側と聞く側では印象は全くことなったものになっていたはずです.正確な時間は把握していませんが,1時間を超えていたかもしれません.
 演奏会後の乾杯のビールは最高です.ワインも最高.打ち上げの間にお客さんのアンケートが回ってきます.すると友人のアンケートを発見.その内容は「Nobby氏の挙動が…」というものでした.恥ずかしくなって,丸めて持って帰っちゃおうかと思いましたが,隣で一緒に飲んでいたMさん(Hr)に, 「証拠隠滅はだめです.」 と制されました.

プロジェクトという仕事(2001/05/13)

 演奏会が終わってレッスン曲に一瞬集中.長いことかかっていたスズキ5巻の1曲目のガボットをやっとクリアすることができました.そうはいっても10回の演奏会への練習がはじまるので,またオケの譜面をレッスンにもっていくことになってしまいます.教本の進み方はかなりのんびりしたものになっています.先生ゴメンナサイ!!
 
 さて,第10回の演奏会についてですが,わたしは第10回のプロジェクトという係を任されています.八景フィルでは演奏会の企画をこのプロジェクトという係が行います.第8回演奏会前の合宿時に依頼されて,演奏で足を引っ張る分がんばってみようと思ったのですが,これがなかなか手強い仕事です.ここから少しの間,演奏会ができるまでのお話をしてみたいと思います.

 はじめの大きな仕事は「会場選び」と「曲の決定」です.
 会場の抽選会は6ヶ月前や1年前から予約が開始されます.昨年7月に鎌倉芸術館の抽選会にいきましたが,希望日は市の行事がすでに予定されて,抽選をすることもなくあきらめることになりました.会場が決まらないと,スケジュールも決まらず,「演奏会できるかな〜」などと不安になってしまうものです.そして神奈川県立音楽堂の抽選会に臨むこと4回でやっと会場が決まったのが今年の1月です.
 八景フィルでは,偶数回の演奏会を企画ものとしています.団員から応募企画のなかから団員の投票で決定になったプログラムは「民謡がモチーフ」というもので外山雄三の管弦楽のためのラプソディ,コダーイのハンガリー民謡クジャクによる変奏曲,ドボルザークの交響曲第9番「新世界」です.そこから譜面の準備を譜面係に依頼することになります.第9回の定期演奏会が終わったらできるだけ早く団員に配布しなくてはなりません.

 第9回の定期演奏会がおわるとプロジェクトの仕事も本格的にはじまります.各係(会計,渉外,譜面…)の協力をえて,演奏会作りがはじまります.仕事をもっている仲間同士,演奏だけでなく,演奏会に向けての準備でもチームワークが試されることになります.そして,演奏曲の練習もだんだん熱がはいっていくなか,予算の立案,チラシの作成,プログラムの作成,トラ(「エキストラ」の略.演奏会に助っ人として参加していただく方)の方の調整,当日の受付等の段取り…を決めて行かなくてはなりません.演奏会までのスケジュールをたてて進めているのですが,限られた練習日の練習時間の合間をぬっての調整,なかなか大変です.オケのメンバも各自個性的で,意見調整もなかなか難しいものがあります.「第10回は記念演奏会にするかどうか」などの意見も分かれることになります.

 今回の演奏曲目は,
  外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」
  コダーイ「ハンガリー民謡クジャクの主題による変奏曲」
  ドボルザーク「新世界より」
の3曲にアンコールでベルリオーズの「ハンガリー行進曲」と民謡をモチーフにしたものを集めています.プロジェクトで企画をしなくてはならないのですが,なかなか調整が思うように進みません.
 企画としては,外山雄三のなかに出てくる日本民謡の解説,コダーイでは,テーマをちょっと演奏したあと変奏番号を表示,などといった演出をしました.ただし,企画の練習は十分できずほとんどぶっつけ本番です.

第10回定期演奏会(2001/07/20)

 今回の演奏会は海の日(祝日)を利用した金曜日の演奏会のため,ゲネプロはその前の週の土曜日となります.ゲネプロのあと約一週間開いてしまうのに不安にさせられました.企画についてもゲネプロの時に本番同様にやりたかったのですが,なかなか調整がしきれませんでした.結局,本番までうまくいくか冷や汗ものです.各係から最終確認の問い合わせには,あたふたしてしまいました.というのも,受付や舞台裏は今まで3回の演奏会ではあまり気にしていなかったので,細かい準備をどのようにしているのかあまり把握していませんでした.ドアマンの手配なんて全く頭にはいっていませんでしたが,演奏途中での入室を避けるためには不可欠です.でも,各係の協力でなんとか,ぎりぎりで準備を進められました.演奏回の準備をするにあたって必要なこと,団員以外で協力してくださる方々のことを知るよい機会になりました.

 さて,本番ですが,企画は指揮者の先生のアドリブなども加わって思ったよりうまく行きました.演奏については,個人的には,いままでよりみんなについていける範囲が多くなったようなきました.でも,まだまだ課題が多い感じです.ただ今回は,とにかく演奏会が無事終わってほっとしているというのが正直な感想でしょう.

 今回の演奏会で勉強になったことは,オーケストラのメンバというのは,なかなか個性的な人が集まっているということです.パートによってもそのカラーがあり,「やっぱり自分はバイオリン」なんて考えさせられたこともあります.また,その中でも個々人が個性を持っています.かなこれら個性の集まりが音楽を作っているのです.オーケストラというのはそういうものなんですネ.

 演奏会が終わった翌々日の日曜に,オペラシティのコンサートに行きました.のんびり聴き手にまわりました.東京フィルの「ラプソディinオーケストラ」という軽いプログラムの演奏会です.このプログラムでは,ピアノの岡崎ゆみさんによる解説があって演奏会のことを思い出してしまいました.私は,実は演奏会で解説がはいるのはあまり好きではありません.でも,日曜の午後の気軽なコンサートには楽しいナビゲーションはくつろげる雰囲気で楽しいものです.指揮者のヤーノシュ・コヴァーチュさんに対する質問(「何で指揮台を使わないのか?」「指揮者は儲かるのか?」など)は笑わせてもらいました.アンコールはリストのハンガリアン・ラプソディかなと予想していたのですが,「さて,日本にもラプソディがあります…」とナレーションが入り,外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」が始まりました.驚きました….

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